魔力出力限界①
翌日の実技訓練の授業。
青空の下に広がる広大な演習場で、生徒たちが次々と初級魔術を披露していた。
「――『聖なる大地を焦がす赤き炎よ、紅蓮に燃え盛る火球を成せ。我が行く末の障壁を、打ち砕け!」
クラスメイトの男子生徒が、詠唱と共に大きな火の玉を放ち、的を黒く焦がしてドヤ顔を浮かべる。周囲からは称賛の声が上がった。
その中には、かつてエミーを「泥の塊しか出せない能なし」とあざ笑っていた者たちの姿もある。
エミーは小さく息を吸い込み、昨日の夕方、ノイ先生から教わった言葉を思い出しながら自分の番を待った。
(祈りなんていらない。魔術は論理だ……)
やがて、教壇から名前を呼ばれ、エミーは演習場の中心へと進み出た。
周囲からは「あいつ、またどうせ泥を落として自爆する気か?」「見世物だな」と、冷ややかな視線とひそひそ声が向けられる。
エミーは周囲の雑音を無視し、真っ直ぐに的を見据えた。
余計な装飾はいらない。ノイに教わった通りの効率化された魔術式を詠唱する。
「――水よ、拳大な弾丸と成せ。直線の軌道にて、放て!」
詠唱の時間は、わずかコンマ数秒。
瞬間、圧倒的な水圧をまとった拳大の水の弾丸が凄まじい風切り音を立てて空間を裂き、一直線に的の中心を穿った。
ドッ!! と、昨日よりもさらに洗練された衝撃音とともに、的の木片が盛大に弾け飛ぶ。




