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死と隣り合わせの謎解き

 



 『2リットル入る瓶の中に半分以上ジュースが入っています。

 その量が100ミリリットル単位で入っているのはわかっているのですが、正確な量がわかりません。


 そこで700ミリリットル入る容器(A)と300ミリリットル入る容器(B)を使って正確な量を知りたいと思います。

 容器はいびつな形のため、マーキングや目算はできません。使える道具は容器(A)(B)と元の瓶の3つだけです。


 どの様に量ればいいでしょうか?』



 

 元の瓶と(A)と(B)の容器が目の前に用意された。

 ピエロが現れて、まくしたてる。


「さぁ、今回も前回と似たような問題ですが、協力しながら回答いただいて結構です。

 もしわからなければ全員ゲームオーバーですよ~~!

 さて、では謎解きに取り掛かってください」



 みな頭をフル回転させて答えを導きだすために、容器を見つめる。

 いつも即回答を出す④番の明智や理数系に強い⑭番の赤橋も腕組みをしたまま、眉間にしわを寄せて考え込んでいる。


 この問題は、頭を柔らかくしないと解けない気がした櫻井。


「どの様に量ればいいのか」と聞いているのだから、とにかく元の容器にどれくらいあったのかさえわかればいいのだ。


 櫻井がぽつりとつぶやく。

「これって・・・全部ジュースを残しておく必要ってなくないか? 捨てるか飲んでもOKなんじゃないかな?」


「それだ!!!!」④番の明智が叫ぶ。


「なるほど。確かに。これは全部残したままで、量るってのは不可能だな」と⑭番の赤橋。


「みんな理解できてるかわからないけれども、私はわかったのでちょっとやってみます。

 まず、700ミリリットル入る(A)の容器と300ミリリットル入る(B)の容器に元の瓶からそれぞれ満杯になるまでジュースを入れます。

 そのあと、300ミリリットルの(B)の中身を全部飲み干します」


 そういうと明智は、300ミリリットルのジュースを一気に飲み干した。


「次に、瓶の中身をまた空の300ミリリットル入る(B)の容器に入れます。

 すると容器の3分の2までいっぱいになり、それで瓶の中のジュースはなくなりました。


 答えは、700ミリリットル+300ミリリットル+200ミリリットル = 1200ミリリットルです」


 ピエロが現れて、クラッカーを鳴らす。


「お見事!!! 正解です!

 ちなみにそのジュースは、解毒剤の元ととなる液体なので、瓶に入れなおして誰か持っていてください。

 さあ、今の問題いかがでしたでしょうか?

 飲む、捨てるといった発想ができないと無理な問題でした。

 それに気づいた櫻井君。なかなかやりますね!

 では、次に右側の部屋へと移動しましょう。」


 9人がそれぞれの思いを抱えて右側の部屋へと移動していく。

 櫻井は、このデスゲームは一体いつまで続くのか・・・なんとしても早く解毒剤を手に入れたい。

 解毒剤の元となる液体の入った瓶は、⑮番の東が持つこととなった。


 右側の部屋に入ると、壁に5cm間隔で7つの大きな正方形になるように釘が打ってある。

 釘にはところどころに青や赤、緑、黄色といった色がついている。

 真ん中のテーブルには、ひもが置いてある。

 ひもの端と端に釘と同じ色が何色かで塗り分けられている。


「さて、みなさん。察しのいい皆さんなら何をすべきかもうわかっていらっしゃると思いますが、

 この無数のひもを壁の所定の位置に結んでいけばある文字が浮かび上がってきます。

 がんばってその文字を作ってください。

 そして、その文字の指示に従ってください。制限時間は30分です。ではスタ~~ト!!」



「みんな、まず長さで分けた後に、色別に分けよう。

 短いのから壁に結んでいこう」と④番の明智が主導する。


「了解」と全員うなずき、まずひもの長さをそれぞれ揃えていく。

 次に長さごとに、色分けをしていく。両端は同じ色が塗ってある。


 短いひもから順に釘の色と合わせて、ひもを結んでいく。


「 」 「に」 「 」 「 」 「て」 「 」 「べ」


 文字が、3つ完成した。


「なんとかになって、とべ なんじゃない? これって」と遠くから文字を眺めていた⑬番の三池が叫ぶ。


 三池のヒントでみんなのひもを結ぶスピードが格段にあがった。


「 」 「に」 「な」 「つ」 「て」 「と」 「べ」



 ここまで完成したとき、新見が最後のワードを叫ぶ。


「わ」だ!!!!!


「わ」 「に」 「な」 「つ」 「て」 「と」 「べ」



 完成した文字を見て、9名から歓声があがる。 

 みんなで輪をつくり、自然に手をつないで、「せ~の」で一斉に飛んだ。


 すると、天上がぱかっと開いて、どさりと何かが床に落ちた。


「は~~~い!はいはい! みなさん! おめでとうございます~~!

 ちょっと簡単すぎましたかね~~?

 今天上から落ちてきたものも解毒剤の材料ですので、ちゃんと持って行ってくださいね~」


 ①番の塩野が取りに行く。


 小麦粉のような白い粉が一袋だけ入ったビニール袋だった。


「では、次の謎解きに参りましょう。

 二階の大広間へと移動していただきます」


 9名は、1階の右側の部屋を出て、階段を上り、二階中央の大広間へと入っていく。


「さて、またこれからは個人戦となります。

 ここでようやくパスするかどうかの選択が可能となりますよ~~~!

 このツアーも佳境に入ってきました。

 おひとりずつ違う問題を5問お出しします。

 制限時間は1時間です。

 全問正解でクリアとなりますが、ここでパスを3回まで使用することが可能です。

 もちろんパスを使用すれば、オールクリアの夢は破れますので

 100万円はもらえないことになります」


 ピエロが、一人一人に問題と筆記用具を配り始めた。


「相談することは、もちろんNGです。自分の力で解いてください。

 パスをすべて使用しても2問は自力で解く必要があります。

 もし解けなければ・・・もうおわかりですよね?

 ここをクリアすれば解毒剤のレシピも手に入ります。

 解毒剤の元となる液体と粉をそれぞれ均等に9名分分けておいてください。

 容器はこちらで用意しますので」


 容器が2個ずつ配られて、⑮番の東が持っていた液体と①番の塩野が持っていた粉を9等分して入れて、それぞれが持つことになった。


「さぁ、ではみなざん。

 100万円をかけてがんばってください。

 でも、がんばりすぎて死なないようにね!」


 ピエロがケタケタと笑いながら、「スタート!」の合図をかける。


 9名の目の色が変わる。

 ここが一つの正念場だと感じていた。

 ここをクリアできれば、ゴールに近づく予感がしていた。

 一斉に問題を解き始める。

 試験にも似た雰囲気だった。


 櫻井も意を決して、問題文を眺める。

 まずは、2問!


 

 

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