予想外の出来事です。
今回はBLゲーム
黒髪の眼鏡をかけた冷酷そうな印象を受ける青年と、まだ幼さの残るような顔で柔らかな髪質の少年が、図書室で会話をしている。
その光景をタブレットを通して、同じ図書館の自習室で見つめている男がいる。ぼそぼそと一人で何かをつぶやいていた。
(なぁ、最近の風紀とショタがさ一緒にいるじゃんか〜。なんかおかしくないか?こいつら出会わないよな。)
(総司委員長、現実ですからシナリオ通りにはいかないんじゃないっすかね。)
(そういうもんかね。)
中田総司はこの時の違和感を気にしなかった事を後悔した。それから3ヶ月後、問題は起きた。
(すみません。どうやらショタが記憶持ちだったみたいで……。どうしましょうか?)
(「どうしましょうか」じゃねぇよ。主人公はどのルート行ってんだっけ……。ーーーー生徒会長か。これから先のシナリオに影響ありそうか?)
(主人公にこの2人が関わらない事でどの程度の影響があるかは分かりませんので、せめてイベントだけは起こしたほうがいいかとは思います。)
(はぁ、どうすっかなぁ。というか、ショタのキャラ変わってんじゃんか。受け予定が攻ってどうするよ。軌道修正できるか?せめて主人公達がくっついてからにしてくれよな。)
総司が持っているタブレットに写っているのは、裏庭の芝生に倒されてキスをされている風紀委員長と覆い被さっているショタっ子だった。
統括部にショタっ子扱いされている、春田しおんは入学式に突然記憶を思い出した。自分が大好きでやりこんだBLゲームの世界だったことに驚きはしたが、ゲームではなく現実であることを知った。
自分の好きなゲームでは不可能なカップリングの片方であったこともあり、俄然やる気に燃えた。ゲームの知識を使って、風紀委員長を攻略して行く。
風紀委員長が主人公の態度次第で受け攻めが決まる事も功を制して、うまく事が進んで今日を迎えたのだ。
(総司委員長、とりあえずこれ以上進まれると困るんで俺行きますね。)
(土方よろしく頼む。)
2人がいる裏庭に、土方と斉藤が掃除道具をもって現れる。
「ったく、主将ひどいよぁ。赤点とったからって、裏庭の掃除だってよ。」
「仕方ないよ、この学園は文武両道を歌われているから。俺が手伝ってあげるから早く済ませよう。」
声に気づいてくれたようで、2人が何事もなかったように歩いてくる。
「風紀委員長、どうしたんですか?」
「おや、土方君。1年生の風紀委員に指導をしていたんですよ。」
「そうですか。大変ですね。」
「土方君、赤点はよろしくありませんね。剣道部は大陸大会に出る程の腕前なんですから、気をつけないと出場できませんよ。」
「はは、気をつけます。」
「では、失礼する。」
そう言って、2人は離れて行った。
(土方、斉藤、お疲れさま。土方、赤点はやめろよ。)
(うぃっす。どりょくします。)
総司は、土方のやる気のなささにため息をはく。それにしても、どうするか…。頭が痛くなってくるのであった。
スフィア学園剣道部 兼 統括部
主将 中田総司
土方、斉藤は2年生。
記憶持ち達によってスフィア学園新撰組と呼ばれている。