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第3話 お菓子の家と蟻

スマホに表示された自分たちの位置情報を確認しつつ

俺たちは2チームに別れてパラシュートで降下した。


通常この手のゲームは自分たちのチームの位置情報しかわからないが

現在俺たちはチーミング機能をONにしているため仲間の4人分の位置情報がスマホに表示されている。

ちなみにこの状態だと仲間のフレンドリーファイアは効かない仕様だ。


2チームに別れている理由はこの手のゲームは通常、アイテムの総量の問題で

1軒の家のアイテムを1人で漁るものだが

野良なら2人で同じ家を漁るのは結構ある展開だし

2人までなら同じ家のものを漁ることは大して問題にならないからだ。


降りたマップはスマホによるとお菓子の住宅街らしい。

なるほど甘ったるい匂いが辺り一帯に充満している。


「よし! あいつらもとなりの家の前に無事降下したな! 先輩俺たちもお菓子の家の中に入ってアイテムを漁りましょう!」

「ホス吉、家の中に入ったら話したいことがありますわ」

「?」

先輩が何を話すつもりなのかはわからないが、お菓子の住宅街にも敵チームが1組は降りているのが視認できている。

このまま外に長居しても敵の的になるだけなので

まるで蟻のようにそそくさと俺たちはお菓子の家の中に移動した。

うわぁ……砂糖だろうか?

ドアノブとか壁とかベトベトする……って今はそれどこじゃない!

「ホス吉のママもSSRでしょ? ママがSSRの場合は特別にギフトが送られてるはずだわ確認して!」

「お、おう」

確認したところプレゼント箱がスマホに表示されておりタップすると開封された。


ママ   美少年スキー

ギフト名 男殺し 

能力   男には絶対負けない

能力使用 パッシブ(常時発動)


「先輩、これチート能力っすね。男には絶対負けないってVTuberは男が少ないから一見大して使えない能力に思えるっすけど、普通の女に男が身体能力で負けることはまずないでしょうし、これあればほぼ身体能力で俺より上はいなくなるんじゃ?」

「そうね、でも油断はできないわ。ギフトを送られているプレイヤーが他にもいる可能性があるし、どんなぶっ壊れ能力かもわからないわ」

「てか言うて、くっ殺先輩もママがSSRだからギフト貰ってるっしょ? どんな能力だったんすか?」

そう、くっ殺先輩もチャンネル登録者数17万人の人気VTuber当然ママはSSRだ。

「私のはこれね」


ママ   くっ殺女騎士スキー

ギフト名 鉄壁

能力   犯されない

能力使用 パッシブ(常時発動)


「まあレ〇プされないってのは強いっすね」

「そうね……」

能力的には先輩の能力もかなりチートなんだが、さすがに微妙な空気になってんなぁ……話題を替えよう。

「とりあえずアイテム漁りましょう先輩」


俺と先輩は手早くお菓子の家の一階にランダムに配置されてる武器をかき集めた。

「ハンドガンとショットガンとサブマシンガンが1丁ずつあるわ、この場合どうするのかしら? 1から4のレアリティの内全部2みたいだけど」

「レアリティが2なのは出だしとしては悪くないっすねー、これ正直難しいところなんすよ。まずバーストタイプのショットガンは性能が飛距離威力ともに中途半端で要らないんで、バーストタイプのショットガンを除外した前提で話しますよ?」

「わかったわ」

「上手いプレイヤーがショットガンを近距離で頭に当てればワンパンですけど、一発撃ったらリロードしないといけないですし近距離向けの武器は距離による威力の減衰が露骨にありますし、ピンポイントで頭に当てるのは非常に難しいです。熟練者でもテンパると当てれるかどうか怪しいと思います。ハンドガンはイメージに反して連射が効いて意外と近距離での打ち合いにも強く、降下して最初の武器としてはそこそこ優秀で、実はアサルトライフ並みの射程もあるし序盤以降もそれなりに役に立ちます。ですがショットガンを除いた近距離での撃ち合いの場合は、この中じゃサブマシンガンがあっという間に敵を削れるんで選択肢としては丸いですね」

「それじゃ私がサブマシンガンを取るからホス吉がハンドガンとショットガンを取りなさい」

「まあそうっすね。ただサブマシンガンは相手を殺しきれずリロードに入らなきゃいけないこともあるんで、先輩がサブマシンガンとピストルを持っててください」

「ホス吉は大丈夫なの?」

くっ殺先輩が若干不安そうな表情になる。

「序盤レアリティ1のショットガンしかない状況も結構ありますしレアリティ2のショットガンならまあマシっすね」

嘘ではないがショットガンはピーキーな武器なので、早く2つ目の武器が欲しいのも事実だ。

俺たちはすぐさまお菓子の家の二階のアイテムを漁った。

「二階で手に入ったのがシールド1個、回復1個、レアリティ3のアサルトライフル1丁」

「このゲームはシールド1個でシールドのゲージの半分が得られるみたいなんで結構良いっすね。回復も1個で体力ゲージの半分回復ですが最初のゲージ状況はシールド無しなんで先輩がシールドを使えばまあ序盤では死ににくいでしょう。俺が残った回復とアサルトライフルを貰いますね」

「ホス吉が回復1個、レアリティ2のショットガン1丁、レアリティ3のアサルトライフル1丁。私がシールド1個、レアリティ2のサブマシンガンとハンドガン1丁。これって立ち上がりの展開としてはどうなのかしら?」

「まあ俺がシールドないんでそこが怖いっちゃ怖いんですけど、ゲームで入手頻度や威力的にメインで使われるのはレアリティ2と3の武器ですし、立ち上がりとしてはそこそこっすねー。レアリティ4の武器とかは正直体感的にあんまり威力の上昇とかも感じないですし、あれば使うけど基本的にはないものとして考えて良いっす。あとシールドで枠圧迫するのは基本的に推奨できないんで今使っといてくださいねー」

「そうね」

先輩がコンビニおにぎりみたいなのを食った(シールドを使った)

「これって俺がおにぎり食ってほっぺたについた米粒を先輩が食う方がエンタメ的に丸かったっすかね?」

「シールドないと初心者の私が死ぬでしょ?」

先輩が先輩のほっぺたについた米粒を右手の人差し指につけて俺の口の前に伸ばす。

ここで何か言うのも野暮かと思ったので俺は無言でそれを食べた。

先輩もお菓子の家に触れたからだろうか先輩の指は甘い味がする。

先輩が自分でやっておきながら若干照れている。

こっちまで恥ずかしくなってくるからやめてくれ!


そのときとなりの家の方からグレネードが爆発する前段階のシューと言う音がし、ワンテンポ置いて爆発音が響いた、スマホに表示されてた仲間の一人の体力ゲージがなくなってダウン状態のゲージになっている。

ロケランとかグレネードはこういう展開が怖い。

「先輩! お菓子の住宅街に降りてた敵は視認できてた感じだと1組ぐらいっすけど、ダウン状態だといつ殺されてもおかしくないですし、このまま2人とも倒しきられるのはマジで超あるパターンすっ!! となりの家に急ぎましょう!」

「そうね!」

「この手のゲームで余ったグレネードを雑に無人の家とかに投げる遊び自体は俺もやりますし、別に行動として珍しいことじゃないっすけど、イカれてなければ相手がデスゲームでそんな雑なプレイイングをするとは考えにくいんで、仲間がダウン状態から追撃で殺されてアイテムを奪われなければ、相手は銃を持ってない可能性があります! さっさと仕留めるのが吉です!」

「ホス吉だけに?」

「いや、先輩今マジでそういうの良いんで!」

俺と先輩がとなりの家の一階に突入するとスマホに表示された二人目の仲間の体力ゲージもダウン状態になった。

相手側は入り口からそう遠くない場所で片方の女性プレイヤーがダウン、もう一人の女性プレイヤーが空の銃を俺に向けてカチカチやってる。

「決める!」

俺は冷静に敵の頭をショットガンで撃った敵が二人ともダウン状態になる。

若干サイコパスな危うい発想かもしれないが

お菓子の家の床にダウンして這いつくばる彼女たちが蟻みたいで奇妙な感じがする。

これが戦場の狂気なんだろうか?

「先輩! 敵は俺がキルするんで、最初にダウンした子のダウン状態の体力ゲージがなくなりそうなんで優先順位その子が先で蘇生してください!」

実際のところチーム戦において慣れてないプレイヤーは複数仲間がダウンしている場合、とっさに的確な順番で蘇生するというのは中々難しい。

そして本来ゲームならダウン状態の敵は弾の無駄なのでゲームの流れしだいでは殴って殺すところだが、俺はダウンした二人の頭を苦しませないよう素早くショットガンで撃って葬った。

――死体が消えアイテムがその場に残る。

蘇生はどうなった?

先輩の方を見ると先輩が親指を立てている!

先にダウンした子がダウン状態から蘇生しもう一人の子を蘇生していた。

すぐにもう一人の子も無事に蘇生される。

「ふぅ……4人チームのゲームならこれはよくある展開なんすけど、さすがにデスゲームだと緊張感が違うっすねぇ……」

「ありがとうございます! ありがとうございます!!」

「もう終わったかと思いました!」

2人とも意外とメンタルは大丈夫そうだ。まあVTuberなんて日常的にクソ〇ロを送られまくるもんだし、並みのメンタルで続けられるもんじゃないが。

「敵が落としたのは回復1個、レアリティ1の弾切れのショットガン1丁、このアイテムは君たちで使ってくれ、弾が拾えればレアリティ1でもショットガンはゲームで強いイメージがあるし、さすがに俺たちも弾が余ってる段階じゃないから弾は譲れないが、この一帯に他のチームは恐らく降下していないし、残りの家も手分けしてアイテムを漁りましょう!」

俺たちは残り時間いっぱいアイテムを漁り、安全地帯が収縮される前にお菓子の住宅街を後にした。

予想通り次の安全地帯は遠いが、リアルな話、最初から自分たちが安全地帯に入ってるパターンも意外に負けたりするんで展開的には一概に悪いという感じでもないが……

「先輩走るときその鎧邪魔じゃないっすか?」

「まあ防具ないよりマシでしょ?」

そう、なのか……?


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