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【短編・完結保障】ダンジョン前のチケットもぎり、裏ルートで最強になる!  作者: 舎人二阿木
:第二章≪望みを叶えることは誰かを犠牲にすること。それが嫌だと気が付いた時、それは自分が犠牲になる番だ、そうやって、世界は譲りあって出来ているんだよ、少年。≫
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 矛盾した条件を持ち合わせながらその存在を許されている刀。

 改めて、ダンジョンアイテムの恐ろしさを認識した。改めて、冒険者のトップランカーの恐ろしさを認識した。

 怖い。そう思った。


「おいベル、そろそろじゃねーか?」


 バビルスはベルの横で何かを察知したように話かける。

 ベルさんは辺りを確認するように顔を振ると、再びこちらを見やる。


『ダグ少年! ココからは少し走ってもらうぞ!』

「……え」


 ベルさんが言い終わると、溶岩洞の天井や足場の下側から無数の黒い生物がこちらに向かって飛んでくるのが見えた。


『少年! くれぐれも、クラムを離さないようにね!』


 言い終わると、俺のすぐ横にマグマのような火球が横切り、足場に当たりはじけ飛ぶ。


「何ぼさっとしてんだい!」

「こっちだ! 走れ!!」






 やばいやばいやばいやばい!!!!

 あの数はやばい!!

 後ろを振り返ると、蝙蝠にも似た翼をもち、頭の大きな鳥のような見た目をした、羽を広げると四メートルはある、<巨頭禿ビックヘッドシンプ>に襲われていた。

 一匹のビッグヘッドシンプが俺に向かって火球を吐き出すと、バビルスがそれを受ける。


「ったく、もっと速く走れねーのか!」

「はあはあ…ゲホッゴホッ……はあはあ、はあはあはあはあ!! ゲホッゲホ」


 マズい、灼熱な環境も相まって、五分くらいしか走ってないが既に肺が限界だ。

 俺の背中でおぶられているクラムは相変わらず無口を貫いているが、時折、走る振動が気に食わないのか自ら位置をずらしベストポジションを探り当てようとしていた。

 こんな襲われている状況でなんてのんきなやつだ。


 俺たちの前、数十メートル先ではベルさんとヘレナさんがヴァーテックスやその他大型のモンスターと戦っていた。

 ど、何処まで走ればいいんだ…?


 すると突然。溶岩洞全体が波打つように振動したかと思うと、その振動が次第に大きく、細かく揺れ始める。


「ちっ…、時間切れだ、担ぐぞ!!」

「えっ? うおっ!!」


 バビルスは俺の答えを待たずに担ぎ上げると、そのまま足場を飛び越えながら進む。

 そして担がれ、先程まで俺たちが居た足場の方へ目をやると、溶岩の下で何かが動いたように見えた。

 すると、近くの足場はなぎ倒され、<それ>が動くたび波を作る溶岩から、弾けるように顔を出したのは、長い体を持つ、超巨大な溶岩竜だった。


「あ…ああ…あれは<ねじれた海の支配者リヴァイアサン!!>」


 リヴァイアサンは大きく体をくねらせると、ちらちらと溶岩や色とりどりな火の粉に照らされ、その姿は、荘厳に、きらきらと輝きをはなつ。

 ぎゃあぎゃあ、と周りのビッグヘッドシンプや他のモンスターたちは溶岩から出てきた主を讃えるかのように騒ぎ出し始める。

 目が離せない。

 全身から嫌な汗が出ては、熱され、蒸発していくのを感じた――



オオオ……オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!



 リヴァイヤサンの口が重々しく開かれると、溶岩増全体を揺らすように咆哮する。


「ベル!!」

『――――<咫尺ノ伝助ヒルベルト>』


 ベルさんのヒルベルトが居合のように抜刀され、リヴァイアサンに届く直後。リヴァイアサンは明らかにこちらに振り向くと、その大きく宝石のように欄欄と赤く輝く両眼を見開き、激しい衝撃音と共にその見えない斬撃を、自身の下に流れる溶岩を操り、壁を作ると、受け止めて見せる。

 衝撃で、リヴァイアサンの頭以外の体が一瞬後ろに波打ち、放たれる衝撃波は、こちらの体も大きく後退させた。


 ベルさんは刀を切り返すとさらに踏み込み刀を振るが、再びリヴァイアサンの顔の前で弾き返される、それでも手をゆるませず、今度は横なぎや斜めの大振りの連撃を食らわせると、リヴァイヤサンの前で溶岩の壁に飲み込まれていた斬撃は徐々に押し込まれていき、ついにはリヴァイヤサンの操る溶岩が追いつかなくなると、溶岩の壁を、吹き飛ばした。


「な、なんて戦いだ…!」


 そして、その連撃が終わるとリヴァイヤサンの前には既にヘレナさんが飛び込んでいた。

 ヘレナさんは両目の間、眉間に飛びつき、「氷点虎穴――<天結・氷のヒノタメシ>」と呟くとその短剣をキラキラと光る鱗に突き立てる。

 パキパキパキッ――! 音を立て頭が凍り始めると、リヴァイアサンの咆哮が再び溶岩洞内を満たした。


「はあーーーー…………」


 ヘレナさんの体は両腕が既に凍り付き、顔にまで氷が到達していた。

 武器の効果か…、なんつー強力な凍結能力だよ。 けど…。

 その短剣は鱗を貫いておらず、それに気が付いたヘレナさんの腕は既にこの環境の温度差で崩壊が進んでいた。

 大きく頭を振ったリヴァイアサンから離脱すると同時に、両腕は破損し、崩壊を起こしながら、ヘレナさんは足場までジャンプし戻る。



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