悪魔教現る
「もう二度とこんな強行軍しないでくださいよっ!!」
帰り道、俺はアンナにこれをずっと言われている。
「あーはいはい、わかってるよー、うん、わかってる」
「本当ですか? 絶対ですよ!! 絶ッ対!!」
うーむ、そんなに前フリを入れてくるとは……もう一度したいんだなぁ、ってなことを考えてるのに気付いたのか、アンナが体を強ばらせる。
「あの……もう一度もしたくないんで……わかってますよね?」
「……ッ!?」
底冷えした声でアンナが言う。
いかん、逆に此方が怖がってしまった。
何かこの数時間でたくましくなったなぁ……この娘。
「全くッ!誰のせいだと思ってるんですかッ!!」
アンナが声を荒げる。
俺ですね、はい。
て言うか、アンナさんや……読心術でも持ってるの?
さっきから心の声がバレてるんだがどういうこと?
そんなことを思いながら歩くと街に着いた。
「さぁ、早くギルドに行ってほうこ──『うがぁぁぁっ!!』──きゃっ!」
アンナが話しかけてきたときに突然現れた暴漢を俺が止める。
「何だ? こいつ」
「聖女ッ!……聖女ぉぉぉッ!?」
「ひッ!?」
暴漢が叫びながらなおもアンナに近づこうとするため物理的に気を失わせる。
その一瞬、微かに男の瞳が光って見えた。
ん?、こいつ何か憑いてないか?
ヒトモース 種族 人族
状態 狂信
は? 狂信?
鑑定してみると驚愕する結果だった。
聖女であるアンナを信仰してるのか?
「なぁ、アンナ こいつ知ってるやつか?」
俺の言葉に怯えて蒼い顔のアンナが首を横に振る。
んー……じゃあ、誰のだ? 誰の狂信じゃなんだ?
そんなことを考えてると騒ぎを聞きつけたのか衛兵とギルドマスターのジンがやって来た。
「どうしたんだッ!? 何があったッ!」
ジンが声を上げながらこちらに目を向ける。
衛兵とジンにここまでの事を説明する。
そうすると、衛兵が暴漢の身柄を預かるというので渡した。
「で……あいつに狂信って状態になってたんだがジン、どこのかわかるか?」
衛兵が去った後、俺がそういうとジンが思案顔になり、
「そりゃあ、多分悪魔教だ」
と言った。
「悪魔教? 何だそれ?」
「おまっ!? そんなことも知らないのか?」
ジンに呆れたような顔で言われてムカつきはするが事実知らないので首肯する。
「はぁ……。 まぁ、いいや。 で、悪魔教ってのは月の名称にある魔王を信奉する宗教の1つだ。 まぁ、悪魔教知らないなら魔王のこともあまり知らないだろうから、一応説明すると、月の魔王ってのはこの世界で最も強かった封印されし魔王12体を指していてな、1の焔王から12の響王まであってそれを暦としてるんだ。その中の一柱が、7の悪魔王、ガイザール・トイフェル、それでそいつを信奉してるのが悪魔教だ。 どの魔王にも信奉者がいてな、あいつらの目的は、魔王の復活と復活後の障害の排除なんだが、最近活発に活動しててな、軍からも特別指名手配されてるんだ。」
「じゃあ、何でアンナが襲われたんだ?」
ジンの説明では、アンナが襲われた理由が不明だ。
多分、職業の聖女に関係するものなんだろうが、ここにいる人の大半はそれを知らないはずである。
「恐らくだが、復活の儀式やらで若い娘の血を使うって言う噂もあるから、それじゃないか? もしくは聖女と勘違いされたかだな」
ジンの言葉に疑問が湧く。
「聖女だと何かあるのか?」
「そうか、知らないんだったな、魔王の封印したって言われているのが勇者と聖女なんだが勇者はその時、一緒に封印されていてな残った聖女を信者は亡きものにしようとしてるんだよ」
なるほど、魔女狩りならぬ聖女狩りってことか。
て、ことは勘違いじゃなくアンナの職業を見れるやつがいるってことだな。
そのまま、アンナに目を向けると俺の服の裾を掴んで身を寄せていた。
「じゃあ、依頼報告はジン、やっててもらって良いか?」
「あっ!? まぁ、良いが……」
「じゃあ、よろしく」
そう言いながら宿へ向かう。
悪魔教か……もう少し調べてみるか
そんなことを考えながら。
お待たせしました。七八転です。
色々ありまして、投稿できずにいてすみませんでした。
これからは出来る限り出していくのでよろしくお願いします。




