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短編として出したかったんですが文字数制限に引っかかってしまい、一応連載(物語は切りのいいところまで書き終わってます)完結保障という形を取らせていただきます。
文章量がそれなりにあるので、「毎日連載」で続きを出していこうと思います。
途中イラスト(手描き)などもあるので、懲りずに最後までお付き合いいただけるとありがたいです…
きっと、俺が選べる立場なら<俺なんか>選ばねェだろうよ。
付き合わせちまって悪ィな。だからまあ、せめて、俺とお前の出会いが、すっげーー面白れェもんになればいいと。そう、――――思うんだ。
:プロローグ≪おめーはバカでグズでノロマだが、そういう面白れー奴が、俺は好きだ。≫
「「「ぎゃははははは!!!! 飲め飲め!!!!」」」
商業都市ダミデコア。
その下町にあるギルド。
俺はこの時期、毎日のようにこのギルドへ足しげく通っていた。
世界を旅する荒くれもの<冒険者>、そいつらが口々に話す物語は、当時の俺にとって、世界の全てだった――――
「おいダグ! トウカ! 飲んでるかー!!」
「おうっ! 飲む飲むぅううって、イテェ!!」
「私たち、未成年ですので」
酔っぱらったリムが、両手いっぱいに持ってきた木のジョッキを受け取る瞬間。
トウカは俺の手を叩き、ジョッキを奪うと、きっぱりとした態度で断った。
「ってェ…おい返せよトウカ! 俺は<冒険者>だぞっ! 酒だって飲めるんだ!!」
「私たちは未成年だからお酒だって飲めないし、それにダグは<冒険者>じゃ無いでしょ!」
「デカくなったら冒険者になるんだ! どっちだって同じだろ!!」
赤毛に赤目、キツイ眼をした少女。シャツにオーバーオールという活発な服装に身を包んだトウカは、けれど、その所作や言動からは育ちの良さがにじみ出ていた。
「かぁああ、トウカちゃんは相変わらず厳しいねー、二人とも、冒険者になるんだったら、ほれっ冒険の一つや二つ、しなきゃなあ、そうだろ? ダグ」
そうだ、トウカは厳しすぎる、こんな酒っぽっちでなんなんだ。
リムはたまに見せる悪戯な笑みを浮かべると、肘をつき、店全体が見える二階。俺たちの居るガタガタの丸机に身を乗り出す。
「ぶーぶーそうだそうだ! リムが言ってんだぞ! さっさと渡せよっ!」
そんなリムと俺を見て、トウカは深く、これ見よがしに生意気に、溜息をついて見せる。
「はあ……。第一に、私はね、冒険者なんて不安定な職に付くつもりはありませんっ、第二に、冒険者だとしても、お酒を飲まないで凄腕の人もいます、みんながみんなリムおじさんみたいにお酒好きじゃないんだからね、だいたい、リムおじさん、今日それ何杯目? そんな勢いで飲んでたら体壊すよ、それにお金だって大丈夫なの? ただでさえ不安定な仕事なのにそんなに毎日毎日飲んで食べて飲んで食べて、気分良くなったらみんなに奢って歩いて、そんなんだから昨日だってバイトして…それって冒険者関係あるの? ねえ、冒険者ってバイト戦士のことじゃないんだから――」
「わあああああああああああああああああ!!!!」
「リムが壊れた!!!! おいトウカ! あんまり詰めんなよ! お前の詰め方怖いんだよ!」
「ごっごめん、止まんなくなっちゃって…」
「心なしか、ギルド全体が静かになってる気がするっ、全員の心えぐってる気がするっ!!」
頭を抱え、さっきまで意気揚々と冒険者仲間と肩を組みながら酒をあおっていたリムは、大の大人とは思えないへこみ方で机へうな垂れていた。
「はっはっは!! トウカちゃんは相変わらずだな、よっダグ」
そこへ長髪の、切れ長の目を優しく歪ませながら片手をあげた男が、新たに俺たちの机へ腰かけると、リムの腕を持って起こす。
リムのパーティメンバーだ。