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クズ、自己紹介をする

名前を渡辺ハルトマンに変えました。ご迷惑をおかけしますがこれからもよろしくお願いします。

 壇上では学校の理事長や校長の話が行われているが内容はありきたりなものだったのでまったく耳に入らない。いやむしろ他のことを考えているのでそっちのことを考えていた。さて、そうやってあの女子に口説くか。フレンドりーに接するか、それとも紳士的に振る舞うかで決まる。ここは校長のお話しなんかよりは大切なことだ。


 しかし、理事長の発言により俺の思考を遮るのであった。



『それでは続きまして、新入生代表挨拶です。今年度入学試験主席合格者、ジュスティス・コンデム君』

「はい!」


 ジュスティスという金髪の男子は俺らのクラスから進み出る。ほう、彼が俺を追い抜かして主席とは感心するな。やはり差が付いたのは。筆記試験であなたが好きな言葉は何ですか?という問題だろうかな。 だって俺は酒血肉林って書いたからさ。いや俺も薄々だけど気付いたけどさ、やっぱり正直が一番だと思ったんだ。



 ジュスティスは壇上に上がり、代表挨拶をする。


『ご紹介に預かりました、新入生代表のジュスティス・コンデムです。このドレス・クリーク魔法学校に入れたことを光栄に思います』


……優等生って感じだな、ありゃあ。運動もできて勉強も出来て勝手に女子にモテるタイプだな、絶対。まさしく俺みたいにな。ジュティスは喋り続けた。


『私は憲兵の父と魔導師の母の間に産まれた子供で誰よりも人一倍の正義がある子供でした。そして、魔導師の才能もありました。この力をどう生かすかと考えたのがドレス・クリーク魔法学校だったのです。お恥ずかしながらも私の正義というものは、争いを止めて争った者同士を仲良くさせる。という小さな子供の考えそうなものですがそれを実現したいが為に入学しました。そして二年後、私たちが成長して羽ばたいていけるように教員の皆様の御指導御鞭撻(ごしどうごべんたつ)を宜しくお願い申し上げます。』


言い終えた後にジュスティスはお辞儀をする。彼は体育館中から拍手喝采をその身で浴びた。しかし、その態度に不満を持つ者も存在していた。


「へっ、何が正義のために入学しただよ。強制的に入学させられたの間違いなんじゃねえの?」

「ちょっとザック! 自分よりも成績が良かったからと言って嫉妬しちゃいけないでしょ!」

「そんな訳あるかよ、俺はああいう子供のまま大人になった奴が大嫌いなんだよ!」

「ザック、君もその仲間だろう?」


 ザージュは冗談を言うように言った言葉は矢となり、俺のトラウマに突き刺さった。ザージュには悪気はなかっただろうが俺には鋭い一撃だった。



「……俺は昔とは違う」

「まあ、昔からあなたはそうだけど考え方が大人よね」


 ザージュの発言で俺は過去の思い出を振り返る。もう純粋な俺は居ないことは承知済みであった。暗い顔をした俺の表情を読んでエリカはすかさずフォローしたがやはり俺の暗い表情は拭い切れなかった。

 俺にとって嫌なことを沢山思い出した後、急に頭が痛くなり意識があやふやになる。息が荒くなり、俺はふと意識を手放してしまった。




「ザック、式終わったぞ」

「……あれ?」

「あれ、じゃないわよ!いきなり倒れたから心配したわよ!」


俺は目が覚めるとベットに寝かされていた。どうやら此処は保健室らしい。ベットの脇にはザージュとエリカが立っている。俺は空白の時間に何が起こったのか思い出せなかった。


「低血圧で倒れたって保健室の先生が言ってたわ、あなた昨日も今日も寝なかったらしいじゃない」

「ごめんなザック、疲れているのに無理やり話しちまって」

「……その、迷惑掛けてすまん」



その発言に対しエリカが目を丸くした。


「ザックが謝ったですって!? これは重症ね、病院に行かないと!」

「待て待て待て、どうしてそうなるんだ。俺は大丈夫だ」

「だって私に対していつも謝らないザックが謝ったのよ!」

「ザック、君はどういう生活をしてきたんだい」


 エリカが俺の情報を流す。その情報を聞いたザージュはため息をついて呆れていた。そんなに謝ってなかったっけ、そこら辺の記憶も曖昧だ。さてはエリカの奴、嘘をついて俺を陥れようとしているのか。そうはいかん、ならばこちらもすれば良いだけ


「そういうエリカは十歳までおねしょしてたんだぜ」

「ちょっと!話を変えないで!!」


 何故かエリカは顔を染めて怒鳴り散らす。どうやら効果は抜群だ。しかし、デマを流したつもりなのだがこの反応は真実だな。俺は彼女の新しい弱点を見つけた。


「き、気にしなくても良いんじゃないかな。女の子なんだし……」

「ザージュも私に温かい目で見ないで!」

「フハハハハハ! 俺のことを話すからそういう目に合うんだ、バーカ!」

「う、うるさい!!」

「げばッ!?」


 いつもは平手打ちなのに今回は拳が飛んでくる。拳は俺の顔の真ん中を捉え、俺は大ダメージを食らった。


「いでええええ!!」

「さっ、そんなに元気なら行くわよ!」

「……頑張れ」

「ぼ、暴力はダメだろ……」


 俺は彼女の後をつけるようについて行った。そしてお鼻がマジで痛い、エリカは加減というのを知らないのかと言いたい。




☆★☆★




 この学校のクラスはABCと三つのクラスがある。Aクラスには金持ち貴族しか居ないがBCクラスは一般の平民だ。噂にはBクラスには位の高い貴族が混じっている噂があるらしいが、所詮は噂なので信じていない。


 俺らが教室に入ると、かなり奥行がある部屋だ。それもそうだろう此処のクラスには二十名の生徒が在籍している。机の並びは三人用の長椅子と長机、四人用の長椅子と長机になっている。端っこが三人用、真ん中が四人用だ。席は決められてはいないので空いていた三人用の席に腰掛けることにした。

 四人用の席の真ん中には主席のジュスティスが居た。



二分後、魔法を使用する試験で試験官をしていた教師が入ってきた。そして教壇の前に立ち自己紹介を始める。


「はい、どーも。このクラスを担当することになったマエストロ・ソンノだ。あたしの事はソンノ先生と呼んで、じゃあお互いの自己紹介よろしく~」


 そう言うとソンノ先生は教壇に腕を伏せて寝てしまった。適当すぎる先生だとクラスの皆は思っただろう。俺も思ったが、それよりも面倒な先生ではないから大丈夫だと安心する。ジュスティスはソンノ先生に言われたとおりに自己紹介を始める。


「皆が知ってると思うけど自己紹介を。俺の名前はジュスティス・コンデムだ。皆が楽しい二年間にしよう!」


 多分だがジュスティスはクラスを引っ張る人物になるだろう。敵に回したらクラス全員から攻撃の的になるので敵に回さずに目立たないようにしよう。


「あたいの名前はミールィ・パコールノスチ。ミールと呼んで!それと特技は運動で好きな物はお肉よ!皆よろしくね!」


 元気があってよろしい、そして胸もデカいしスタイルも良い。苗字が何かエロイのは気のせいだろうか。元気があるのはエリカと一緒だがこれは別格だな。


「タシターン・ソンブル。楽しく過ごせるように努力する」


 はい眼鏡娘きた。青髪だが身長が低くて可愛い、そして無口キャラも性に合って良いと思う。勉強のことで関係を深めるか。それと動物で例えると内気なウサギだな。


 口々に皆が自己紹介を始めた。大人しい女子もいれば元気な男子もいる。このことを十人十色と言うのだと深く実感した。最後に俺の番へと移る。


「えー、俺の名前はザック・ドーフ。最低限楽しい学園生活をできるようにしましょう。よろしく」


 その場が冷たい静寂に包まれるがジュスティスが拍手をすると皆も拍手を始める。短時間で人々を魅力するとはどんなカリスマ性の持ち主だよ。ちょっと怖い。


 それと俺は嘘をついてはいない。ただ大人になっても使える駒を選ぶだけだ。まあ、エリカのお守りという大義名分とエリートになって酒血肉林を目指す本心が合わさってこの学校に入った理由となるのだ。マジで、早く良い成績で卒業して軍のエリートになりたい。



こうして、ザックの奇妙な学園生活が始まるのであった。



ぜひブクマお願いします。

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