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謎解きはランチの後で

 




 新見が「あっ」と声をあげ、二本の大きな柱の右のほうの柱の根元に顔を近づけると小さな穴を発見していた。


「明智さん!! さっきの鍵、ここの穴に入りませんか?」


 明智が急いで駆け寄り、穴に鍵を差し込む。

 鍵はきっちりと差し込まれたが、柱に特に変化はない。


「あああ!!!こっちです。左の柱の根元から引き出しが出てきました。

 開けますね!!」


 おっとりした⑯番の前川が現れた引き出しを開ける。


「鍵です!!!! 鍵が見つかりました!!!」


「おおおおお」とまた18人が声を上げる。


 ⑯番の前川が、食堂の扉の前に立ち、鍵を差し込む。


 ガチャリという音とともに、鍵が開いた。



「おめでとうございます!!! いや~~~実に素晴らしい。

 本当に早いですね! これは一重にみなさんの連携のすごさの一言に尽きます!

 では、さっそく食堂へ参りましょうか!

 おなかもすいたことでしょう。

 ランチといたしましょう~!」


 ピエロが食堂のドアを開ける。


 洋食がずらりと並んでいる。

 ビュッフェスタイルの食べ放題らしかった。 



「さあ、みなさん、お好きなものを好きなだけお食べください。

 謎解きは、ランチの後で!

 ひとまずご歓談していただき、美味しいランチを楽しんでくださいませ!」


 櫻井も新見も朝から神経を使いすぎて、へとへとだった。

 皿にしこたま料理をのせて、席につき、思いっきりがっついた。


「やばうま!」新見が口いっぱいにグラタンを詰め込んで、至福の表情を浮かべる。

 櫻井もうんうんとうなずき、パエリアをかきこんだ。


 櫻井と新見の向かい側の席に20代の女性二人が座る。

 櫻井と新見は、ぺこりと頭をさげて、挨拶をすると女性が話しかけてきた。


「こんにちは。私①番の塩野しおの 愛美まなみっていいます。こちらは②番の田川たがわ 園子そのこ

 会社の同僚の二人組で20代です。」


 塩野も田川も20代前半で清楚な感じのする二人組の女性だった。


「高校生で参加って珍しいね。どんな人たちが参加するんだろうってずっと二人で話してたんだよね」と塩野。


「うんうん、超ミステリーマニアとかクイズマニアの人とかいて、浮いたらどうしようって思ってたけど、みんな普通でよかった」と田川。


「俺ら、なんにも考えずに参加しちゃいました。たまたまチラシがポスト入ってて」と櫻井が会話に入る。


「一緒一緒! 私もチラシ入ってて、田川さんを誘ったんだ~」


 と会話をしていると⑬番と⑭番の名札をつけた男性二人が女性陣の隣に腰かけた。


「お話しの途中にすいません。俺らも自己紹介いいすか。

 ⑬番の三池みいけ 智也ともやと⑭番の赤橋あかはし なお19歳と21歳です。

 大学の先輩後輩っす。

 みなさん、すごいっすね。なんかバンバン、ヒント見つけて、バシバシ解いていって。

 俺らなんて、ほぼ何もできずに右往左往してましたよ」と三池。


 三池は、無造作な黒髪に人懐っこい笑顔が特徴的な大学生だった。

 赤橋は、眼鏡をかけたちょっと澄ました感じの大学生だった。


「ええ、でも染色体の数とか円周率とか答えてませんでしたっけ?」と田川。


「ああ、それは赤橋先輩っすね。円周率は。なんで覚えてるんですか? 俺横で聞いててビビりましたよ」


 三池が赤橋を見て、ニヒヒと笑う。


「自分でもなんで覚えたのかよくわからないんだけどな。なんかゴロがよくて途中まで覚えた」と赤橋が眼鏡を指で持ち上げながら言う。


「でも、それが今回めっちゃ役に立ちましたね!」と新見。


「頼もしい限りです」と塩野が笑顔を赤橋に送る。


 そこに、ずかずかと現れたのが③番の名札をつけた女性だった。


「私、③番の増田 広子というものですが、必ず100万円いただきますから! 真っ先に謎解いてやりますから!

 宣言させていただきます。絶対に私が100万もらいますから!」


 それだけ言い残して、別のテーブルへいき、また宣言をして回っていた。

 その場にいた者全員が唖然とする。


「なんだ、あれ?」赤橋があからさまに嫌な顔をしながら横目で見る。


「まあまあ、これだけ人がいればああいう人もいるっしょ。ほっときましょ」と三池がなだめる。


「100万円かぁ~。オールクリアなんてできるのかな・・・。私なんにもできてないのに。

 自分に与えられた謎なんて、まだ皆目見当もつかない」と塩野がぼやく。


「私は、ひとまず楽しめればいいや」と控えめな田川。


「俺らは、ちょっと百万円狙ってます」と櫻井が挑戦的な目で周囲を見回す。


「おいおい、あのおばちゃんと一緒かよ」と三池が笑う。


「オールクリア目指しますよ」新見も自信満々に宣言する。


 一人変な人間がいたものの、ランチの時間は和気藹々と過ごすことができた。


 そこにピエロがやってくる。


「さてさて、みなさん。おなかも満たされて、ちょ~~と眠くなっちゃう時間帯でしょうか。

 そんな皆さんの眠気を覚ましちゃうような特別イベントを開催しちゃいます。

 今からおひとりずつで回答していただく問題を出します。

 この問題が解けない者は強制脱落していただきます。

 強制脱落の意味は、後でみなさん知ることになるでしょう」



「ええええええええ」と全員から叫び声があがる。


「そのくらいのレベルの問題だということです。

 そんなに難しくはありません。回答のチャンスは1回とさせていただきます。

 一人一人で考えていただきます。制限時間は10分です。

 他の人と相談はNG! カンニングも許しません。

 それがばれた次点で強制脱落です」


 ランチのまったりした気分が一瞬で吹き飛んだ。


 


 

 

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