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神父へのお願い

 昨日の今日で、俺と砂橋はまた教会に訪れていた。


 砂橋に「教会に行きたいから運転手は任せた」と言われた時は、気が狂ったのかと思ったが、間違いなく神への祈りを捧げるために教会に行きたいと行ったわけではないのだろう。


「昨日、横内兄弟にポーチを渡さなかったのはなにか考えがあったからか?」

「まぁねぇ、少なくとも、あの場でポーチを渡すのは適切ではないから」

「あの場で……少なくともミサと名乗っていた横内英二が亡くなった後、受け取るべき人間はその遺族であるあの兄弟だと思うが」

「そういう話じゃないんだよねぇ」


 教会に辿り着いた砂橋は扉を開けた。土曜日だが、もうすぐ夕方ということもあり、昨日と同じく教会には人がいなかった。牧野神父が入ってきた俺と砂橋を見て、目を丸くした。


「どうかされました?」

「牧野神父、こんにちは~」


 砂橋はひらひらと手を振りながら、牧野神父に近づいた。


「昨日言ってたことを実行してもらおうと思って」

「昨日というと……」

「言ったよね。なにか力になれそうなことがあれば、いくらでも手を貸しますって」

「よく一字一句覚えていますね……」


 目を丸くしている牧野神父に同情した。砂橋はこの手の約束は驚くほど覚えている。手伝うという一言を口にしたが最後、本当に手伝ってもらうまでその言葉を引き合いに出してくる人間だ。


 牧野神父は俺の表情を見て察したのか、すぐに観念した。


「分かりました。できることであれば、協力させていただきます」

「やった。じゃあ、懺悔室入らせて」

「なにか告白したいことでも?」

「違うよ」


 砂橋はにこにこと笑った。


「告白を僕が聞くんだよ」


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