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修羅神   作者: 不病真人
第一部 撼世奇人 

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第八話 神族

食事場受付を離れた瞬間、視線を感じる



 人が多い。

 近い。

 視線が刺さる。


 列から外れた瞬間を狙って、ぶつかられた。


 「……チッ。」


 肩が弾かれ、ヤマはよろける。

レイは攻撃をしていた。

ヤマをぶつけたやつの味方かは、フォンやヤマにわからない、だがレイはやつらに拳をめり込ませたり、足で腹を潰していく勢いで蹴り飛ばした。

しかもほぼ同時にその動作たちを完成させた。

 ぶつかってきたのは、外骨格の肘を異様に長く改造した男だった。

 その肘が、わざとらしく胸元を擦る。


 ザリッ。


 耳障りな音。


 レイが、ほんの一瞬だけ目を細めた。


 「……またか、わざとだな。」


 「うるせぇよ、チビ。」


 男が吐き捨てる。

 周囲の数人が、にやにやしながら距離を取った。


(なんで何人も倒れてのに呑気なんだ?実力過信だな)


 考えつつも動きは止まらずフォンは一歩下がり、足裏に意識を落とすように構えた。

 砂。石。鉄粉。

 まだ音はうるさい。

(統一させる必要がある)

 だが。


 男の背後で、別の連中が動いた。

 三人。

 同じ紋章が見えた、歯車に蛇。


 ヤマが言う。


 「……あいつら、同じとこだな。」


「盲目が天便ち他化多自在

 便ち如我多自在

皆是我多自在

 可否多自在是なり

非なり是何多大自在可是」


 「???」


「あ!こいつら!」

 「分かってんじゃねぇか。なら死ね!」


 人だかりが、さらに広がる。

決して見物ではない。

 逃げ出すやつらだ。


 フォンが肩を回す。


 「……なぁレイ。」


 「なんだ。」


 「こいつら?」


 「知らんやつに聞け。」


 ヤマは即答した。


 「腐敗ゴッ!」


 次の瞬間。


 外骨格の肘が、神速なる雷のように振り下ろされた。


 ガンッ!!


 音が、街路に響く。


 フォンは受けた。

 受けて、沈めた。


 足裏の摩擦を一瞬殺し、体重だけを叩きつける。

 男の肘が、逆に砕けた。


 「がッ!!?」


「流石にこれヤマちゃんがくらってたらまずいね」

 周囲がざわめく。


 「やったぞ、あいつ……!」

 「装備なしで……!」

「まずいって逃げろ!」


 逃げようとしたやつの同伴を、ヤマが蹴り倒す。

「やってくれたなカスども殺してくれる!!!」

ヤマが突っ伏しているやつの頭をかち割る勢いで蹴りを続けいている。

 その間三人目は背を向けた。


 「遅い。」


 レイが、歩いた。


 ただ歩いただけで、距離が詰まる。

 音が、消える。

(動きの振りは遅いがすごい速さだ。)


 レイの掌が、背中に触れた。


 ドン。


 骨が、鳴った。


 男はそのまま前に突っ込み、棚やら何やらそれごと潰れた。


 「やれやれ……騒がしいと思ったら。」


 白衣。

 だが、汚れている。

 眼鏡の奥の目だけが、妙に落ち着いていた。


 「我らが神の名の元に...哀れ哀れよ」


「シャオ!」




「試作品が壊れたじゃないか。」


 フォンが睨む。


 「お前が、科学者か。」


 男は肩をすくめた。


 「海が底して、我らは参らん」


 背後の扉が開く。


 出てきたのは、一人。


 人間の形をしていない。

 外骨格と肉が、縫い合わされたような存在。


 歩くたびに、音がズレる。


 ザ……ズ……ギ……。


 レイが低く言う。


 「……歪んだ音だ。」


 科学者が告げる。


 「第五予選用兵装━━━

  《共鳴失敗型・歩兵》。

  君たちの対戦相手だ。」


「どけ!!」

 「邪魔だクソ!!」


 人垣が割れる。

 外骨格を着込んだ男が、血相を変えてこちらに突進してきた。

 肩から胸にかけて、外骨格が歪んでいる。

 内部で何かが軋む音がした。


 「…おいおいおい、せっかく私が丁寧に強化してあげたのに攻撃しないでくれ、新しい数値がほしんですよ」


 白衣男が言う。


 

 「止まれぇ!!」

 白衣の男が叫ぶ。

 その声は妙に高く、街の音から浮いていた。


 フォンは直感的に思う。


 (あ、これだ。)


 外骨格の男がやつにぶつかりそうになる。

 反射的に腕を伸ばし、飛ばそうとするも腕を折られる。


「ぎゃにあさあば!」


 「おい!」


 「放せ!!」


 掴んだ瞬間、違和感。


(動きがおかしい!)

 重い。

 筋肉の重さじゃない。

 中に“詰め物”があるような、不自然な重量。


 男が振り払おうとした瞬間――


 「回収対象か。時間的には、まず離れろ。失敗作、歩兵十三号」


 白衣の男が、感情のない声で言った。


 近づいてくる。

 目が、片方だけ掴んでいる男の方だけをみてはもう片方は他のいわゆる歩兵と呼ばれるものを見つめている。


 「……回収?」


 フォンが聞き返すと、白衣の男はようやく視線を向けた。


 「知らないのか?科学さ、大王たちに認められているものだぞ」


 次の瞬間、地面の男を押し潰し勢いで叩きつける、それを繰り返しいく。


ゴン!

ゴン!ゴン

轟音が鳴り響く

 「哀れ哀れよ」


 ヤマが間に入る。


 「おっと。」


 金属音。

 拳と拳がぶつかり、ヤマが弾き飛ばされる。


歩兵だ。


 外骨格の男がかすかに叫んだ。


 「やめろ!!俺は……俺はただ勝ちたかっただけだ!!」


 その叫びに、白衣の男は眉一つ動かさない。


 「勝利率は上がった。

  副作用が想定より強かっただけか。」


 レイが、静かに口を開いた。


 「科学...その見た目...神族か」


 白衣の男が、初めてレイを見る。


 「ほう。...」

 


「して “気”の使い手か。

  なら理解できるだろう?

  肉体は調整可能な部品だ。」


「貴様らのふざけた考えはクソ喰らえだ!」

声は徐々に大きくなり。

レイが血管を浮かび上がらせては怒鳴りつける。

「今すぐ武術に謝罪をし!償いとして技術を破棄しろぉ!」


 「……おい。」


 掴んでいた外骨格の男が、震えながら言う。


 「やめろ……俺は……俺は……」


 言葉が続かない。

 喉の奥で、金属が擦れる音がした。


 白衣は、そっと手を離した。


 次の瞬間。


 白衣の男が、指を鳴らした。

(いや!振動!)

 「拘束。」


 どこからともなく、ワイヤーが飛ぶ。

指先からか!


「我が名はレイ!死ぬいい!シャオウ!」

レイが飛び出す時以前と白衣の動きは止まらない

 糸が外骨格の男の脚に絡みつき、引き倒す。


 「ぐあっ!!」


 人が悲鳴を上げる。

 だが、それは倒れた男ではない。

 白衣の男は言う。



 「第五予選前にこれとは...。

  だが、数値は欲しい。」


 レイはやつを踏んづけようとする


ドッ!

地面が割れた、男はまるで反動でも受けたように硬直したまま後ろ飛んでいく


 「武術を侮辱するな!」


 「君たちが邪魔をするなら、実験対象を増やす。」


「シャオ!」


「ああ、やはりか、そして実に素晴らしい、まさか飛んでいる時に地面に向けて加速か!重心によるか!」


「シャオ!」


 レイが、空中で加速していく


「だが所詮は跳躍だ!人を超えることなどできん!空を飛ぶぐっ!」

レイが空中で回転して横向きの蹴りをかました、白衣の男はすでに回避動作をしようとしてたが、その予測ができなかったか、後ろ向きに下がる途中でぶつかる。



 「不死身!いらぬ!怪我などしない!飛ぶ、できるぞ!してやたりと!」


 「いいや。」


 白衣の男は首を振る。相当に蹴りが重いからか、目を擦ったりしている。


 話しをしていること、大きな機械のそれが体を震わせる。


 彼は指を鳴らす。


 すると、倒れていた外骨格の男の身体が、ぎくりと動いた。


 「……あ?」


 筋肉が、不自然に盛り上がる。

 外骨格が内側から押し上げられ、金属が悲鳴を上げる。


 「試作品二号。

  歩行補助型から、合体道具にどうかね。」


 フォンは一歩下がった。


 「おい……まだ生きてるだろ、そいつ。」


 「生きている“から”だ。」


 白衣の男は淡々と言う。


 「死体では反応が鈍い。」


 フォンが歯噛みする。


 「……クソが。」

「あ!兄貴!!!」


見るとすでに向こうまでどうやってバレずに行けたかもわからないヤマが助けを呼んでいた。


「がっ!」

「ヤマ!」

ヤマは歩兵に激しく顔を殴られて、骨が砕けて、外まで出ている。

 


 「シャオ!」

 「……あぁ。殺す!」


「失礼するよ、人質がいるが、まぁ数値はほしい。ではさらば」


「殺す!」

フォンはヤマを気にせずに突進する。

弱みを見せたら、かえってまずいと思ったからだ。

利用価値のあるやつをそう早く手放しはしないとそう思っていた。


 ゴン


 改造された男が、地面を蹴った。


 音が――

 歪む。


 ザ……ギ……ズ……。


 歩行音が、一定しない。

 速いのか遅いのか、判断できない。


 フォンは、反射で避けた。

 だが拳が、肩をかすめる。


 重い。


 「……ッ!!」


 衝撃が、骨に直接響く。


 レイが横から蹴りを入れるが、飛ばされる。

歩兵がヤマを投擲してくた。

 「ぐ!!」


 レイの皮膚に砕けたヤマの骨が深く突き刺さる。

そのせいでしばらくは動けない、彼が激しく剥がしてしまうとヤマの骨が折れてしまうからだ。

 

そしてフォンに向かって改造兵が再び踏み込む。

 今度は、音が変わった。


(上か!)

 ――ザッ。


 ほんの一瞬、揃った。


 フォンは、その瞬間を逃さなかった。


 踏み込む。

 足裏の摩擦を、抑える。


 音を、内側に沈める。


 「……っ!!」


 拳が、改造兵の腹に突き刺さる。


 金属音。

 だが、奥で“肉”が鳴った。


 改造兵がよろめく。


 すでに遠くまで逃げた白衣の男が目を細めた。

すると目玉が伸び始めて裂けて金属の管が出てきた。

 「……ほう、そろそろ合体させた方がいいかもしれません。」


 「レイ!!」


 フォンが叫ぶ。


 「今のだ!!」


 レイは、短く言った。


 「悪くない。

  だが、まだ“外”だ。外力など意味はない!内だ!内力をしれ!」


 改造兵が、吠えた。

 声にならない音。


 次の瞬間、戦闘は激化した。


 街の一角が、完全に“試合場”へと変わる。


 人々は歓声とも悲鳴ともつかない声を上げた。


 予選は、まだ始まっていない。


 だが。


 フォンは確信した。


 (殺す殺す殺す殺す殺す)


 「……光栄だよ。」


 フォンは歯を剥いた。


 「ぶっ殺す!」

場所こそ違えど

 予選はすでに始まっていた。

ならばやることはただ、相手を仕留めるのみだ。フォンの中ではそれが渦巻き、戦いの意思を高める。

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