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トウヤside
あれ、怖がらてない。むしろなんだろ…“誰かツッコメよ”
男三人と女の子一人呆然と立ち尽くしている。
素早く俺は女の子に“早く行け”と目くばせした。
女の子はすぐに理解して、一礼をして逃げ出した。“よし、俺の任務半分コンプリート”
『いい感じです。マスター。あとは女の子が十分な距離をとるまで時間稼ぎです。』
「わかってる。オマエもスルーするのか。」
『………………』
男三人達は、女の子が消えてしまったのに気づいたがもう遅い。そしてチッと短く舌打ちし、俺に向き合った。
男1「てめぇ、ぶっ殺すそ゛。せっかくいい感じだったのによ。」苛立ち気味に言う。残る二人も同じような顔している。
“落ち着け俺。打ち合わせ通りに動けば大丈夫。”ふぅ〜と息を大きく吸う。
おもむろに、バックからグローブを二個取り出して手に装着。
ユキside
現れた時、思わず呆然と見てしまった。だって、こんな路地裏まで助けが来るとは、思ってもみなかった。
そして、すぐマスクの上から何故かメガネを掛けている救世主?の思っていることが分かったから今走っている。
普通に考えれば、誰か助けてくれる人を呼びにいくのがセオリーだ。
少女の頭には、そんな考えがなかった。
「大丈夫かな…あの人。」
マスクの人が男たちにフルボッコされてないかが心配なのだ。
少女の足は、逃げるのではなく逃げ出したあの現場へと足を動かした。
トウヤsied
トウヤは男三人に囲まれてしまい逃げ出せない。
男たちの中には、どこから持って来たのか鉄パイプを持った奴もいる。
鉄パイプを持った男が突っ込んできた。トウヤは短く「見切り」と言った。
そうすることにより…
伊達メガネに人口知能アイから敵の攻撃予想ポイント、時間、威力を瞬時に計算しレンズにそのデータを映し出す。
「左上からの振り下ろし、俺の頭に当たるまで一秒半、鉄パイプの重さから考えて頭蓋骨損傷じゃすまなそうた゛。」
他人言のように言っているが、これは超高度テクなのだ。
このテクは、見えてなくても大丈夫。
後ろの男がラリアットするのだってわかる。
男2の後ろからラリアットが何故くるとわかるか?
アイは、人の呼吸、気流の乱れ、立ち位置、身体の重心、などの細かいデータから導き出したのだ。
さすが世界最高の人口知能。
タイミングを合わせ俺は身を屈めると頭上を腕が通過する。そして、計算されたようにそこに鉄パイプが振り下ろされる。
鉄と骨の鈍い音がする。男2が地面をのた打ち回って何か言っている。
全て他人言のように思えてきた。