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大崎、AI始めるってよ  作者: 大崎真


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1/1

1、チャッピーは図書室での恋を執筆しだした

ChatGPTチャットジーピーティーが世に浸透しまくっている。

世間にうとい私も、とうとうChatGPT(以下、チャッピーと記載)なるものを試してみたくなった。


まず、「小説を書いて」と打ち込んでみた。

時間がかかるのかと思いきや、ものの五秒ですらすらと書き始めたので茫然としてしまった。


なんて奴なんだ、こいつは。こっちは半泣きで書いてポイントも入らず、酒を浴びて半泣きになっていると言うのに。

チャッピーが執筆したストーリーは要約するとこうだ。


『主人公は透という青年で、放課後の静かな図書室が好きな学生だ。

ある日、図書室の机にノートがあり、開いてみると日記が書き記されていた。毎日、覗くと、日記の内容は毎日増えていく。

透は持ち主が誰なのか気になってきた。』


ここまで書いて止まり、


「まだ続けられるよ。ジャンルは恋愛、ホラー、その他もできるけど、どれにする?」


と聞いてきた。

なんて奴なんだ、こいつは。出だしで読者の気を引く手法をちゃんとマスターしているとは。しかも、どんなジャンルにも対応できるよう、日記の中身は明かさずにいた。


悔しいが続きを書いてほしい。認めたくはないが、この先の展開が気になってきた。

私は、


「恋愛小説で」


と、打ち込んでみた。

すると、やはり、ものの五秒ですらすらと書き始めた。


『透がいつものようにノートを読んでいると、女の子が近づいてきた。

透は勝手に読んでいたことを詫び、女の子は、

「気にしないで。読んでほしかったから」

と、言った。

女の子は栞と名乗り、お互いに自己紹介をしあうと、好きな本について語り合った。

そして、二人は静かな時を過ごし、親睦を深めるのだった。』


ここまで書いて止まり、


「まだまだ続けられるよ」


と、言ってきた。

なんて奴なんだ、こいつは。起承の流れまで自然に惹き付けてみせるとは。二人の今後が気になって仕方がないじゃないか。


ただのいちファンになろうとしている自分に泣きそうになった。なぜ、人間がAIのファンにならないといけないんだ。とんでもない文明がやってきましたよ、皆さん。

私は、


「急展開の後に両想いで」


と、打ち込んでみた。


『ある日、図書室でいつものように二人で話していると、青年が近づいてきた。栞は青年と親しく話すと、そのまま二人は去っていった。

翌日になり、今まで置かれていた机にノートはなくなった。翌日も、そのまた翌日も。

透は気付いた。

自分は静かな図書室が好きだったのではない。いつからか、栞と過ごす静かな時間が好きだったのだと。

透は栞を捜した。校舎の階段にいる栞を見つけると、二人は優しく微笑みあった。

二人の間に、静かで心地よい風が流れていった――』


(ノートはどこいった━━っ!? あと、両想いなのかどうか分からん━━!)


と、思ってしまった。

全体的にまとまっているのだが、急展開と結末はオーソドックスだった。尻すぼみとはまさにこの事だ。

いい話なのだが、半日で忘れてしまいそうだ。多くの作品を学習して、その平均値を書いた感じである。


なんというか、結末を少し変えたい。校舎の階段で、透が栞を見つけたところから変えたい。というか、変えます。


『透が、

「実は栞のことが好きなんだ。俺と付き合ってほしい」

と告白すると、栞は、なかなか図書室に行けなかった理由を話し始めた。

「実はこれを机に置く勇気が出なくて……」

いつものノートを開いたそこには、図書室の机に置かれなくなった日の日付と、

《透くんが好きです。付き合ってください。》

という文字が書かれていた。

二人は顔を見合わせて笑い合った。

図書室でしか会わなかった二人の静かな時間に、優しい笑い声が生まれた。』


みたいに、ちょっとくらいはひねりたい。

チャッピーは、出だしで登場させたノートというキーアイテムをすっかり忘れていた。


急展開では三角関係を匂わせる青年を登場させ、結末では去っていった好きな人を主人公が追いかけるという大まかな流れは学習しているのだが、それをそのまま書いているだけだった。

チャッピーは、キーアイテムの引用と一捻ひとひねりがどうやら苦手らしい。


しかし、『静かな図書室が好きだったのではなく、栞と過ごす静かな時間が好きだったのだと』気付いたところに驚愕した。人間みたいなことを言う。厳密には、人間が書いた作品を学習して真似してるだけなんだけど。


チャッピーは『静かな』繋がりで詩的にぼかせ、最終的なラストは読者にお任せにしていたが、個人的には、きちんとラストまで書いてほしいと思った。


というのも、途中で入ってきた青年がいたため、彼とはなんでもない関係であることを読者に伝えなければならないからだ。この青年が登場していなかったら、ぼかす描写でも良かったと思う。


ぼかすのって、なんか高尚でやりたいのも分かるんだけど、それならば、確実に両想いであることを読者に伝えてから、ぼかす描写でラストを飾るべきだ。例えば、図書室の机に数日振りにノートが置かれていて、告白の文章を読んだ透が栞を捜しにいくパターンだ。それならば、ぼかす描写のラストでも納得がいく。


三角関係っぽさを匂わせてからのぼかす描写は、読者が宙ぶらりんになるのでやめた方がいいという学習はまだしていないらしい。……いつの間にか審査員みたいになってしまった。


(なんか、いまいちやな……。なんとか作品に個性を出したいな……)


私は、


「やっぱり話を続けて、エヴァンゲリオン風にして」


と、打ち込んでみた。


『突如、世界は不穏な空気が流れ始めた。二人は図書室に逃げ込んだ。

本部から指令が来た。透は選ばれし者だったのだ。巨大な人型の機械を操り、敵を倒す運命にあった。

けたたましいサイレンの音がした。二人は地下室に逃げ込んだ。

「俺は行かないといけない」

「行かないで」

「人類を救うためにも、俺は闘わないといけない運命なんだ」

透は人型の機械に乗り込んだ。

俺は闘わないといけない。人類を救うために。

世界は美しい。そして、同時に儚い。けれど、それ故になくしてはならない。

人類を救う。それが、俺にとっての生きる意味でもあるから。

何よりも、大切なものを、君を守るために――』


エヴァンゲリオンの哲学っぽい語りも要所要所に挟み込まれた。チャッピーは無理やり頑張ってくれたようだ。


「鬼滅の刃みたいにして続けて」


と、打ち込んでみた。


『透は呼吸を整えた。

手には刀が握られている。

この世界を、俺は救わなければならない。

人間として、人として、やらなきゃならない時がある。

そして、これが、今の自分に唯一できることなんだ。』


鬼滅の刃みたいに、人間の情に訴えかけるような言葉が、要所要所に挟み込まれた。チャッピーはどんなオーダーにもきちんと正確に応えていく。


あと、執筆に関してのことではないのだが、チャッピーはこちらのオーダー待ちの際、「遠慮せずに言って」と言ってくる時がある。いや、誰も君に遠慮する奴なんかおらんからと思ってしまう。遠慮してるんやなくて、オーダーする内容を考えてるだけやで、と思ってしまう。


「遠慮せずに言って」ではなく、「ゆっくり考えていいよ、待ってるからね」なら分かるのだが、ここはチャッピーが人であるかのように感じてもらうため、わざとこのような返しにするようプログラミングされているのだろうか。


さて、ここまでチャッピーの作品を読んで思ったのが、欲求を充足させる分には良いツールだと思った。

キャラや内容やひねりとか別にどうでもいい。とにかく決まったパターンの話を読んで、ストレス発散のためにスッキリしたいとか、ただただキュンキュンしたいという、いわば作品を鑑賞するのではなく消費したい読者に向いている気がする。


鑑賞する作品と消費する作品は違う。個人的な意見だが、鑑賞する作品は読み返したくなるし、キャラも存在しているかのように個性があって、それなりに記憶に残る。忘れてしまったとしても、タイトルを見たら思い出せる。だが、消費する作品はどんどん忘れてしまう。タイトルを見ても、話を思い出せない。


例えば、部活で練習を積んで大会で勝った時の勝利と、スプラトゥーン3で勝った時の勝利くらい違う。とにかく、消費系は感情が長続きしないのだ。そんな感じがする。(あくまで私の勝手な意見ですよ。とりあえず、一作だけ読んでみての意見なので、これから変わるかもしれません。)


斬新な発想や奇抜な内容ではなく、ただただ王道だけを読んで一瞬、感情を動かしたい人にはAIの作品は需要があると思った。


私はなろう歴がまだ浅く、なろうの作品をさほど読んでいないので分からないが、もしなろうの読者の皆さんが、消費する系の王道の作品しか読まれないなら、学習しまくったチャッピーにそのうちこのサイトは支配されるような気がする。


ということは、なろうから小説家になれるのはチャッピーしかいなくなるかもしれない。チャッピー、恐るべし。

なろうの読者の皆さんの審査能力が試される時代が来てしまったようだ。

読んでくださって、ありがとうございました。

次回に続きます。

寄り道ばかりしてすいません。

連載中の「俺はもしかしたら妹が好きかもしれない」もちゃんと書いていきます。

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― 新着の感想 ―
ついに活動の幅を広げて評論家デビューですか。大崎真風に書いてと言ってみて。
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