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バスからの脱出

 



   

   手錠の拘束を解くための謎は、BとCの数字を解き明かすこと。


  櫻井は、手錠をされたままの右手を突っ込んでみた。

  何か紙のようなものが挟まっていることに気づく。


  引き抜いて開くとそれは、パズルのピースの一つだった。


 「みんな! 動く方の手で座席の隙間に手をつっこんでみてくれ!

  パズルのピースが挟まってないか?!」


  それぞれが、座席に手を突っ込む。

  「あった!」あったぞ!」と口々に叫ぶ。


 「誰か代表して、そのピースを集めて組み立てられるか?

  落とさないように1ピースずつ集めよう。」櫻井が提案する。


 「左右の席の人たちは、ひもを限界まで延ばせばぎりぎりやり取りできないかな?」


 新見が必死で右手を隣の人に延ばすとぎりぎりで届くことがわかった。

 

 「いける!! 届く!」新見が叫ぶ。


 「右側最後列の4列目の私が組み立てます。

  左側座席の人たちは、右側座席にピースを渡してください。

  一番前の人から、後ろにピースを回してください!」


 「了解!!!」


 「慎重に!! 落としたら拾えない可能性があるから!!!」みんなが息をのんでピースを渡していく。


 名前すら知らない他人同士が、一瞬で一致団結している姿に櫻井は心が熱くなるのを感じた。

 なんだろうか、この高揚感は。

 

 「ピース集まりました!!! 今から組み立てます!」


 右最後列の二人が組み立て始める。

 また、その間に他のヒントがないかみんなで探し始める。


 「Cのヒント発見!!!! 今回の参加者全員の年齢を合計した下一桁がCだ!」


 「これがわかれば、必然的にBもわかるな!」


 「みんな隣同士で、年齢合計して!」


 「左側最後列4列目の俺らが合計する。左座席先頭から合計年齢言ってください!!」


 「46」「75」「34」「104」


 「次、右座席先頭から!」


 「57」「59」「40」「58」


 


 「えっと~~、合計は・・・・473!! Cは3です。そして、B+Cが12であることから、Bは9です!!!」


 みんな一斉にBとCの数字を合わせる。

 カチッという音とともに全員の鍵が外れた。


 「よっしゃ~~~~~~~!!!!」


 みんな急いで、片方の縄をほどきはじめる。

 これで、全員拘束から解放された。


 「おめでとうございます!!!! 皆さまの団結力、おみそれいたしました。

  これほどまでに早く拘束が解けたのは、初めてかもしれません。素晴らしいですよ、みなさん!」


 ピエロが、ふらりと現れて参加者を絶賛する。

 

 「さてさて、でも一番後ろのお二人ががんばってらっしゃるパズルは一体なんなのでしょうか?

  このツアーの謎は、無駄なものはありません。

  何かしらの意味を持つものですから、一つ残らず綺麗に解いていきましょね!」


 ピエロは、くるくると回りながら、最後列の参加者までやってきた。

 

 「あ~~ら~~ら~~? 一生懸命組み立てがんばってらっしゃいますが・・・・

  まだまだピースが足りないようですね!

  さ~て、みなさん。

  今度は、このバスからの脱出です。

  ある場所に停車しておりますから、自由に席を立ってピースを探してください。

  出口は、バスの前方のみとさせていただきます。

  窓からの脱出は禁止ですよ!」


 バスの左最前列の参加者が、出口を確認しにいく。


 出口には、ハンドルのようなものが設置されており、左右に動くようになっている。

 

 「わかった! これは、左右に何回ずつ回すかで開く仕組みになってるみたい。

  左と右の数字の謎を解く必要がある!」


 「ひとまず、ヒントを探そう! 自由になった分探せるところも多いはず!」


 新見が座席の上に立ち上がって、座席の上の荷物のせを確認する。

 左座席後方の奥と右座席前方の奥に、小さな箱を発見した。


 ピエロがわざとらしく驚く。


 「おおっと!! ついに小箱を発見しましたね!

  それは、参加者の皆さんへわたくしからのささやかなプレゼントです。

  みなさんには、それぞれ個別の謎が言い渡されてますよね?

  その謎を解くヒントが隠されてます。

  でも、その小箱を開ける鍵が必要です。

  その鍵もがんばってみつけてくださいね。

  その箱の裏に、番号が振ってありますよね?

  みなさんの名札にも番号が振ってありますよね?

  今回見つかったのは、⑤番と⑮番さんの分です。

  自己紹介でもしてみたらいかがでしょうか?」


 ピエロが、小箱を⑤番と⑮番に渡す。


 「⑤番の櫻井 彬人 17歳です。隣の⑥番の新見 和真と一緒にツアー参加してます。

  謎解きは、初めてですが、どうぞよろしくお願いします」


 「⑮番のひがし 塔子とうこ 30代です。年齢は勘弁してください。

  隣の⑯番の前川まえかわ 亮子りょうこと一緒にツアー参加です。苗字が違いますが姉妹です。

  今パズルを組み立ててますが、真ん中の重要な部分のピースが4つ足りません。

  全力でみんなで探しましょう!」


 自己紹介が終わり、みんなで拍手をする。

 

 東は、黒髪ボブのハキハキした女性だった。一方前川は、栗色の髪が綺麗なおっとりした感じの女性だった。

 二人が姉妹とは思えないくらい雰囲気は違っていたが、目元が少しだけ似ていた。


 全員動けるようになって、椅子の下や隙間をもう一度確認する。

 すると「あった!!!」という叫び声があちこちから聞こえてきた。


 4つピースがようやく集まり、パズルが完成した。


 「左に回せ。

  

  人間の染色体の数 - 円周率の小数点以下第9と第10


  右に回せ。


  第二次世界大戦の期間 」

 

  

  


  

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