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第2話 チーミング前提デスゲーム

視界がはっきりすると俺とくっ殺先輩は謎のメルヘン空間にいた。

ただし何か周りに世紀末な感じのモヒカンとかヤバそうな連中がうようよいる。

スマホをふと見ると、見たことのないアプリが起動していて、94という数字が表示されている。


「くっ殺先輩なんすかこれっ!?」

「こいつらは全員現役VTuberの中の人、んでこれは降下してバトロワる系のゲーム、ただしガチで死ぬ。死んだら表向きは失踪だとかVTuber引退って処理になる。VTuberはもう飽和してるから遅かれ早かれ人気があろうがなかろうが絶対に何度もこれに参加しなきゃいけない。私は今回が初参加だけど」


おいおいおいおい! マジかよっ!! 事務所の野郎! ふざんけんなよ? 聞いてねぇよ! いや、だから俺と事情を知ってるくっ殺先輩とで組ませたのか? ちくしょう! 雑過ぎんよぉっ!?


「えぇ……じゃあ今はあれっすか? 100人集まるまで待機する時間!? この手のゲームはよく100人集まらないで96人とかでスタートしたりしますけどっ!」

いや、むしろ今は100人そろわない方が良いっ!

「そうそれ! 今のうちに攻略法を教えなさいっ!」

「えっとですね! 今日のコラボで先輩にレクチャーしたおさらいになりますが、この手のゲームはどんな猛者でもすぐ降りるともう完全に運なんで、始めの潰しあいでほぼほぼ死にます」

「だから時間経過の安全地帯の収縮で範囲外になる可能性は高いけど、スタートするときの乗り物にギリギリの時間まで乗って、降下するときは乗り物の移動範囲からできるだけ遠くを目指してマップの端の方へ降下するのね?」

「そうっす! 武器は俺がショットガン、サブマシンガン、アサルトライフル、スナイパーライフル、回復、ロケランorグレネードを取るんで、先輩はスナイパーライフルとロケランorグレネードのとこは何か別の武器と被っても良いっす! ロケランの場合はできれば拾って欲しいっすけど! あと回復は絶対1枠は拾ってくださいよ! ゲームでさえそこの枠は必須ですから! ただ回復2枠は枠を圧迫するんで2枠取るならもう1枠はシールドでお願いします!」

「おけまる!」

先輩の返事が言い終わるかどうかって感じの時にスマホに表示された数字が100になり

俺たちの上空へ現れた銀色のUFOっぽいものが

ピカッ! と発した台形みたいな形のまばゆい光に吸い込まれた。

船内は100人収容できるだけあってクソ広い。これまでの展開から推察するに俺は異世界転移とか言うやつに巻き込まれなう! なんだけどUFOとか出てくんの!? よくある異種族とかが普通にいる中世ヨーロッパっぽいファンタジーじゃないの!? まあよく考えればくっ殺先輩、女騎士の格好してるけど確か現実のそれっぽい時代におっぱいアーマーなんて実在しなかったらしいし、これコスプレかよぉっ!?


「先輩これゲームと同じで最後の1チームまで勝ち残る必要があるんすか?」

今日のコラボで先輩はクソ雑魚地雷プレイヤーからは脱してはいるが、まだせいぜい初心者プレイヤーに毛が生えた程度の腕前で、今日俺と組んで優勝したのは数十回やってたったの2回。敗北が許されない状況でこの勝率は正直きちぃ……

「いや、そこはちょっと違くて2チームまでですわね」

「とするとチーミングはBAN対象じゃないのか?」

「チーミングはありですわ」

なるほど他のチームとの協力が公式に許されるルールか

「先輩俺よりはVTuber歴長いっしょ? 見渡してみてこの中で協力できそうな顔見知りの強豪プレイヤーとかいないんすか?」

「いや、そもそも私が魂を知ってるメンバーはここにはいないわよ?」

そうか、いや、うちのような最大手のVTuber事務所でも、オフコラボしたメンバーと偶然事務所内で会ったメンバーとかの数人しか魂に会ったことが無いっていうのはよくある話だ。


「先輩このゲーム、最大4人生き残れるんで一見バトロワ系デスゲームだとぬるい感じしますけど、チーミングが許される以上もう降下前から戦いは始まってます! うちと協力してくれるチームを探しましょう!」

「そうね、やっぱりモヒカンとかと組んだ方が良いのかしら?」

「いや、それ先輩がくっ殺って言いながら薄い本になる展開じゃないっすかね? そもそもそういう連中すぐ降下しそうだしチーム方針と合わないっす!」

「なるほど百理あるわね」

「かと言って誰と組めばベストかは難しいっすねぇ……大人しそうなやつが豹変するパターンとか普通っぽいやつがサイコパスとかマジでよくある展開だと思いますし、モヒカン系じゃない強そうなプレイヤーも強豪だけど頭が固くて方針が合わないなんてマジでよくありますし、かと言って初心者善良プレイヤーとか選んじゃうと状況的にもう絶対助からない感じの仲間を見殺しにできずに、助け合ってその結果全滅とかありがちですし」

「あのお話の途中すみません! もし良かったら私たちと組んでもらえませんか?」

俺たちの近くにいた2人組の女性チームが声をかけてきた。


俺は小声で先輩に言う。

「先輩どうします? 友好的かつ向こうから接触して来てるんでコミュ力不足で足引っ張られるパターンはなさそうですし、割と彼女らと組むのはアリ寄りのアリだと思うんすけど? 男が向こうのチームにいないんで、くっ殺先輩がパコられるパターンもガチレズじゃなきゃなさそうですし、骨格的に男の娘って線もまずないですよ」

「そうねホス吉がガチレズとか男の娘云々の前振りをするのはフラグ感あるけど、陰キャが多いVTuber界隈だとSSRって感じかしら?」

「決まりっすね」

俺は彼女たちに提案を受け入れると答えた。


「良かったー私たち今回が初参加で、この手のゲーム自体はそこそこぐらいの腕前のプレイヤーなんで本当に困ってたんです!」

「そうなんです! 本当にありがとうございます!」

2人とも普通っぽい女性だがこういう状況では変に主張が強いプレイヤーより没個性系のが全然アリに感じる。癖が強い個性的な料理より無難にうまいカツ丼の方が良いというわけだ(別にくっ殺先輩をディスってるわけではないぞ?)

俺たちは彼女らに作戦を伝え船内の参加者が俺たちだけになるのを待ってから降下を始めた。

飛び降りる寸前にチラッと見たスマホに表示されてる数字は100から91に変わっていた。

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