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訓練と不穏な影

長い間お待たせしました。今年最後の予定です。来年からまた始めていきたいです。

すみません短めです。

久しぶりの睡眠は中々良いものだった。

変な事を言ってるように思えるが、実際そう感じたのだから仕方ない。

リッチーだった時は、睡眠を必要としてなかったのだ。

昨日ベッドで寝たときのあの全身を包まれる感覚を思い出した。

あぁ……ダメだこれ。 野宿とかできる気がしない。

まぁ、取り敢えず朝スッキリ爽快な気持ちで目覚めた俺は、身だしなみを整えて、朝食を摂りに食堂へ向かう。

この宿、一階は食堂になっているらしく、二階と三階それと屋根裏の一部が宿の部屋になってるらしい。

食堂に来ると先にアンナがいた。


「おはようございます。 ヨズルさん」


「あっ、あぁ、おはよう」


すぐに此方に気づいたアンナが声をかける。

とてもいい笑顔で。

少し間をおいて挨拶を返す。

いかんいかん、また意識がトリップしていた……。

取り敢えずアンナと同じ席に座り、軽めの朝食を頼む。

因みにここの料理は昨日見た美魔女主人の旦那さんが作っているらしい。

とても厳つい顔をしている。

人は見掛けによらないと言うのを今初めて間近で見た気がする。


「あっ……あの……今日はどうすれば?」


朝食を摂り始めるとアンナから質問を受ける。


「そうだなぁ……」


そう言えばどうするかまでの具体的なことは考えてなかった。

それに自分自身の能力はほとんど捕食して手に入れたものだから教えて貰ったことなんかないのだ。

まぁ、あれをやってみるか……。





★★★


「もっ……もう……むっ、むっ……りぃです……」


そう言いながらアンナは倒れた。

あっ、先に言っておくが無理をさせた訳じゃないぞ?

アンナにやらせたのは召喚術についての本を用いた座学とそれの実践だ。


「大丈夫か? 紋章作って召喚するだけだぞ?」


「い、いや……いきなり召喚術の基礎だけ教えて魔物相手に『はい、実戦』って何十回も行わされたら、いくらなんでも魔力枯渇しますよぉー……」


俺の言ったことにアンナは反論する。

ん? 何かおかしいか? 基礎さえ分かればスキルレベルが1つくんだから、後は実践・・してレベルあげるしかないだろう?

それに魔物倒したら素材は入るし、一部は使い魔に出来るし、自分のレベルも上がるから、一石二鳥どころか一石四鳥じゃないか。


「どれだけ旨みがあっても普通やりませんよ、こんな強行軍……」


俺の心の声が聴こえたのか、アンナはそう言った。


「だが、やり始めてまだそんなに時間は経ってないだろ?」


「だから!それが問題なんですよ!始めて三時間で何でこんなに魔物を倒させられるんですか!!」


俺の言葉にまたも反論するアンナ。

何かこの数時間で彼女はどんどん反論とか大声をあげる。

これが反抗期とか言うやつかッ!?

…………ごめんなさい、嘘です。やりすぎました。だから、その目だけで訴えてくるのは止めてくれ。滅茶苦茶怖い。

アンナの目から光が消えて無言で此方を見る姿はまるでドラゴンを相手にしてる感覚だった。


「はぁ……じゃあ、ステータス確認してみるか」


そう言ってアンナに『視覚共有』をかけステータスを見る。



アンナ・ニュクス


種族 人間ヒューマン


固有能力ユニークスキル

・魔の支配者

・救聖の担い手

・聖女の加護(大)

・剣技の超越(未解放)

・宵闇の加護(大)

種族能力スキル

・剣術 レベル4

・魔術 レベル6

・召喚術 レベル3

・家事 レベル7



今回はスキルのみに限定している。

「あっ、召喚術レベル3になってる」

アンナは自分のステータスをまじまじと見ている。

次は魔の支配者の能力の制御をしたいところだが、もうアンナにはしんどいだろうと帰ることにした。




★★★


その少し前

「聖女様がいる匂いがするぞ……クックックッ! 我らが悲願のために最後のピースになってもらいましょう……」


そう言うと一人のローブ姿の男を先頭に十数名のローブ姿の者たちが何かに祈りを捧げ始める。

周りが暗くなっている部屋でローブの男たちの瞳だけが妖しく光っていた。



今年はこれが最後の予定です。

来年からまたがんばります。

ではでは皆さんよい年を。

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