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僕の彼女  作者: 密玄
二の章 変革はやってくる
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彼らは、Ⅱ

頭がおかしくなりそうです。ひぃ(*_*)

放課後になると、僕は図書室に行こうとしていた。

鞄に教材を詰め込み、さて図書室へ、と鞄を肩に掛けたところで、委員長がいつの間にか傍に立っていた。


「あれ。


どうしたんですか、委員長。」


彼は眉を寄せた渋い顔つきをしながら、何か言いたそうに口を開いては閉じて、と逡巡していた。


僕はあれ、と思った。


同時に、こんな風に悩むなんて、そんなに言い出しにくいことなのだろうかと疑問に思った。


それよりも、朝見た時は少なくともこんなに躊躇う姿は一切見られなかったし、そんな人物じゃないように見えたのだが、どうしてだろう。



僕が思考の海に溺れかけたところで、ようやく彼はその口を開いた。


「彦都君、


もしかしたら、の話だが。

君は、忘れているのかもしれないと、ちょっと不安に思ってね。

いや。君なら大丈夫だと分かってはいるのだが、どうも君の様子が朝から変だと気がかりで。

ほら、君は王子に姫だと言われているのは分かっているが、君があれをやりたくないのはわかる。

いくら姫だとは言え、する必要があるとは言い切れないからな。


だからな、彦都君、君が嫌なら僕がそう伝えてもよいのだよ。」


長々と喋り終えた彼は、一呼吸置いてから僕を見据えた。


どうみても返答待ちである。多分。


その返答をするべき僕はと言うと、ただ困惑していた。


なんのこっちゃ。である。


話の内容がさっぱりとわからなかった僕は、言葉の端々から意味を汲み取ろうと頑張った。ちょっと返事は待ってよ。



まず、僕には知らないことが二つほどあるらしいと、つい今し方発覚した。


僕には今日、しなければならない、でもしたくないならしなくてもいいかもしれない、用事があるらしい。


そして、姫とは、何だ。


聞いた時から変に思っていたが、自分でその言葉を反芻してみると、なんとも気恥ずかしいものが横切る。


これって絶対あれだよな。な。


黒歴史。


うわあ。そう思い始めた途端に、顔に熱が集まるのがわかる。熱い。


僕は顔を見られたくなくて、少し俯きがちになりながら、


「別に。いいです。


気持ちはありがたいですけれど、

全部私が決めて、行うことですから、勿論忘れていませんし、私の管轄内だと、思う、ので…」


えと、その…と最後の方は消え入りそうになりながら、ぼそぼそと呟いた。


近くの委員長には聞こえていたようで、そうか。と小さく頷いていた。どうも納得してくれたらしい。


「では、また明日。」




委員長と別れの言葉を交わし、教室を後にした僕は、地図を見ながら図書室を目指していた。


長い廊下を歩きながら、誰もいないところまで来て、ようやくふっと安堵する。


あ、危なかったあっ…!


今日の用事とは何か?そんなの知らない!

忘れているも何も、知らないよ!


委員長の前で必死に喉の奥で押しとどめていた心の叫び。



実は、あの攻略本(日記)には“彦都 夕日”についての記述がほとんどなかった。


そのため、僕が夕日ちゃんについて知るわけもなく。

結果として、今日のようなぐだぐだな状態になってしまった。


これは本当に、困る。


どうしたものか…、と考えながら、廊下を歩き続ける。


ひたすら長い。


言わずもがな、校舎も規格外な大きさで、地図を見る限り、図書室はまだつきそうにない。


曲がり角が見えたところで、おっ、と思った。

つきそうにないと思ってはいたが、どうやら考え込んでいた内に結構進んでいたらしく、曲がり角を曲がって、下に下りれば、図書室が待ち構えていた。



(お、思っていたよりも広い…)


図書室は広大な校舎に見合った大きさだと言える。とにかく広い。

本に囲まれることと、読書をすることは自分の得意とするところなので図書室が広いというのは僥倖である。

図書室に人は少なかった。全体を見渡しても一人か二人、それから司書が一人、カウンターにいる。


今日は本を借りに来たのではなく、図書館に出没するという図書委員(幻の四人目らしい。いや、日記にそう書かれていたんだよ。)を一目見ようとやってきたのだ。まるでミーハー。

否定はしない、だが僕は断じて男に興味はない。

日記を見ていると、夕日ちゃんも男に興味がないだろうと思われたのだが、真相はどうなんだろう。


ぶつぶつとつぶやきながら、その図書委員の出没スポットである歴史コーナーへと足を運んだ。


「…で、…おま、…だろ?…」

「あぁ。でも、……だ、から。」


(お?…話しごえがきこえる。)


歴史コーナーの棚の後ろにささっと移動して、本の隙間から様子をうかがう。


(こうしていると不審者になった気分…。)


心中に複雑な気持ちを抱えつつ、耳を傾ける。全神経を、会話を盗聴することに向けた。


「お前はいいよな、だって“図書委員”なんだろ?」

何の特徴もない男子生徒A。

「何がいいんだ?さっきも言ったけど、結構めんどくさいんだ、これ。」

図書委員(幻の四人目)。


なにが?何がめんどくさいんだ?

棚一つが遠く感じる。近くに行って今すぐにでも質問したい。


さっぱりわからない。


そのあとも意味が分からない会話は僕を置いてけぼりにして進んでいった。


ただその途中で彼が言った一言だけは、僕の心にもやっとして、いつまでも残っていた。



「この役が楽だというなら、あのお姫様はもっと楽だよな?」

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