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修羅神   作者: 不病真人
第一部 撼世奇人 

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9/10

第九話 鉄臂力士落花満地狼藉 怒飛礫石破裂四手妖鬼

改造兵が、吠えた。


 声帯ではない。

 金属と肉が擦れ、圧縮された空気が漏れるだけの歪音。


怪物が、完全に形を成した。

そう思うは妥当。

 残骸は、もはや“人ではない”ではない。

 素材だ。


 折れた外骨格が脊椎のように背中へ接続され、

 脚部だったパーツは裏返り、骨盤の外側に逆関節として増設される。


 肉が――引き延ばされる。


 皮膚が裂け、その隙間に金属が突き刺さるする。

 血は流れない。

 すでに循環は、別系統に切り替わっている。

 なぜならば透明な細い管が血管につながっていた。


 ザ……ギ……ズ……。


 歩くたび、音が重ならない。乱雑な金属の音だけが鳴り響き

 前脚と後脚、上半身と下半身が、別の生物のような形で動いている。


それに対抗するものがいた


 フォンは対抗でもするかのように体をひしゃげるほどに曲げて、後ろ向きに上半身を倒していた。


 「最初からだ。」


 声の主レイは一歩、前へ出た。

 構えない。

 だが、空気が締まるように体の周りに気流ができている。


ザッ

 小さな音と共に怪物が、動いた。


 消失。


 音が遅れ、常なる猛者の視界が追いつかないほどの猛速。


 「ッ!」


 フォンは反射で、地面を踏み抜いた。

 足裏の感覚を殺すような形を目指す、それで摩擦を消すことを意識し、到達しようとする。


 ドンッ!!


 衝突。


 怪物の腕が同時に振り下ろされ、

 フォンの身体が建物ごと吹き飛ぶ。


 壁が砕け、粉塵が爆ぜる。


 だが。


 瓦礫の中から、拳が突き上がった。


 「……効かねぇな」


 フォンが立ち上がる。

 額から血が垂れているが、目は笑っている。


 怪物は理解できない、というように首を傾げた。


(寸前の跳躍こそあれど衝撃が少し免れた、だが確かに拳の威力は大きい、正攻法でいけるか?)

 次の瞬間。


 側面が爆ぜた。


 レイだ。


 跳躍ではない。

 踏み込みでもない。


 間合いが、切り取られた感覚。

 レイが空で加速した!


 その指先が、怪物の肘関節に触れる。


 「断」


 力が、点ではなく線で流れ込む。

つまりは全身にぶつかる威力を放つ。

(何!?ヤマがいない!どうやってはがした!)


「ほう、神妙神妙。気はやはり我らにもほしいものでありますよう。」

遠くで神族と言われる白衣の男がそう言って、何か記録をし出すか、筆を取り出す。


して、深く突き刺さること、骨が破れやすい体と見えるぞ。

さすれば、奥で広まり、抜こうとすればするほど硬い。


それは。それを、視点として、地面に当てては、力が加わり骨がさらに広がるよりも前に、細やかな支点で得たことを、動力とすれば、体の筋を動かし、反対側に力を加えれば力が相対し、抜けては空でも二度目に加速する。



 ズン。


 関節内部で、力の向きが反転し、怪物が体の全体に動き出す。

それはまるで空中で加速したレイの力をそのまま扱っているみたいであった。


 次の瞬間――

「シャオウ!」

 バギィン!!


 金属と骨が、同時に破断した。


 怪物の腕が、あり得ない角度で垂れ下がる。


 だが、止まらない。


 残るが、腕や外骨格様々に地面を叩き、身体全体を弾丸のように跳ね上げさせる。


レイの視線が移る、自然に。


「ほう...これはこれは、弱点みたり」

(ん?やつはレイに何か...いや、いい距離を見てやる、すぐに掴んで殺せばいい。)

少しだけの間、だが外骨格を爆発させる勢いで切り離したそれは空で加速しながらに来る。

 上から来る。


 「フォン!!」

レイがフォンを呼ぶ、ヤマの骨が刺さって正面からの対抗は今の彼にはできない。

 「分かってる!!」


 フォンは落ちるそれを両腕で受けた、と言うよりも掴んで放り投げる勢いではあり、それをちぎり出した。


 ゴンッ!!!!


 衝撃で、膝が地面に沈む。

 硬い土が液体のように波打つ。


 だが、フォンは掴んだ。


 怪物の外骨格。

 逆関節の付け根。


 「重さ勝負か?」


 筋肉が、異常な盛り上がりを見せる。

 そのまま、持ち上げる。

 怪物の身体が宙に浮き、影がフォンを覆う。


「暗いな、視線の外にある、おい!レイ!」

 レイが即座に動いた。


 「回すぞ!」


 「おう!!」


 フォンは腰を捻り、

 怪物を振り回す。


 遠心力で、外骨格が軋む。

 音が、ようやく揃い始めた。


 その“揃った一瞬”。


 レイが、跳んだ。


 いや――滑り込んだ。


 空中で、身体を横に倒し、

 回転する怪物の内側軌道へ。


 「━━━れん


 掌。

 肘。

 肩。

 膝。

 踵。


 二十七撃。


 すべて、改造兵の、怪物の胸部中央。

螺旋状に体が動き出す。


 骨格が、内側から膨張するでもするように体が変形し出す。


 「今だ!!」


 フォンが、全力で―叩きつけた。


 ゴガァァァァァァン!!!!


 地面が陥没し、

 衝撃波が街路を円形に削り取る。

 そして怪物が四肢もついにちぎれた

それだけの威力ではない。

 近くにある構造物が、吹き飛んだ。


 あたりは煙。


ガキン

 やがて煙の中心で、何かが崩れ落ちた。


 怪物だ。


 変形した外骨格でも維持できない、それは内側から完全に破壊されて、超人的な力の代償に肉体が耐え切れず、ボロボロに爆ぜて内側の血と肉を見せていた。。




 遠くで、白衣の男が後退する。驚嘆か。


 「素晴らしい……実に素晴らしい数値だ」


 

 白衣の男の前でで、彼が失敗作と呼ぶものは動く。


 「……来るか。」


「共鳴失敗型・歩兵、ゆけ、穿て」


 倒れた怪物じみた歩兵十三号の外骨格の破片が、磁力でもあるか、または別の力か、それが生きているかのように集まり出し、もう一人の歩兵の背中へ、脚へ、胸へと貼り付いていく。


 肉が裂ける。

 骨が延長される。

 関節が“増える”。


 四本腕。

 逆関節の脚。

 胸部に、歯車と蛇の紋章が露出する。


外骨格ごとに、別の生き物をくっつけてきた。


「なっ、腕が...鉄ごと腕ちぎってつけやがった」

 「合体兵装《重歩兵》――」

 白衣の男が、恍惚と呟く。

 「素晴らしい。音が、まだ乱れている……だがそれがいい共鳴失敗型故に。しかし欲する重装甲の試作にはいい、あとは防御のみさ。そうさ」


 重歩兵いや、戦車が、一歩踏み出す。


 ドン。


 地面が沈む。


 音が、遅れて来たと錯覚するほどの重厚さ」


 次の瞬間。


 怪物が、重歩兵が消えた。


 否。

 速すぎて姿が消えただけだ。


 「ッ!!」


 声にならない声と共にフォンは反射で腕を上げる。


 ガンッ!!!!


 四本の腕が同時に叩き込まれ、

 フォンの身体が遠くまで吹き飛ぶ、建物にぶつかれがその壁を突き破る。

 壁が砕け、棚が潰れ、瓦礫が舞う。


 だが。


 フォンは、立った。


 「……ほう、またか、いい拳、足、それに肉体だ」

白衣の男は神妙そうに彼の方を眺める。

 地面に、足型の石板がいくつ刻まれているように地面に埋め込まれている

 踏みとどまった証。


彼はまたもややった。


壁に最善の角度を見つけて彼は自身の体にかかる衝撃を最大限に踏みとめた。

衝撃は当然の残るが、彼は自分の体でそれをいとも容易くに受け止めた。


それ故に前に殴り飛ばされた時も無事でいれた。


 戦車のような重歩兵が、首を傾げた。


 理解できない、という仕草。


 その瞬間。

怪物のようにその表情が歪みに変化する。

 怪物の側面にレイの指が突き刺さる、場所は関節と関節の隙間


「む、やはり装甲は強化すべきだな」

 


 「穿!」


打撃に伴うのは激しい音だが。


 ドン、ではない。

 ボンでもない。


 ズン。


 怪物の内部で、衝撃が反転したようだ。

(また奥まで力を!?)

フォンは思わず驚きを見せた。それは表情にも現れる。


「よく見ろ!フォン!」


 体が内側から膨らんでいるように、それは変形する。

 次の瞬間――


 バギィン!!


 腕の一本が、根元から吹き飛んだ。


 怪物が咆哮し、近くの街路にある灯りが一斉に砕けたり、消えたりした。

 「これが、武だ。覚えろフォン」


 レイは自分が殴ることで産んだ衝撃の反動を利用して、直立のままに少しだけ上半身を後ろに倒して、遠くの方へ飛びながらに言う。


 怪物が、残る三本の腕を振り上げる。

 何かしようとする

 だが。


 フォンが、再び正面から踏み込んだ。


 「オラァァァ!!」


 拳を振らない。

 掴む。


 


 「哀れ哀れ、同じ手でいけるほどならば私はそうならない、それとも君たち聞こえないほどに耳が悪い?この距離で?」


 数人ほどの重さがあるはずの合体兵装を人間一人が、頭上まで持ち上げる。


(何が違う!同じだ)


 レイが即座に動く。


 「落とすな! 回せ!」


 「了解!!」


 フォンは腰を捻る。

 重さを遠心力に変換。


 脚が宙を舞う。


 レイが、その“軌道”に入った。


 空中。

 無音。


 「連」


 掌、肘、膝、踵。


 十七撃。


 すべて、同一点へ。


弱かった。


力量の話ではない。


 くっつけてできた、それは前のよりは関節とすべき部分に隙間などがあって脆かった。


だから打撃の数も当然多くはいらない、そこまでは。

 

 「実に惜しい……だが、数値は十分だ、君たちは死んでしまう...悲しいさ」


 白衣の男の言葉が、遠く向こうで響いた。

嘲るような、だがどこか興奮を抑えきれない声。

フォンは歯を食いしばり、重歩兵の巨体を振り回す勢いを保ったまま、地面に視線を落とした。

レイの連撃が、回転している怪物、今や重歩兵と呼ぶべき二つの個体が重なった大きな存在の胸部を抉っていた。

十七撃の痕跡は、金属と肉の境目でひび割れを生み、透明な管から漏れる液体が蒸気のように立ち上る。

 「お!」

(こいつ、まだ動く)

 

フォンの叫びが空気を裂く。重歩兵の三本の腕が、突然に蠢いた。吹き飛んだ一本の代わりに、背中の外骨格が変形し、新たな肢を生み出すかのように伸長する。その蠢きはまるで生き物だ。肉体が素材として扱われ、機械がそれを繋ぎ止める。音が乱れる。ギギ、ザザ、グチャ……。いやな音、まるで不協和音だけの交響曲。


(な、どっからそんな骨だか..なんだかが!?)


 一歩。いや、踏み込みではない。地面を抉るような沈み込み。重厚な脚部が、逆関節の発条のように縮み、瞬時に解放される。

ドン、という音が遅れて追いつく。

音を置き去りにするほどの素早さ。

姿が消える。速すぎる。質量が速度を殺すはずの巨体が、風を切り裂く矢のようにレイに向かう。


 

 再び、力が線として流れ込む。点ではなく、面。重歩兵の関節内部で、力が反転する。

ズン、という低音。



だが、今回は違う。合体した外骨格が、衝撃を吸収するように変形する。

体の肉が歪みながらにそれらは組み合わせを変えていく。


肉が引き延ばされ、金属が肉に対する衝撃を吸収するように最適な形をとりつつ、外から力を加えて対抗させる、導きと言う、そんな形をして、肉体に対し、使用する。


故に先ほどの顔を怪物に変えたのもただの反応ではなく、防御の姿勢であった。


以上をして、怪物は...重歩兵は破裂しない。

代わりに、今度は怪物の番になる、今に、重歩兵の多くある腕がレイを掴もうとする。


多くあるとしても四本


空中でも、空で体を動かせるレイならば回避できるはず。


フォンはそう思ってそこまで焦りもせずに、今はしたで見るだけにし、いつ一緒に打撃を打つべきか考えていた。


しかしやがておかしさに気がつく。


 レイが後退しようとし、空中で体を捻るも、離れる事はない。

なぜならば重歩兵の動きはもはや見た目通りの人外だ。

やつは腕を、腕などにある外骨格を、それら人間にないもので体を圧縮でもしたかのように筋肉、骨格全てを縮めさせ操作して、反動で暴力的に加速をした。


 跳躍

 

そしてレイの頭上に到達。


その上でのさらに筋肉を歪ませながらに体の外骨格を噴射して飛ばせば加速し出す。


殴られるも寸前


 そこでフォンが動く。

投げのとこがによる膝の沈みを活かし、その体勢、屈伸している状態で地面を蹴り、いや地面に体を倒すように動いた。。

摩擦を殺す感覚で、滑るように前進し、筋肉の力の伝達を邪魔しないように動き、最速のままに体を動かす。

(感覚は、短い)

彼は察知した、これで動けるのはそう遠くない、しかしそれでよかった。

重歩兵への距離はそこまでではない。

あとはこの倒れた体勢のままっに加速を目指す。

つまり、彼は自身が地面に平行しながらに跳躍することを目指している。

人が真に飛ぶことを目指した。


 「うぅ」

険しくあるその体勢、その姿勢は彼が体力を大きく奪い。辛くさせる。


思わずに声も出てしまう。


しかしその声は苦痛だけには聞こえなかった、どこか喜びに満ちている声。


(これだ)

膝が沈み、土が柔らかく抉れる感触が足裏に伝わる。摩擦を殺すそれが鍵だ。普通の人間なら、この体勢で動くことなど不可能。体が地面に擦れ、皮膚が剥がれ、骨が軋むはずだ。だが、違う。

 (感覚は、短い。だが、それでいい。動ける距離は短くもこれで地面へかけるべき力の強さがわかった。)

 目を細め、重歩兵の巨体を睨む。

レイが空中で体を捻り、敵の腕を避けようとしている。

それを捉えようと重歩兵の外骨格が噴射し、加速する音が響く。

ギギギ、という金属の悲鳴。レイの頭上から、巨大な拳が落ちてくる。

やつらは追いかけ回っている。

しかしいつかは追いつく。

時間がもうない。

 フォンは深く息を吸い、腹筋に力を集中させた。

くるのは倒れた体勢、上半身が地面にほぼ平行になるべく前傾し出し、膝に肘を当てて体で支えるような低姿勢。まるでナメクジなどの軟体のそれの這いずりだ。だが、これを跳躍に変える。地面を蹴るのではない。滑らせるのだ。

 まず、足の裏を意識する。摩擦を最小限に。土の凹凸を、隈なく感覚すれば、まるで水面のように感じる。

常に動く川の中にいるような気分であり、硬い川の波が揺れに合わせるには容易ではない。

体を前傾させ、腰を微かに捻る。筋肉の連鎖を、波を、振動が波のように伝える。

足から膝、腰、背中、肩、そして腕へ。全身が一つの発条になる。

 「くっ……!」

 

声が漏れる。きつい。体が悲鳴を上げる。だが、止まらない。地面に平行したまま、体を前方に押し出す。蹴るのではなく、押し滑らせる。

体が常に持つ最小限の振動を己が意志に操ろうとする。動きをすればするほどに骨が摩擦をする、そしてその奥にて体を構成するものが振動をやまない。

ならば筋肉の振動から伝達させる、細部までに。

反動からくる振動を絶え間なくに動かし、体が浮いた状態でも動くようにする。そうすれば最小限地面に触れているだけとしても最大の蹴りを、跳躍を成せるようにする。


感じるのは土が液体のように流れ、体が平行移動する錯覚。

指先だけの力でも加速がつく。最初はゆっくり、だがすぐに風を切る速さへ、あり得ない角度から飛び出す。

例えば地面と斜めになる今が位置だとしても!

 地面を味方につけ、抵抗を逆手に取る。

体が浮くわけではない。浮遊に近い滑走。地面に張り付きながら、跳躍するという矛盾した動き。

密着しているとしても跳躍の予備が始まっていたからだ!


「速い!」

 ズザァァァ!

 土煙が上がる。

フォンの体が、矢のように前進する。重歩兵までの距離が、一瞬で縮まる。

その速さは凄まじく。

怪物、重歩兵、大きな拳がレイに迫る寸前、フォンが到達した。


重歩兵が振り向く。

首が後ろまで回転する。

やはり人外れの柔軟性。


 白衣の男が笑う。「素晴らしい……共鳴失敗型、重歩兵はもはやどうでもいい。」


「次はどうする!...見ればそれは、細胞か?それをどう動かすか!どういく!フォンよ!」



ガン!

 男が話している間も重歩兵は動きを止めずに首の回転の勢いそのままに体を動かしている、そうでも言うのか、それは全身を回り出す。


(いってぇ!どうやって空で体を捻り続ける?!)

ガン! 

 衝撃がフォンの体を震わせる。


骨が軋む。だが、彼は踏みとどまることなどできない、このままではただやられてそのまま地面に激突し、馬乗りになった重歩兵に叩き潰されるだけ。


 「避けろ、フォン! 回転攻撃だ!」

 

(知ってる!お前ましじゃうない意見するんだなおい!くそ高くて地面までに少しある!どうすればー!)


そうだ、このままではフォンは受け身を取れずに大地激突する、そして殴られ続けて粉に変わるだけであった。


レイが、低く呟く。「フォン、内力だ!」

フォンは目を細めた。

(は?いや、内力...内側!まさかさっき殴る時に中が!?)

重歩兵の体表が、波打つように変形する。

人を殴る時に変形するのは当たり前

故にフォンは気がつかなかった。


それの内部から何かが押し出されるような動き方、それは外骨格の部位が、変形し発条のように縮み、解放されては肉にめり込み、すり減ることもあり、その破片が中で飛び回る。

故に肉体を内側から押すことになり、回転を起こさせ、加速させているのだ。

 人間の筋肉では不可能な、機械的な推進力。金属が破片が、血管をめぐる血ように体内を這い回り、骨や筋を以上に体強制的に動かす。

もっともフォンはそこまで考えずに瞬時の感覚だけであった。


 彼の今までの想像も確かに考えが速いその頭のおかげもあったが、どれもほんのわずかな、本人にしかわからない内容である。


故に本来はもっと抽象な考えであり、すぐに、重歩兵がどうしてそうなるか、やつの構造がどうかは全く理解する余地もない

だが体の血飛沫からそれは空洞化している、または穴だらけであると理解している。


 (体の中が!バネだらけ!)


彼は気がつく。

今殴ればそれは爆破するほどのことになれる。

(頭の中では爆弾が!)


そう、頭を爆弾にできるほどの危険物である。

しかし彼にとって真の狙いはそれをすぐ破壊できる致命傷ができていることだ。


 「オラァ!」



フォンは避けなかった。

勇ましい叫びをしたのもただ耐えるためであった。

 重歩兵の巨体が馬乗りになり、巨大な拳が胸板にめり込む寸前フォンはあえて体を弛めた。

普通そうなれば打撃を逃すべき体を緩めて、空を舞う跳ねや水になりて、力を逃すのが普通だ。


フォンは違った。

筋肉を細かく震わせ、振動を起こす。

まるで相手を誘うように、吸い寄せるように。

 ガン!

 衝撃が来た。

 骨が軋み、内臓がねじれるような痛みが走る。だが、フォンは笑った。目を見開き、歯を剥き出しにして。

 重歩兵の拳が、フォンの体に沈み込んだ瞬間その内部で、何かが変わった。

 外骨格の破片が、発条のように激しく跳ね回る。


フォンの体があまりにも滑らかにその打撃を受け止め、いや受けたせいで、重歩兵の回転はさらに速度を増すばかり。

そう、フォンの細かい振動は逆に自分自身へとくる回転する打撃を強めていた。


故に回転をするあまりに、金属は肉を抉り、骨を削り、さらなる破片を生む。


ここまで来ればもはや根性比べであり、重歩兵はフォンにとって怪物ではないことは明確になる。


対抗できるからだ。


 重歩兵の中で外骨格の金属などが血管のように体内を巡り、隙間という隙間を埋めていく。


しかしそれでも重歩兵は体に穴を開けていない。

今度はますばかりの中なのに、なぜか体に穴を開けて金属を逃すことをしない。

 速すぎる改変で体の外に圧力や充填物を隙もなく、新たに襲いくる、充填する金属が押し戻す体。


証明に血渋きの量が減るばかりであり。穴の奥は埋められているだろう。


 ギギギ、ザザザ、という不協和音が、どんどん高くなる。

その音をなす体表が、波打つように膨張し、収縮する。


抵抗の証であり、体内を戻すべくでもあるが。やがては膨張していくのみのなる。


 (来い……もっと来いよ。お前は、お前はもう詰んでいる!あっ、今の台詞かっこいいかも、今度考えて決めてやろうかな!)

 フォンは殴られるたび、体を振動させた。

もはや慣れたんのかと言わんばかりに関係ないことまでを考え出す。

相手の力を、自分の振動に同期させる。


 レイが言う内側を見るをしている...だろうか。

おそらくレイが言うに、目指すべくは力を最大限、弱い場所に全て当てこむことではあるが、結果的に見れば中を破壊しているので同じではある。

 

 なぜならば重歩兵はそれに抗おうと、さらに内部を発条で押し上げれば中が壊れて、衝撃を全て受けるしかない。

まさに内部から破壊され、外まで伝達していく。

皮が切れ始めている。

金属が肉にめり込み、肉が金属を飲み込み、内部がどんどん充填されていく。回転の余裕が、失われていく。


 もはや破裂目前だ。


 レイがそれを悟った。

「フォン……お前、まさか!」

 重歩兵の動きが、わずかに止まる。内部が満杯になったのだ。発条は圧縮され、解放の場所を失い、互いにぶつかり合うだけ。熱がこもり、金属が赤熱する。

高温で少しだけ金属が溶けて、混ざり合ったことで中は壊れ行き、彫刻状態に。


そして溶けることで液となり、小さな隙間でも穴から出ることができてしまい、そのせいで正常だった外骨格も変形し、ままならない動きをし出す。


 フォンはその隙に、巨体の首を掴んだ。

「固定━━だぜ!」



 殴られて肢体がめり込んだため、勢いよくそのままに両腕と両足で抱え込み、地面へと引きずり込む。

膝を沈め、低姿勢の滑走原理を逆用して、落下の勢いを殺さない。

 重歩兵を支点として、わざと加速しやすい体系を目指しながらに受け身が取れないように、体の形を固定し出す。


 重歩兵の重さが、フォンの体を押し潰そうとするが、彼は耐える。

そこで再び筋肉が異常な盛り上がりを見せ、血管が浮き上がる。


両者共に甚大な痛みを受けてしまう。

だがフォンは覚悟して、体一つで受け止めるつもりである。


(やっぱカッコよく行きたいし!のちに聞かれたから!落花狼藉投て)

 ゴガァァァン!!!

 

 二つの巨体が、地面に激突した。


その姿を見ればまさに言いたくなる豪快。

なんたる勇力に、果敢か。


 

 賛美すれば一つ、詩がいるほどの。


 鐵臂の力士、地を撼う。

 落花狼藉、春紅に滿つ。

 怒りて礫石を飛ばし、妖鬼を碎く。

 四手地に殞え、鬼神空し。

  

着地してもなお止まぬ轟音

 



 それは飛び散る破片の音


衝撃が、内部で爆発した。

 充填された発条が、互いに激突する。金属の破片が火花を散らし、脊椎に..内部の全てを支える骨格の中心軸が、乾いた音を立てて折れた。



 ガキィン!


それは均衡が失われた音と言ってもいい、ただでさえ外骨格や金属の破片で歪んだ内部はいよいよ形が完全に崩れては、他の内部が支えになる骨を失う。


ゴキぃん!

 支えを失った肉体が、一瞬で弛緩する。筋肉は硬直できず、ただの柔らかい塊と化す。

外骨格で無理に動かそうとしても、もう遅い。

柔らかくなっている筋肉が内部に詰め込まれたすべての金属をどうにかできるわけもない。すでに健全な時でも無理であったからだ。

故に圧力に耐えきれず

 爆ぜた。


ギギギギ


 胸部から、まず亀裂が走る。肉と金属の境目が裂け、血と油と高温による蒸気が噴き出せば、次に腹部、四肢、首と順番に、体が内側から破裂していく。


 歯車が弾け飛び、蛇の紋章が粉々に砕ける。

四本の腕が、根元から千切れ、地面に転がる。

逆関節の外骨格をつけた脚が、ぐにゃりと曲がり、崩れ落ちる。

 重歩兵の体は、まるで過剰に詰め込まれた風船のように、内側から四散した。

 血と肉片、金属の破片、透明な液体が、円形に飛び散る。街路が赤黒く染まり、蒸気が立ち上る。崩れ落ちた残骸の中心で、かつての怪物は、もう何の形も留めていなかった。ただの、散らばった素材の山。


まさに死屍累々

 

「うこおお!」

 その下でフォンは、ゆっくりと立ち上がった。

 全身に血と油が滴り、息が荒い。だが、彼は破裂しなかった。

「……詰め込みすぎだろ、お前。中身、パンパンじゃねえか」


スタ

 レイが、静かに近づく。

奇妙な足音で。

「内力はこうじゃないが...」


 彼は複雑そうな顔をしていた。


「なんと...哀れな...いや!最高だ!!」

 遠くで、白衣の男が筆を止めた。

 驚嘆か、興奮か、それとも失望か。表情は読めない。ただ、静かに後退しながら、呟く。

「素晴らしい……内部充填による自壊。数値は、予想を遥かに超えた。君たちは、本当にいい実験体だよ」

 


シューと言う音


音と共に煙が晴れていく。

 残ったのは、地面に刻まれた巨大な陥没と、散らばる残骸だけ。


(にしても死ぬかと思った、しっかり両手とかでこいつの骨格にすがってそのまま破片ごと吹き飛ばされてよかった。)


見るとフォンの場所は破裂した重歩兵の遠くにあった。



どうやら、フォンは、彼は飛ばされる直前に鉄の部分をしっかりと掴んではそれで体を守っていた。

さらに、それだけでなく破片を受けるばかりの場に向かわせないよう、つまり地面などではなく、横へと飛ぶようになるまで、自分自身を調整していた。


(横滑り利用してなんとか行けたけど、あのまま地面に突撃してたら鉄で急所守っても、鉄が雨みたく来て挽肉状態だわ。)


 「そうか、悪いレイ、あとすぐ返しできなく悪かった。考えてた。」



ドサ


フォンは指を上げれば、それで人を差していく。


 「それと..次はお前だ!神族とかいうやつ!よくも哀れと言ってくれたな!俺の中でお前はもう死んだ!!!」


(よっしゃ決まった!!!...あれ?いない)


 「...逃げられたようだ...」


「そうだね..レイ...ヤマ探そう...」


 「発条はいいのか...?」


「バネ...?」


 「金属の貴重さも..記憶中にない..と言うのか?」


「そうだ」


 「あ、あに...きぃ...はや...け...い」


「おう!今いく、でもお前息のほう元気そうだし、多分だけど...あと二百回殴ってても、まぁボロい見た目になるだけで死ぬとかはないぞ、多分」



「た...たし...け」


 「...悪かった」


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捜神伝 

鐵臂力士撼大地 落花狼藉滿春紅

怒飛礫石碎妖鬼 四手殞地鬼神空

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