森抜けて街に行き
部屋を出て森に入ってから俺は、ずっと自身の力を試していた。
「……よっと」
軽い口調で相手の攻撃を避ける。
相手というのはもちろんモンスターだ。
見た目は豹に近いが深い緑色で大きさが3メートルほどと動物にしては馬鹿でかい。
足は人の胴近くあるかもしれない。
眼は赤く生き物として不気味さが拭えない──まぁ、同じく紅い眼の俺が言えたことではないのだが──。
名前はグリムパンサーと言いレベル80あるのだが、今そいつの攻撃を避けている。
「グルゥゥッ!!」
グリムパンサーは、避けられたことに怒りを顕にする。
目の前で自分を威嚇する自分の体より大きい生き物にこんなものかとため息をつく。
もういいかと心の中で思っているとそれに気づいたのかグリムパンサーが今までより若干速い速度で跳び込んでくる。
あくまで若干速く感じるだけであり俺には小走りと駆け足位の差しかないのだが。
喉元辺りを食い殺さんとばかりに跳んでくるグリムパンサーを身を少し翻して避け、逆にこちらが首に刃を振り下ろす。
「────フッ!」
吐く息と同時に振り下ろした剣がグリムパンサーの首を何の抵抗もなく落とす。
ドサッと音をたてながらその場に体が倒れ倒れた拍子に血が溢れていく。
「ふぅー」
また少し息を吐いて整える。
そうすると頭に声が聞こえてきた。
『グリムパンサーの根源を捕食できました。
以下の能力が手に入りました。
能力 『獣の本能』
能力 『グルメ─食肉の極意』
能力 『鋭利な牙爪』
能力 『狂気なる過保護』 』
『レベルアップしました。 10→23
ステータスがアップしました。 』
頭の中で聞こえたこれはレベルアップと俺の能力の力である。
──固有能力 『根源捕食』──これが初めに響いた声の力である。
根源捕食の能力は相手を倒した際、相手の根源──言わば能力──を捕食し自分の物に出来るというものだ。
まぁ、チートである。
だが、これにも欠点はある。
この力は能力であれば何でも取り込むため脆弱系の能力もとってしまうのだ。
使用しないように気を付ければ問題ないのだが、持っているというだけで弱点が増えていることになる。
もう1つの欠点としては、絶対に相手が持っていた能力が手に入るとは限らないことだ。
俺の能力は、捕食であるため能力を食べて力に変える。
その際何かしらの影響で能力同士が合わさったり、全く違う別の能力が出来たりとどこかしら不備がある。
まぁ、これにしてもいいものが出来ることがあるわけだからプラスにとればいいものを作るための失敗だと思えば良いということになる。
「さて、もう森を抜けるか……」
森に入ってからまだ2時間ほどだが、モンスターを相手にせずに走れば30分ほどで着く距離だ。
今までの奴らが俺の元にまで辿り着くためにはこの森を抜けなくてはならないのだが大体一週間かかるらしい。
まぁ、そんなことを言ってたな程度でしか覚えてないため定かではないが……。
そんなことを考えながらモンスターの素材を回収する。
回収……。
そう念じると俺の周りの景色が歪み素材がそこに吸い込まれる。
これは時空魔法を使用している。
どんなものかと簡単に言えば某青いロボットの腹についているポケットと同じようなものだ。
この魔法は時空魔法持ちであれば使えるのだが物を詰め込むだけ魔力を消費する。
そんなものを使うくらいならとアイテムポーチを使用してるものが多く人気がない。
しかし、魔力量の多いものや必要最低限だけ持てればいいものは使用しているのだ。
現に俺の魔力量は百分の一も減ってはいない。
素材を回収し終えると先程までとは比べものにならない速度で森を駆け抜ける。
木々を飛び越え、出てくるモンスターを相手にせずに抜ける。
その風圧でレベルの低いモンスターは吹き飛び、高いモンスターも耐えるほかない状態だった。
そうすると、霧深かった森に光が差す。
どうやら森を抜けるのは20分程度で予想より早かったようだ。
森を抜けて広がっていたのは草原と舗装された道であり遠くにうっすらだが街の城壁が見える。
そこに向かって歩く行商人のような一団に紛れて城壁を通る。
「おい、お前 身分証は持っているか?」
ずらずらと一列になって次々と検問される中俺の番が来る。
「いや、持っていないんだ。 どこで作れる?」
「それなら、こっちで簡易の身分証が作れる 安銅貨2枚だがもちろんもっているだろうな?」
「いや、俺の住んでたのは森だったからその安銅貨?とか言うものも分からない」
そう俺が言うと門番は呆れているのか同情しているのか分からない顔ではあるが簡単な説明を受ける。
それによるとここの通貨は下から安銅貨、銅貨、銀貨、金貨の順番でそれぞれが1つ上の硬貨の10分の1の価値だ。
銅貨や銀貨、金貨は分かるのだが安銅貨と言うものが分からず見本を示されたが正直に言って汚い。
灰色なんだか緑色なんだか分からない色で強いて言うならチョコミントに近くまた、他の硬貨と違い光ってはいない。
「今回は俺が貸してやるから、後お前が簡易な身分証じゃなくてしっかりしたものがいるなら冒険者組合か商工組合に行って登録すれば良い。」
そう言ってから身分証を作り終えると、門番としての業務に戻る。
フードを深く目深に被った俺の門番の前を通ると黒い髪の毛紅い眼の色を少し見えたのか呆然とたっている。
こうして人としての門を潜るのだった。
こんにちは七八転です。
最近はじめて感想をいただきましたがこの有り様です。
また週に一本ずつしっかりやっていきたいと思います。




