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第4話 グミの涙と収縮範囲

スマホのマップの次の安全地帯を見ながら、俺たちはグミの涙という、カラフルなグミでできたタイヤみたいな感触の丘を登りつつ移動をしている。

この手のゲームは地形的に上の方が有利なので安全地帯の円を目指す時は丘や山など斜面を登る展開が好ましい。

作戦上仕方ないんだが、安全地帯の円のフチがかなり遠い。

俺は安全地帯の円の中に設置するマーカーはいつも円のフチのギリ内側に設置する。

この手のゲームで何メートル走れば安全地帯に入れるのかわからないのは致命的だからだ。

実際のところプレイヤーの歴がどのぐらいか目安程度に数値でわかるゲームで、数値上はベテランプレイヤーだが安全地帯に入るのが全然間に合ってなくて死ぬプレイヤーは意外に多い。

回復アイテムが多い場合あえてギリギリまでアイテムを漁るのは戦略としてなくはないかもしれないが、収縮範囲外で受けるダメージ量はゲームが進行するにつれて上がっていくし、そもそも丘や山の上で収縮範囲外から走ってくるプレイヤーをスナイパーが狩るというシチュエーションはよくあり、あまり強い動きとは思えない。

「ねぇホス吉あの子たち時々ジャンプしながら移動してるけどアレなんの意味があるの? ただ移動してるだけでも乳揺れするのにエッチ過ぎない?」

おまけにグミの弾力でジャンプ力が通常の地形より上がっているので、もう彼女たちのおっぱいは誰にも止められない。

「あー先輩アレはですね。移動してる動きにジャンプを混ぜるとスナイパーが当てにくいからっすよ。俺も初心者のうちは疑問に思ってたんすけど、自分がスナイパー側になると効果があるのがわかりますよ」

くっ殺先輩も時々移動にジャンプを混ぜだすが、鎧のせいかジャンプが低い。あと先輩はおっぱいアーマーのせいで乳揺れしてるのかまったくわからない。まあジャンプを混ぜる動きはくっ殺先輩みたいに低軌道でもやらないよりはやった方が良いんだが、俺もや――

「っ痛!?」

「くっ殺先輩!?」

くっ殺先輩が撃たれた。続けて近くの緑の大きいグミが連射を受けたことによる蓄積ダメージで弾けた!

先輩が受けたダメージ量が致命的じゃないことからして恐らくアサルトライフルの射撃、後ろからか!

だが、こっちは丘の途中、地形的には俺たちが上で優位!

モヒカンの男2人とスキンヘッドの男2人のチーミングか!

男殺しがどれほどのものか試される時が来たな。

俺の経験上この手のゲームのスナイパーライフルの射撃で敵を仕留めるにはレアリティ3以上ないと成功率が下がると思っているが、今俺たちのチームにあるスナイパーライフルはすべてレアリティ3だ。

スナイパーライフルを構え集中すると男たちの動きが緩慢に見える。

「一人目!」

ヘッドショットが決まりモヒカンが一人ダウンした。

連中にダウンしたモヒカンを蘇生する余裕はないとはいえ、スナイパーライフルは一発撃つごとにリロードが必要だ。

「これ! 私も狙いますけど相方はスナイパーライフルのエイムが苦手なんで相方のスナイパーライフルを使ってください!」

「私はそのうちにホス吉さんのスナイパーをリロードします!」

「おけまる! くっ殺先輩はそもそもスナイパー持ってなくてアサルトライフル2丁持ってる武器被りの状態だし、ここはアサルトライフルで援護する感じでお願いします!」

「あい!」

実際のところ武器被りという状況でなくとも、くっ殺先輩はスナイパーのエイムがまだまだなのでこの局面だと、アサルトライフルで援護してくれた方が全然良い。そもそも初心者のくっ殺先輩に限らずスナイパーライフルを使うのは相手が静止でもしてない限り中々難しいものだ。

「2人目!」

2人目のモヒカンも俺のスナイパーライフルによるヘッドショットでダウンした!

やはり男殺しの能力は強い! やつらの動きが遅く感じるし、あいつらは劣勢になった動揺からクソエイムになって、こっち側はたまにメンバーがアサルトライフルの乱射が浅く被弾する程度でダメージレースで圧倒的に俺たちが勝っている!

3人目のスキンヘッドはうちのスナイパー担当の子が胴に当て、くっ殺先輩が残りをアサルトライフルの連射で削り切ってダウンさせた!

やけになったのか4人目のスキンヘッドがロケランをこっちに撃ってきた

「これ! リロードしました!」

「ナイスゥ! 俺以外はこっから離れてくれ!」

俺もロケラン側で経験があるが、ロケランはスナイパーライフルより弾速が遅いからこの組み合わせでの打ち合いは俺の勝ちだ!

「4人目!」

4人目のスキンヘッドを仕留めた! 敵側は全員ダウンし俺の背後ではロケランの着弾により弾けたグミの涙が降り注いでいた。

もうほっといても相手側に蘇生の手段はないので自動的にゲームオーバーだ。

――敵からアイテムがドロップした。

レアリティ4の武器もその中には混ざっている。

「ホス吉アイテム回収する?」

「いや、ダメっす! 今回敵が取った行動、収縮の円に向かって走ってる前のチームに後ろから絡んで全滅し、前のチームも不利益をこうむる展開はマジでこの手のゲームでありがちなんっす! 収縮から逃げる時間が少なくなってしまってるんで、アイテムの回収はせずに走ります! ぶっちゃけそれどころかこのペースじゃ収縮に追いつかれて、収縮が止まってそれを抜き返して円の内側に入るまである程度ダメージを受けます!」

「マジで?」

「マジっす! これからの流れなんすけど、収縮に巻き込まれた時体力ゲージが30パーセント切るような状態で1個で全快する方の回復アイテムがある場合は、収縮の範囲の中で回復するのが良いんですけど、色々グダってメンバーがダウンした場合は体力ゲージに余裕があるメンバーが担いで円の内側まで逃げます。みなさん1個で全快する方の回復アイテムはありますか?」

「はい!」

みんなが一斉に返事をした!

「おっしゃ!」

背中にチリチリと迫る収縮範囲を背に俺たちは走り出した。必ず追いつかれることは確定しているがそれでもやるしかなかった。

10秒もしないうちに全員が収縮範囲に追いつかれダメージを受ける。焼けるような痛み。あちこちから痛みをこらえながら走る気配がする。

仲間の女の子が一人ダウンした。

確かにこの状況でゲームのように回復するのは無理があるかもしれない。

「わ、私が一番体力ゲージに余裕がありますし相方は私が担ぎます!」

「いや、ゲームと違い俺たちプレイヤーには身体能力の差があるし、俺が担いで円の内側まで走る! 残りのメンバーは自分自身が生き残ることに専念してくれ!」

「わかりました……」

「ホス吉死ぬんじゃないわよ」

「はい!」

先輩に返事をしたものの実際のところこれはかなり不味い状況だ。だが全員生存するにはこれしかない!

気合を入れて俺はかつてない速さで円の内側を目指して全力疾走する。

現実的には人一人担いで走ってるし痛みもあって大したスピードは出ていなかったかもしれないが、担いでる子がギリギリ生存してる状態で円の内側に俺は入り、相方の女の子が彼女を素早く蘇生し他のメンバーもなんとか安全地帯の円の内側で回復を済ませた。


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