デスゲーム
ガスマスクをつけ、チェーンソーを抱えたピエロが正解者のいるモニタールームに現れた。
「あ、このチェーンソー本物ですから」といって、チェーンソーのスイッチを入れて、回転する歯をみんなに見せつける。
「このゲームに対する怒りを私にぶつけられても困りますからね~~。
もし、殴りかかってこられたときのこれ保険ですから。
わたくしは、雇われピエロでございます。
文句があるなら、最後まで生き残ってオールクリアののち主催者に言ってください」
正解者9名が全員、ピエロをにらみつける。
みんな言いたいことがあるが、ぐっと我慢しているようだ。
「さてさて、生き残ったみなさん。
安心してはいられませんよ~~~。もっともっとみなさんに本気になっていただくために、こちらで最高の仕掛けをさせていただきました。
さっき食べたランチ、美味しかったでしょ~~~~?
でもね~、私は食べませんでした!
みんなが美味しそうにほおばるのをうらやましく見ておりました。でも同時に可哀想にとも思ってました。
え? なぜかって??
だって、食事の全部に毒が入ってるからですよ!!!
即効性のある毒じゃないってとこが味噌なんですけどね。
これから10時間後あたりに、みなさんその毒が猛威を振るい始めます。
解毒剤をのまなければ、確実に死にいたりますよ~~。
のたうちまわって死にたくなければ、解毒剤を手に入れてください」
「解毒剤はどうやったら手に入るんだ?」④番の明智が冷静にピエロに問いかける。
「それは、自分たちの手で作っていただくことになります。
解毒剤のレシピは、これから出てくる謎を解いていただくことで自然とわかってきます。
謎はどれも意味があり、答えもそれぞれ意味があることを忘れないでください。
では、続いての謎に進みましょう。
食堂に戻っていただき、玄関から見て左の部屋に移動してください。
逃げようとしても無駄ですよ。死が待っているだけです」
そういって、またチェーンソーのスイッチを入れて、メンバーを脅すピエロ。
みんな深いため息をついて、おとなしく左の部屋へと入っていった。
食堂で倒れていた人々は、消えていた。
主催側が片づけたと思われる。
左の部屋は、6畳ほどの狭い空間で9人が入ると立っていても余裕のないような広さだった。
左の部屋に9名全員が入り終わると、天上がぱかっと4か所割れて、そこからカラーボールが山のようにふりかかってきた。
みんなが頭を抱えて、身を寄せ合う。
こぶし大のガチャガチャで出てくるようなプラスチックのボールが数千個降りかかってくる。
「なんだよこれ!!!」新見が叫ぶ。
あっという間に天上までカラーボールで埋め尽くされた。
「さて、みなさん、今度は共同作業のお時間です。
9名のみなさんで、そのボールの中身を確認してください。
ヒントらしきものが入っていたら、ボールごと壁の穴を通して隣の部屋に投げ入れてください。
まずは、すべてのボールを開けてのヒント探しです」
9名全員から「まじかよ・・・」というため息が出る。
「みなさん、忘れないでくださいね。
毒を飲まされているということを。のんびりやってると解毒できなくなりますよ~~!
ではスタート!!」
みんな一斉にボールを開け始める。
「なあ、これってやっぱ開けないとだめかな? 振ってみてなんか入ってそうだったらあけずに投げ入れたらどうかな?」と⑬番の三池。
「それがいいな。入ってるかわからないやつだけ開けよう」と④番の明智。
みんなそれぞれ、身動きがほとんどできない状態で立ったまま、ヒントを探す。
「あった!!」と⑦番の総領が声をあげる。
「⑮番の東ですが、隣の部屋に通じる穴のそばにいます。ヒント見つけた人は私にください。
部屋の入口近くの角にいますので!」
「了解!!」とみんなが口々に叫ぶ。
「この開けた空のボールをどっかに隔離できたらいいのにな」と新見。
「お椀を重ねるように開けた空のボールを重ねていきましょう。そしたら重さで自然と下にいくはずです」と⑭番の赤橋。
「すばらしいですね」と④番の明智。
さすが残っているメンバーの頭の回転の速さと連携能力はすごいものがある。
この状況化で最善の方法を次から次へと提案して実行していく。
ヒントを見つけるために、ボールを開けていくものと空のボールを重ねていくものに自然と別れた。
ヒントが書かれたメモが入ったものが次から次に発見される。
数千個はあったボールが、次第に減り始めた。
みんな黙々と作業に熱中している。
のんびりしていたら、自分の死がどんどん近づいていく。
一心不乱に、目の前のことに没頭していく。
鬼気迫る集中に櫻井は圧倒されながらも必死でボールを重ねていった。
うまく全員で集中してやったら、30分ほどですべてヒントを探し終えて、ボールを開け終えた。
「みなさ~~~~ん!! お疲れさまです。
さすがは生存メンバー。優秀ですねぇ~~。
では、隣の部屋の扉を開けますので、今度はヒントを組み立てて、その謎を解いてください」
ガチャっという鍵の開く音が聞こえる。
その音の一番近くにいた①番の塩野が扉をあける。
部屋には数十個のボールが散乱していた。
また、みんなでボールをかき集めて、開けて、ヒントを取り出す。
ヒントはまたパズルだった。
みんなで試行錯誤しながら組み立てていく。
次第に問題文が見え始める。
8割ほど組み立てたとこで、問題の全容が見えてきた。
『2リットル入る瓶の中に半分以上ジュースが入っています。
その量が100ミリリットル単位で入っているのはわかっているのですが、正確な量がわかりません。
そこで700ミリリットル入る容器(A)と300ミリリットル入る容器(B)を使って正確な量を知りたいと思います。
容器はいびつな形のため、マーキングや目算はできません。使える道具は容器(A)(B)と元の瓶の3つだけです。
どの様に量ればいいでしょうか?』