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殺人遺伝子  作者: 菱川あいず
第4章
55/55

報告

 小美濃有菜はこの世を去った。

 包丁の刃先はさきは、有菜ママの心臓にまで届いており、彼女は即死だった。

 楡の通報で駆けつけた救急隊員が形だけの救命措置をする様子を、楡と澄花はどこかめた目で見ていた。

 

 澄花が刑事罰に問われることはなかった。

 楡の命を守るための澄花の行動は、おそらく正当防衛せいとうぼうえい該当がいとうする。

 しかし、澄花は「それ以前の問題」によって処罰をまぬがれた。

 殺人遺伝子保有者の生命は刑法で保護されていないのである。殺人遺伝子撲滅法には、刑法199条の殺人罪が、殺人遺伝子保有者を被害者とする場合には適用されないことが明文で規定されている。

 皮肉ひにくなことに、澄花は最後の最後で殺人遺伝子撲滅法によって救われたのである。


 とはいえ、刑事罰に問われないことと、澄花の中での罪悪感は別問題である。

 たしかに澄花の行為は楡を救うためにはやむをえないものであったし、澄花を物以下の存在として扱っていた有菜ママに対して、澄花がなさけをかける余地はないといえる。

 しかし、有菜ママを刺した直後に澄花が震えていたところを見ても、澄花の優しい性格を考えても、澄花が有菜ママを殺してしまったことを気にしていないということはありえない。

 それでも、澄花はあの日から有菜ママのことを口にすることは一切なく、まるであの日がなかったかのように暮らしていた。


 そうやって1年半もの月日が経過した。





「澄花、ちょっといい?」

「ん、楡、どうしたの?」

 表計算ソフトとの格闘かくとうを中断した澄花が、オフィスチェアーの背もたれに寄りかかるようにして、楡の方を振り返る。

 落ち着いた色のカーディガンですら、澄花が着ると華美かびなものに見えてしまうのは不思議である。



「澄花、一昨日渡した訴状、松山の裁判所に送ってって頼んだよね?」

「うーん、たしかそんな気がする」

「さっき、裁判所から電話があったよ。千葉地裁松戸支部から」

「ふーん、どうして?」

 

 澄花のの抜けた反応に、楡は思わず吹き出してしまう。



「いやいや、『どうして?』じゃないよ?澄花が松山と松戸を間違えて郵送したんだからね?」

「え?マジで?ごめん。本当にごめん」

 澄花が頭を抱える。



「両方『松』が付いてるから間違えちゃった……」

「『松』が付いてる地名なんて、日本にたくさんあるからね。裁判所の所在地だけで考えても、松江と高松があるから」

「そうか!『松』には注意だね!」


 澄花はスカートのポケットから赤いメモ帳を取り出すと、空白のページに「松に注意!」と殴り書きした。

 澄花曰く、このメモ帳は、忘れてはいけないことを書くためのものらしい。

 


 司法修習を終え、無事弁護士資格を取得した楡は、弁護士事務所に就職することなく、貸しオフィスの一室で早速個人事務所を開設した。いわゆる「即独ソクドク」である。

 

 澄花は事務員としてやとっている。

 最初は掃除そうじやお茶汲ちゃくみだけやってもらおうと思ったのだが、澄花が拒絶したことと、楡一人では仕事が回りきらなかったことから、結局普通の事務員と同じように働いてもらっている。

 義務教育を受けたことのない澄花にとって、まさに右も左も分からない状況からのスタートだったが、1年半経った今ではそれなりに仕事をこなしている。

 ミスも少なくはないが、お客さんも楡も澄花の愛嬌あいきょうめんじて許してしまうため、業務に支障はない、といっていいだろう。


 オフィスは鹿児島で借りた。

 弁護士過疎地べんごしかそちの方が即独しても仕事が入ってきやすかったという配慮もあるが、何よりも澄花が過ごしやすい土地を選んだ。

 のち冤罪えんざいであったことが明らかにされたとはいえ、一旦殺人犯として顔写真がバラまかれた以上、人の多い都会で過ごすことは困難だった。

 人口が少なく、若い人の人口はもっと少ない九州の田舎いなかの方ならば後ろ指さされないで生活できるだろう、という楡の思惑おもわくは、実際のところ上手くいった。

 澄花の顔を見ても市川の事件を連想しない人がほとんどだし、報道を知っている人も澄花に同情することはあれども、色眼鏡いろめがねで見ることはなかった。

 楡にとっての嬉しい誤算ごさんは、せまいコミュニティーの中で澄花がまるで「みんなの孫」のように可愛がられていることだ。これも澄花の愛嬌によるものだろう。



「まあ、今回の訴状の送り間違いは大事おおごとにならないからいいんだよね。別に時効じこう提訴期間ていそきかんが問題になる事件じゃないからさ。それより、澄花、今朝机の上に置いてあった書類には目を通した?」

一枚紙いちまいがみのやつ?」

「そう」


 澄花がわざとらしく楡の顔を覗き込む。

 澄花の猫のように大きな目が近づいてくるのを避けるように、楡はうつむく。



「印鑑は押してくれた?」

「事務所名の印鑑押せば良いの?」

「違うよ!」


 楡の慌てる様子を見て、澄花が悪戯いたずらっぽく笑う。

 楡は無意識のうちに、この笑顔が心の底からのものなのかどうかを見極みきわめようとしていた。



「まさかとは思うけど、楡、あの書類を私一人に提出させようとしようとしてるの?さすがに事務員使じむいんづかいがあらいんじゃない?」

 

 今朝、楡が澄花のデスクに置いた書類、それは楡の名前と印鑑をした婚姻届こんいんとどけだった。


 今日、6月1日は澄花の20歳の誕生日である。

 2年前に楡が勘違いしてお祝いしてしまった6月14日とはわずか半月ほどの差しかない。いつの日だったかそのことを澄花に指摘すると、「誕生日祝いは1日だって遅れちゃダメなんだからね!」と茶化ちゃかしてきた。



「まさか、澄花一人で行かせようだなんて思ってないよ。今日の午後は法律相談が一件も入ってないから、一緒に役所に行こう」


 突然、澄花が顔を覆う。

 もしかして照れて赤らんだ顔を隠すためなのではないかと期待した楡だったが、実際は期待以上のことが起きていた。澄花は感動して泣き出していたのである。



「……楡、最高の誕生日プレゼントありがとう」

「受け取ってくれる?」

「うん。喜んで」


 楡の胸が高鳴る。今まで生きてきて一番幸せな瞬間が楡に訪れたのだ。



「ちゃんと結婚指輪だって用意してあるんだ」


 澄花がこちらの様子をうかがえるだけの余裕がないことを確認した楡は、ポケットから取り出した指輪の入った小箱を、そっと澄花のデスクの上に置いた。



「ところで澄花、名字はどうする?」

「名字?」

「日本では夫婦別姓は認められてないけど、旦那だんなの名字を名乗るか奥さんの名字を名乗るかは決められるんだ。僕は飯野姓でいいかな、って思ってる」

「ううん。佐伯姓でいいよ」

「でも、澄花、もう名前が変わるのはりでしょ?せっかく安原から飯野に戻ったんだから、また変わるのは嫌でしょ」


 白い指の隙間から澄花の笑い声がれる。



「そんなことないよ。名前が変わるのは別に大丈夫。ただ……」

「ただ?」

「捨てられるのはもう懲り懲りだから、楡には私を捨てないで欲しい」


 顔から手を離した澄花は、に充血した目で楡をまっすぐに見つめる。

 楡はまっすぐにそれを見返す。



「捨てるわけないよ。澄花と一生一緒にいるって約束する」


 椅子から立ち上がった澄花を楡は抱擁ほうようむかえ入れ、そのまま唇に唇を重ねた。

 「事務所内ではイチャイチャしない」が2人のルールだったが、今は事務所には2人しかいないし、何よりも今は特別な時間だから仕方があるまい。



「ねえ、楡」

 楡の耳元で澄花がささやく。



「何?」

「結婚式はどうしようか?」

「澄花が決めていいよ。予算はなんとか捻出ねんしゅつするから」

「ありがとう。じゃあ、鹿児島でやろう」

「いいね。たくさん人が呼べそう」

「柊も呼ぼうね」

「もちろん」


 柊は今、「コルザ」の建物で一人暮らしをしている。

 楡と澄花が鹿児島に行く際、「柊も一緒に鹿児島に来て」と澄花が誘ったのだが、「アツアツな二人を邪魔じゃまできないから」と柊は笑って辞去じきょした。まさか澄花は鹿児島での三人暮らしを提案したわけではないとは思うのだが、柊にとっては慣れた地元の方が過ごしやすい面もあるだろうから、これ以上楡から強く誘うことはなかった。


 育ての母である有菜ママを失ったことは、柊にとっては決して小さなことではなかったはずだ。

 しかし、柊は今回の一件を誰よりもよく理解していたから、澄花を責めることもなく、割り切って生活しているようである。



「結婚式は鹿児島でやるにしても、千葉に報告に行かなきゃね」

「報告?僕のお父さんにってこと?」

「それもそうだけどさ」


 澄花は深呼吸をして、新しい空気を取り込む。



「有菜ママのお墓に報告に行かなくちゃ」


 楡はようやく気が付いた。楡だけでなく、澄花も分かっていたのだ、と。

 

 あの日、楡が住んでいた千葉の家で、有菜ママは、澄花を愛していない、と言った。

 しかし、それは嘘だった。

 

 澄花が「コルザ」に迎え入れられたのは、有菜ママの身代わりとなるためである。

 澄花を受け入れたその日から、いつかは澄花を殺さなければならないことが決まっていた。だから、有菜ママは絶対に澄花を愛してはいけなかった。澄花に少しでも情を抱いてしまえば、遺伝子すり替え計画を遂行できなくなってしまう。

 そのために、有菜ママは「コルザ」でなるべく澄花を遠ざけていたはずだ。

 「澄花を愛してはならない」というおまじないを心の中で唱え続けていたはずだ。

 それでも澄花は有菜ママの心の中に入り込んでしまった。



 澄花が楡を助けるために台所から包丁を取り出して有菜ママに迫っていったとき、有菜ママは反射的に銃口を澄花の方に向けた。

 拳銃の射程しゃていと包丁の射程は比べるまでもない。有菜ママが引き金を引いて澄花に発砲はっぽうすることはいとも容易たやすかったはずである。

 しかし、有菜ママは引き金を引かなかった。

 澄花が自分に包丁を突き刺すのをじっと待ったのである。

 

 そして、有菜ママと正対せいたいしていた楡は、誰よりも近い距離で見てしまった。

 澄花に刺され、崩れ落ちていく瞬間、有菜ママが優しく微笑んだところを。


 あのとき、有菜ママは自分の暴走を澄花によって止めてもらい、自分の代わりに澄花に生きてもらうことを望んだのである。

 それは、有菜ママに澄花への愛情がなければ、絶対にありえないことだった。

 


 有菜ママが澄花を愛していた-このことを澄花に伝えることを楡は躊躇ちゅうちょしていた。

 有菜ママを殺してしまったことの罪悪感を薄めるためには、有菜ママは澄花にとってにくむべき存在であった、と澄花に思わせておいた方が良いからである。


 しかし、それは楡のし苦労だったようで、澄花も有菜ママの愛情に気付いていたようだ。

 実際に有菜ママと長い期間を一緒に過ごしていたのだから、当然といえば当然なのかもしれない。



「そうだね。2人で報告に行こう」

「うん」


 澄花の罪悪感も一緒に背負っていく覚悟をした楡は、澄花の身体を再び強く抱き締めた。





(了)





 拙作「殺人遺伝子」を最後までお読みいただきありがとうございました。

 なろうでは絶対に日の目を見ない作品だと覚悟して連載を始めたものだったため、完結までに1500ptを超える評価、9万PVを超えるアクセスをいただいたことに対し、信じられない想いであると同時に、皆様への感謝の気持ちがやみません。本当に本当にありがとうございました。


 まず、拙作のストーリー作成過程を紹介したいと思います。

 「殺人遺伝子を持った少女と出会う」という拙作の始まり方は、1年ほど前から思いついていました。しかし、その始まり方以降の具体的なストーリー進行はなかなか思いつかず、考えては諦め、考えては諦め、ということを繰り返していました。

 その中で、2つの毛色の異なるストーリーの大枠が思いつきました。

 ①殺人遺伝子撲滅法の廃止を求めて国と戦うストーリー

 ②殺人遺伝子を持った少女が殺人事件を起こし、主人公が本当に少女が人を殺したのかどうかを問うストーリー


 ①の方は社会派色の強いストーリーで、②の方はミステリー色の強いストーリーです。

 どっちのストーリーにするか決めかねているうちに、僕はある推理小説と出会いました。


 「連続殺人鬼カエル男」


 「さよならドビュッシー」と同時期に作られた中山七里先生の代表作で、少しコミカルなタイトルに反し、中身はゴリゴリの本格推理小説です。

 この作品は、精神異常者の犯罪と刑法39条(責任能力)という社会的な問題を扱いながらも、終盤では何度もどんでん返しがあって、社会派的な話とミステリー的な話を見事に両立していたのです。

 「これだ」と思いました。僕も「殺人遺伝子」で上の①と②を両方組み合わせれば良いのだと。

 

 そうと決まったのち、本作の最初のどんでん返しであるヒロインが実は別人だった、という下りは、すぐに思いつきました。

 難産だったのは、2段目のどんでん返しである、殺人遺伝子保有者が柊ではなかった、という下りです。

 この2重の遺伝子すり替えは、ひらめいたというよりは、無理やりに捻り出したものでした。

 というのも、柊が殺人遺伝子保有者だとすると、澄花は柊を殺せないので、「初夜」の最後で表現したような袋小路に入ってしまうのです。澄花にひっそりと生きてもらうか、それとも柊を殺してしまうか、どちらの選択肢をとるしかなくなります。これだとストーリーとしての収まりが悪いな、と感じた僕は、なんとかこの袋小路から抜け出す方法を模索しました。そのために樹形図やら数式やら、およそ小説家らしくないものをたくさん書き、ついに2重すり替えのトリックを思いついたわけです。



 さて、ストーリー作成過程の裏側はこのくらいにいたしまして、次に僕の野望を書きたいと思います。

 僕が頭の中がごちゃごちゃになりながらも頑張って本作を書き続けた動機は、自己顕示欲のほかにも存在しています。


 なろうに本格推理小説を広めたい


 という大それた野望です。

 拙作が果たして本格推理小説とまで言い切れるかはさておき、なろうには本格推理小説というものがほとんど存在していないと思います。「推理」ジャンルのランキング上位の作品も、それはそれでよいと思うのですが、せいぜい「推理テイスト」と呼べるくらいのものが多く、厳密に言うと「推理小説」ではないものがほとんどだと思います。

 そして、皆さんもご存知の通り、なろうにおいて「推理」のジャンルは閑古鳥が鳴いています。ありがたいことに拙作は何度も日間ランキングで1位をいただいていたのですが、1位になってもアクセス数が爆発的に増えるわけではありません。他ジャンルでランキング上位をとった場合の数十分の1、数百分の1くらいのアクセス数がせいぜいなので、なろうにおいては「推理」ジャンルの作品にはシンデレラストーリーが用意されていない、と言っても過言ではないと思います。


 このような状況は、高校時代から推理小説ばかりを読みふけり、高校2年の進学の日、空き時間に東野圭吾先生の「殺人の門」を読んでいたことから気味悪がれ、以降クラスでボッチロードを突き進んだ僕にとっては驚くべきものであり、まさに「異世界転生」をしてきたかのような不思議な感覚さえ抱かせるものでした。


 同時に、もったいないな、と思いました。推理小説についてもなろうという大海からたくさんのアイデアが発掘されるべきだと思いますし、読者の方には推理小説特有の読後感をぜひとも味わって欲しいと思いました。

 なので、僕は本作の「殺人遺伝子」を推理小説の「入門書」としようと思いました。

 キャッチーなタイトルと、「SF」「恋愛」といった他ジャンルとの融合によって普段推理小説を読まない層にも読んでいただけるような小説になるように心がけました。美しくはないと思いつつも、後書きでトリックについて解説し、推理小説慣れしていない読者様に、推理小説を楽しむためのノウハウを授けさせていただこうとあがきました。


 僕の試みがどこまで成功しているかどうかは読者様の判断に委ねるしかありませんが、僕としてはやれるだけのことをやったつもりではあります。


 その上で、もしも僕を支援してくださる方がいるのでしたら、どうかブックマークや評価を下さい。

 僕は拙作をなろうにおける推理小説の「入口」として、なろうに訪れた人の誰にでも見つけてもらえるような位置に置きたいな、と願っています。そのためには年間ランキングで上位にいることが堅実な方法なのかな、と思っております。

 現在、拙作はジャンル別「推理」の年間ランキングで9位に位置しています。願わくば、この順位を一つでも上に上げたいと思っております。


 pt評価を強制するつもりはありませんし、pt評価をして下さらなくても拙作を楽しんでくださっている方がたくさんいらっしゃることは十分承知しております。

 しかし、pt評価をいただく以外に拙作が「日の目を見る」方法がないのもまた事実なのだと思います。文章評価1、ストーリー評価1であっても、2pt稼げるので何もいただけないよりもマシだと考えています。皆様、ぜひともお力をお貸しください。

 楡と澄花のご祝儀としてもptを募集しています←ぇ




 最後に、拙作に感想を寄せてくださった、


 結城亜美様、えおぢ様、菅康様、雨城光様、なにいろ様、天近嘉人様、KEY様、皐月鋭太様、晴れのち曇り所により雨が降るでしょう様、青明様、(・ ・;)様、緋和皐月様、石屋様、cloverclover様、松村道彦様、あおいカムイ様、のぎ様、山本周波数様、天通屋様、空見未澄様、XIA_REVEL様、羽鳥小鷹様、さいこ様、奇々様、橘いぶき様、カエデ・L・コルニアス様、アキト様、太鼓様、クレヨン様、カミユ様、茶自転車様、コウキ様、中村尚裕様


 拙作にレビューを寄せてくださった、


 菅康様、(・ ・;)様、緋和皐月様、晴れのち曇りところにより雨が降るでしょう様、皐月鋭太様、空見未澄様、奇々様、天通屋様、羽鳥小鷹様、カミユ様、名無し様、夢見裕様


 拙作にイラストを提供して下さった

 

 カミユ様


 そして、twitterやメッセージ機能で拙作について意見や感想を寄せてくださった方々、拙作に評価をくださった方々、拙作にブックマークをしてくださった方々、拙作を読破してくださった方々、一瞬でも拙作に目を通してくださった方々、


 本当に本当にありがとうございました。

 皆様の力がなければ、拙作は存在していません。なろうというサイトの素晴らしさを改めて実感しました。

 

 拙作が完結しても、作者として読者として僕はこのサイトの利用者であり続けます。



 今後ともよろしくお願いいたします。



2020年2月28日追記

この「殺人遺伝子」が完結したのは、ちょうど僕が社会人になった頃でした。僕は今社会人4年目なので、3年前ということです。


そもそも、僕がなろうで創作を始めたきっかけは、同業の先輩から「この仕事に就くと創造的なことがあまりできない」と聞いたことでした。それで、仕事に就く直前期から執筆活動を始めました。


この作品の後もいくつかミステリーを書きました。比較的高い評価をいただいたものもありました。ただ、仕事が忙しく、創作に費やす時間(書く時間というよりも構想する時間)がなくなりました。そのため、「殺人遺伝子」を超える質・量の作品は書かなかったですし、徐々にこのサイトからも遠ざかってしまいました。


しかし、創造的なことができないということは、息ができないのと同じくらい苦しいことで、いつかこのサイトに戻って来ないといけないとは常に思ってました。


久々にサイトに戻ってきた僕にとって、「殺人遺伝子」が今でも多くの人に読まれていることは嬉しい喜びでした。

他方で、いつかこの「殺人遺伝子」を乗り越えなければならないなという想いも強まりました。


そこで、最近もまたミステリーを執筆し始めました。正直まだリハビリ段階で、自分でも納得しきれる作品にはなってません。やはり圧倒的に時間も足りません。


それでも作者に期待してくれる読者がいるのであれば、今後生み出す作品にも注目していただきたいです。


最後に、宣伝をさせてください。


作者はなろうでミステリー(もしくはミステリープロットのファンタジー)をいくつもアップしています。


その中からオススメの作品をピックアップして紹介します。


1 「怪しいバイト(短編ミステリー)」

第6回なろうコンで、「殺人遺伝子」同様に1次審査を突破した作品。プロットには相当な自信がある。


2 「タイムループは終わらせない」

「殺人遺伝子」の少し前に書いた長編ファンタジー。ptの平均評価は「殺人遺伝子」よりも高く、作者的にも会心作。ミステリーファンに読んでもらいたい。


3 「小説家になろう殺人事件」

センセーショナルなタイトルもあって、「殺人遺伝子」の次にバズった作品。アイデア一本勝負の短編ミステリー。


4 「引きこもり民俗学者と漁村連続殺人事件」

コメディーと推理を融合させたいという試みから生まれた作品。人気が出たらシリーズ化したい。


5 「この不思議過ぎる7つの媚薬は、俺の妹愛を加速させようとしている」

一話完結型のファンタジーだが、各話がミステリープロット。作者的には「殺人遺伝子」よりも面白いと思うのだが、おそらく作者の感覚がズレている。


6 「潜水館の殺人」

今週アップした作品。ようやく「本格」の意味を理解した作者が、物理トリックメインのクローズドサークルに挑んだ意欲作。


7 「宇宙人が企てた無差別殺人」

8 「フィクション殺人事件」

7と8はともに初期作(8は初めて書いた作品。)。荒削りだとは思うが、発想が自由で、作者の本質に実はもっとも迫ってるであろう作品。


9 「プロフィギュアスケーター灰田那月を殺したのは誰か」

たしかに古典的な仕掛けの組み合わせで陳腐かもしれないが、作者的にはもっとも完成度が高い作品の一つなので、もっと評価してほしい。



以上です。


pt的には、上で紹介した作品よりも人気が出た作品もあるのですが、作者的なオススメは上の9作としました。


なお、現在、SF恋愛ミステリーを構想中です。「殺人遺伝子」とはだいぶ趣は異なりますが、相当複雑な心理描写をすることになるのではないかと思ってます。

タイトルは「ANMEースマホになった彼女と彼女を探す旅」になる予定です。

近々執筆開始します。


2020年3月29日追記

本日、「ANME〜僕と彼女と「もう一人の彼女」〜」を完結させました(86000字)。

「殺人遺伝子」に負けないくらいのどんでん返しと恋愛、SF要素を詰め込みました。ミステリとしては「殺人遺伝子」よりも上級者向けかもしれませんが、ご覧いただけるとありがたいです。


2020年12月7日追記

2020年11月、「ANME〜スマホの中の失踪少女〜」がステキブックス(ステキブンゲイ)さんより、電子書籍化しました。

ステキブンゲイさんの編集担当者の方との最初の打ち合わせで僕は「ANMEよりも殺人遺伝子を書籍化して欲しい」と言いました。実現することを祈っています。

電子書籍化の関係で、ANMEはこのサイトからは削除しました。

その代わりと言っては難ですが、ANMEの後に書いた「殺意の論理パズル」という連作短編がそれなりのご好評をいただき、殺人遺伝子に次ぐ評価を受けています。挿絵もたくさんで気軽に読めるので、ぜひ読んでいただきたいです。


今後とも引き続きよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 殺人遺伝子撲滅法。その遺伝子を持っていない人達にとっては不安を減らす法律、殺人遺伝子の保有者はその法律によって犠牲者になる。考えさせられる部分の多い作品でした。 [気になる点] 登場人物の…
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