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1話:因果の始まり

『グチャリ』

肉塊が潰されている様な音を聴いて、僕は目を覚ました。そこはいつも通りの自分の部屋だった。

何か嫌な夢を見た気がする。内容をハッキリとは覚えていないけれど、とても、大切な何かを残して死んでいく。そんな夢だったと思う。


「夢の事なんて気にしていても仕方がない。」

そう自分に言い聞かせて森へ向かう。生きるためには些細な事を気にしていられない。薪がないと火を起こせない、火がないと肉を焼けない。そもそも肉そのものも森の動物を狩らないと手に入れられない。生きるための全てが森にあり、僕の生き死には森に委ねられている。そんな世界だから怠惰でいられる時間もない。


森の動物は殆どが夜行性だ。たまに昼でも活動している種類もいるが、その大半は何かしらの毒をもっている。だから夕暮れ前に森に入って野草や木材を採取する。そして夜になってから狩りをしている。

夜の森は好きだ。静かだから。ただ、最近は少し様相が違って見える。そこらかしこで動物達の喧騒の音が聞こえる。

前までは同種間の争いや弱肉強食が故の悲鳴は聞こえたが、最近聞く様な同格の生物達のいさかいの音は無かった。この森の動物達はそれを避け、不問律として扱っていたはずなのだ。

僕には思い当たる理由もなく、争いを避け、他の動物を狩ることにした。


少し時が経ち、夜も更けてきて、獲物も十分な量を狩ることができた。そろそろ家への帰路につこうと思った時にソレはいた。明らかにこの森にいない生物。いや、生物なのかも怪しい。そんな〈モノ〉は

自身の足下の何かを見ていた。僕は息を殺し、茂みに隠れながら、ソレの足下を確認した。そこには16,17歳ほどの傷だらけの少年がいた。その容態はあまりにも酷く、遠目で見ても今にも死んでしまいそうだとわかる程には悲惨なものだった。


僕は猟銃を構えていた。ソレに対して致命傷にすらならないであろうと頭では理解していたし、今ここで何も見ていないフリをし、やり過ごしていれば何も自分には被害がない事もわかっていた。ただ、僕はそんな理性が働くよりも先に身体が動いていた。

「あの少年を助けなければいけない。」

そんな想いが何よりも先行していたのだ。

『バシュッ』

一発目。頭部と思われる箇所に命中した。ソレはよろめき、少年から少しだけ離れた。ただ、命中した箇所はすぐに再生した。予想外の出来事に激高したのか、ソレはこちらに向かって猛進してきた。

『バシュッ』

二発目。猛進してきたソレの脚部に銃弾をめり込ませた。あの銃弾は貫通性を弱めて体内に残るようになっている弾だ。だからこそ、再生速度も遅くなるだろうと予想し、使用した。

予想は的中した。ソレは再生している間は一切動けないようで、僕は無事にそれの横を通り過ぎ、少年の保護に向かうことが出来た。


それから僕は一心不乱に走った。ソレの再生が終わり、またも僕と少年に向かって猛進してきていた事はすぐに理解できた。だが、僕には不思議な確信があった。朝になれば、日が登れば、ソレは形を失い、消えるという確信だ。

気づけば森を出ていた。少年を抱えながら走っていたからか、僕の体力は限界を迎えそうになっていた。家はもう少しでたどり着くが、もうソレはすぐ近くまで来ていた。

「ああ、僕達はここで死ぬのか」

そう思った瞬間、ソレの身体が細くほどけ、ほどけたソレの残骸は黒い霞のように消えていった。そして、太陽が登り始めている事に気づいた。


その後、僕は家に辿り着いた。息を整え、少年の介抱を始めた。重症ではあったが、なんとか一命を取り留めることができた。

少年の介抱が終わった後に、僕は床に崩れるようにして眠りについた。

気まぐれで書いたので読んで下さっていたら嬉しいです。

多分4話構成になると思います。

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