20 フウタ は けいえいしゃ と けんかしている!
大会1回戦は恙なく消化されていく。
3日に渡る試合日程で消化されるは40試合。
バトルロイヤルによる50人から10人への絞り込みと聞けば、果たして3日で終わるものかと首を捻ることだろう。
しかしそこはフウタやプリムの助言もあり、日程はこうして組み込まれた。
50人を1人に絞る戦いならいざ知らず。
10人の枠があるなら、賢い奴が上手く立ち回る。
そして何より、意外と"自称腕自慢"と"武人"の差というのは、思いのほか大きなものであることを2人は知っていた。
彼らが公国コロッセオで頂点を極めた者であればこそ。
マイナーリーグでの戦いを肌で実感していたからこそ分かっていたこと。
その提言を聞いたパスタによって線引きされたスケジュールは、第一回大会とは思えないほどスムーズに進んでいき。
そうして今日、3日目の試合全てを終えて、予選一回戦が幕を閉じた。
どかっと来客用のソファにふんぞり返り、長い赤髪をいじりながらパスタはぼやくように対面のライラックに目を向けた。
「あんたの話から聞こうじゃない」
執務室ではなく私室に通されたことに違和感を覚えないでもないパスタだったが、おおよその事情については何となく把握できているつもりでいた。
大会3日目を終えて、案の定というべきか1日目よりも盛り上がりに欠ける事実に直面した。
パスタにとっては分かり切った事態ではあったが、ライラックは思ったよりも重く受け止めているらしい。
そっと唇を撫でて、パスタを睨むように呟く。
「コンラッドの側近づてで言質が取れました。彼が領で行ったことについては最早手遅れではありますが、王都で行方不明になった婦女子は未だ監禁状態で済んでいるようです」
「ふーん。……分かっていたことだけど、焦らないのね?」
「焦る? どうして?」
小首を傾げてみせる王女を見つめ、パスタは一度嘆息した。
真実焦ってなどいないのだろう。監禁された少女たちを救うために一刻も早く、などという思考は彼女には備わっていない。
むしろ、追い詰める材料が揃ってきて満足しているとでも言いたげなその表情は、なるほど自らの血のつながった姉であることを改めて認識させるものだった。
「こちらは本選までに片を付けますので、その旨だけ」
「はいはい、そりゃどーも。イーストウッドがどうなろうと知ったこっちゃないんだけど……それとも、あたしに伝えたってことは金儲けに使わせてくれるわけ?」
「それはまあ、ご自由に」
「あっそ」
ひらひらと手を払い、パスタは手元のカップケーキをパクついた。
「それで?」
「……まるでわたしに、まだ言いたいことがあると確信しているようですね」
「むしろ、そうじゃなかったら手を切るわ。目の前の事業がどれだけ拙いことになっているか、理解していないってことだもの」
「……です、か」
ふう、と一息。
2日目を終えた段階で、客は"減った"。
これはどんな事業でも当たり前のことではある。初日には王女による開会式があることも触れ回っていたのだ。効果は二倍三倍といったところだろう。
だがもちろん、初日にスペクタクラの門をくぐることさえ許されなかった人もいるほどの賑わいだったのだ。
開催後10日くらいはこの熱狂は続くだろう。けれど。
客は減った。
スペクタクラは相変わらず満員。だが、周囲に詰めかける客の数は明確に減っていた。
スペクタクラさえ一目見られれば良いと思う人間や、初日のイベントで訴求出来なかった層というものが明確に見えてきた。
そして――初日に比べこの二日間は、目立つ選手が居なかったということもある。
盛り上がってはいたのだ。盛り上がってはいたけれど、どこか物足りなさを――ライラック自身も、感じざるを得なかった。
だからこそ呼び出したのだ。目の前の"経営者"を。
「顧問料を貰ってる身だから、素直に言うけれど。あのバトルロイヤルだっけ。――正直、素人からしたらそんなに面白くないわ」
「……」
「10人繰り上げっていうのも、何となく拍子抜けって感じ。ちゃんと戦える奴らが絞られてきたかな? ってところで終わっちゃうし。あと、正直闘剣自体も、期待してたほど綺麗なものじゃないわね」
「でしょうね。……観客の意見書には目を通しましたか?」
「当然でしょ」
ライラックの言った"観客の意見書"。
それは、一言で言うなら"声"だった。
運営を任せている者たちに取らせた、スペクタクラの感想。
昨日の段階で集めさせたそれに、パスタももちろん既に目を通していた。
観客も王女直々に手を付けている企画であると分かっているのだろう。
当たり障りのないものが多いが、やはり目に付いたのは。
「闘剣ではなく、スペクタクラの感想。ま、当然ね。あんたが相手にしなきゃいけないのは、あんたみたいな武人じゃない。あたしみたいな素人よ。素人楽しませられないイベントなんて、三流だわ」
「とはいえ。あの人数から1人に絞り込むのは幾ら何でも参加者としては面白くありません。武器を握る彼らのことを考えれば、この手法を取らざるを得なかったというのは――貴女も分かることでしょう?」
「それはそうね。一般参加者を募る武闘大会、という形をとる以上、参加者はあの……なんだっけ。イズナ。イズナ・シシエンザンみたいなのを期待しちゃいけない。必要なのは、別方向からのアプローチ」
「……それは、貴女の仕事でしょう?」
「金貰ってる分は働くわよ」
この女からの信頼なんて嬉しくもなんともない。
彼女の言葉を手で払いのけ、パスタはその内容を想い出し――そして。
「ってことで、1つ提案があるんだけど」
「なんでしょう?」
指を立て、彼女は口角を歪めた。
露悪的な彼女の笑みに、ライラックは眉を顰める。
自信に満ちた表情。けれど何だか、いつかの彼女には見られなかったほど"楽しそう"だ。
何かを思いついた。だけではなく――そう、どこか。
どこか、"自分"に似ていると気付き、ライラックは酷く不快な気持ちになった。
だって、それは。だって、その表情はとても。
孤独な人間のそれには、見えなかったから。
「――あの声を拡散する魔導術、使わせなさいよ」
ああ、少し。邪魔かもしれない。
――その、前日の夜のことだ。
「…………」
パスタは、書斎で頭を悩ませていた。
手元には大量のスクロール。折り重なった全てに目を通し、痛みを訴える眉間を軽くもんで息を吐く。
頼りの明かりはカンテラだけ。
真っ暗な書斎の中で、1人。
けちって鉱石の明かりを商会の別邸に全て移したことが祟った。
今更愚痴を言っても詮無きことではあるものの。
「…………やっぱり、こうなったか」
スクロールに目を通して、諦めたように彼女は呟く。
手元には"意見書"。多くの声に問題点を洗い出していく彼女から漏れ出たのは、案の定、とでも言いたげな嘆息。
「大会スケジュールについては、コロッセオに準拠しようとしてこうしたけれど。……やっぱり、意図も汲まず真似をしたところで、所詮は素人の浅知恵ってことね」
ぼやくのは、大会スケジュール――もとい、大会の組み方。
予選会で人がだんだんと絞られていくのは、公国コロッセオの"大会"ではよくあることだったらしい。
下剋上を望むマイナーリーグの選手や部外者が唯一出場できる大会は、勝ち進めば天下八閃やチャンピオンにも挑めるというもの。
その大会を真似して組んだ予選会だが、なるほど。
試合内容はお粗末なものだった。今にして考えてみれば、それでも観客が入ったのは"天下八閃"と戦うことになるであろう人間を一目見ようとした、或いはマイナーリーグで知っている人間を応援しにきた、或いは――チャンピオンに対する下剋上物語への期待だろうか。
いずれにせよ、既に有るコロッセオのメジャークラスありきの訴求力だったのであろうことは理解出来た。
とはいえ。大会を盛り上げるためには、王女の試合が見られる、だけでは弱かった。どうしても一般参加者を募る必要があった。
何故かと言えばそれは簡単で、王女だけではなく、"身内が王女と戦うかもしれない"なんて期待を煽るため。
王都の衛兵のエントリーを許した最大の理由はそこにある。
そして、王都の外からやってくるのも、まずは腕自慢をターゲットにしたのだ。
彼らの身内がまた、応援に駆け付けるというのも大きい。
そして彼女の予想は見事に当たり、マーケティングにおいてコア層とも呼ばれる人間を多数獲得した結果、口コミが爆発的に広がりライト層にも届き得た。
自分のプロモーションは、最大限の効果を発揮したと自負している。
読み外したのは単純に……そう。単純に。
もっと、闘剣は戦っているだけで人の気を引けるものだと思っていた、というところだろうか。
「……はぁ。全部あんたのせいよ」
認めたくはないが。"あいつ"の試合は、悪くなかった。
"あいつ"自身はパッとしない。それはそう。だが、彼に挑もうとするプリムやバリアリーフの気持ちというものが伝わってきた。
――ウィンドの時はただただ怖かったけど。
「精が出るな」
「あんたのせいよ」
「は?」
お前なにいってんの? とばかりの怪訝なものを見る目。
フウタはマグカップに入った甘いホットレモネードを両手に書斎へずかずか入り込み、1つを彼女のデスクの上へと置くと、自分は本棚に寄りかかって勝手に居座り始めた。
「なに寛いでんの?」
「眠くなるまで暇だしな」
「……気遣いは要らないっつってんでしょ。あんたは身体が資本なんだから、とっとと寝ろ」
「言われなくても寝るけどよ」
そう言って、しかし彼は本棚の前を動こうとしない。
集中をかき乱されるようで、パスタは彼を睨み据えた。
「じゃあ帰れ」
「行き詰ってるみたいじゃん。"無職"、役に立てませんかね」
「……」
はぁ、とため息を吐く。
無職が役に立つわけがないだろう、と突っぱねても良かった。
だが、わざわざ彼が自分の"職業"を口にしたおかげで、ふと気づくこともあった。
目の前の彼は、ただの"フウタ"ではない。"無職"であり、なにより。
元"チャンピオン"だ。
大会スケジュールを組む時にも、コロッセオ経験者としての話は聞いたのだ。
少し考えて、パスタは呟く。
「今日は、昨日ほど盛り上がらなかったわね」
「まあ、そうだな」
一緒に見たわけではないが、試合はそれぞれ観戦していた。
腕を組むフウタはしかし、どこか腑に落ちない顔をしている。
「なに?」
「いや、そうだな。やっぱり、"華"がないっていう意味を痛感しているというかさ」
「ああ……"華"、ね」
一日目は、開会式があったことを除いてもイズナやアイルーンという華があった。
彼らのおかげで保った、ともいえる事態に少々難しい顔をするパスタ。
それでは意味がないのだ。偶然に頼るようでは"経営者"失格。
予選の内容は熾烈になっていくとはいえ、代わり映えのしない現状を打開する一手が欲しかった。
頬杖をついて、本棚のフウタへと目をやる。
「ねえ」
「ん?」
「あんた、なんで闘剣士諦めなかったの?」
「お前本当に人の心無いな」
「人の心とお金とどっちが大事なの?」
「お前本当に人の心無いな」
呆れながらも、フウタは小さく笑った。
カンテラの明かりにてらてらと照らされた彼の表情は、しかし全くと言っていいほど凹んでいない。
パスタとて凹ませようと思ったわけではなかった。腹いせにちょっとからかってやろう、くらいのもの。
性格がねじ曲がり切った経営者、なんて言われてる自分にしては、可愛い毒舌だと自分自身でも自覚していた。
「……やれると思ってたんだよ」
「どうして? "華"が無いのなんて、早めに分かったことじゃないの?」
「そう、だな」
腕を組み、息を吐くフウタ。
ホットレモネードを傾け、甘い味を口の中に沁み込ませながら、パスタはふと気付いた。結構、こいつの過去に踏み込んだな、と。
まあでも、この前はこのホットレモネード片手に急に自分語りをしてきたくらいだし、別にいいか。
「――勝てたから。っていうのは、もちろんある。でも、そう。結局のところ、"華"っていうのがどうやったら出せるのか、努力で何とかならないかと思ってたのが真実のところか」
「あんたにとって、"華"って何なのよ」
それは、純粋な疑問だった。
武人でない自分には、ぱっと見"こいつの剣技は映えるなあ"とそんな認識しか出来ないけれど。武人には、理論立てた何かがあるのではないか。そんな風に思ったからだった。
「……うーん、正直俺にも分からん」
「この使えないクソ無職」
「うるせえな。分かってたら俺も苦労してねえよ」
「…………"華"、ねえ。たとえば、イズナだっけ。あいつはどうなのよ」
「イズナか? そうだな」
フウタは腕を組んで続けた。
「槌斧の大振りに目が行きがちだが、あいつの本当の強さはそこじゃない。槌斧っていう大きな武器はブラフなんだよ」
「へえ、そうなの?」
「あれで吹き飛ばされるのは、実力が足りない証拠だ。掻い潜ってこその一流。とはいえ、その先に待っているものがイズナの真骨頂っていうかな」
「あんな馬鹿でかいもの持ってて、近づかれたら終わりじゃない?」
「そこで出てくるのが"黒鷹空手"だ。あいつの本物の強さは鍛え上げられた肉体そのものだ。本来"空手"っていうのは自らの身体一つで闘うそのスタイルを極めるために体幹から何から全て調整していくんだが、黒鷹空手っていうのは元々鷹匠が鷹と一体になって戦う新しい空手、という流派なんだ」
「……続けて」
「だから腕がもう一本ある感覚っていうのかな。鷹も合わせて一つの身体とする。みたいな空手を――イズナは自分の槌斧と一体化出来るように改造した。馬鹿みたいな顔してすげえ考えられた力なんだよ、あれ」
しばし何かを考え始めたパスタを置いて、フウタは続ける。
「だから、黒鷹空手と槌斧のコンビネーションが"華"……だと思うんだけど」
頭を抱えるフウタ。どうやら彼はここまでのようだ。
そんな彼に、パスタは容赦なく問いかけた。
「じゃあ、プリムは?」
「ああ、あいつは"常山十字鎗術"っていう鎗の三大流派の一角の総本山の生まれでな。イズナやオーシャンとは違って、オリジナルというよりは洗練され切った正統派鎗使いだ。世界各国のどこを巡っても、あいつほど常山十字の技を使えるヤツは居ないと思う。完璧な突き、とか完璧な演舞を舞えるヤツは外にもいるかもしれないけど、あいつの凄さはそのバトルセンスだ」
「っていうと?」
「常山十字槍術って、元々最強の武器は何か、っていうのを研究してる流派なんだけど、その結論として十字鎗ってのがあるわけよ。突いても薙いでも引いても、どんなバトルスタイルにも対応できる。でもそれって、その全てを熟達したヤツにしか扱えないっていう意味でもあるんだ」
「へえ。最強じゃん」
「そう、常山十字槍術は最強。その体現者があいつ。もう分かっただろ? あいつは使おうと思えば色んな武器を使えて、その良さを全て理解した上で得物を振るってる。そうなれば必然、相手の持つ得物に対する最適解を出し続けられるってことだ。常にあとだしで動けるっていうのかな。その上速い。元々コロッセオでも、初撃決着の数はナンバーワンだったはずだ」
「……なるほど」
「だから…………その、十字槍術を、綺麗に使えるのが……は、華……」
顎に手を当てて、パスタは崩れかけのフウタにさらに詰める。
「じゃあ、イズナとプリムが試合するとしたらどうなるの?」
「難しいとこだな。イズナの槌斧にプリムが翻弄されることはまず無い。むしろ素早さに分があるプリムがアドバンテージを握る展開になるんじゃないかな。けど、もちろんそんなことイズナも分かってる。だから如何に黒鷹空手と槌斧のコンビネーションを見せ付けるかっていう勝負になってくるんだけど、プリムは掴まれたら終わりってことも分かってるだろう」
「……じゃあ、プリムが捕まれるか、それより早くイズナを仕留めるか?」
「そうだな。勝負の分かれ目があるとしたら、プリムの鎗が槌斧と空手の守りを打ち破れるか。つまり――槍を掴まれたら終わりだ」
「………………」
「……なんで試合予想なんて聞いたんだ? 華の話と関係ないだろ?」
「今そんなどうでもいい話しないでくれる?」
「お前張り倒すぞ」
こっちはひいこら考えているのに、随分な彼女の返答。
苛立ちながら自分のレモネードを飲むフウタに、パスタは呟く。
「……面白いじゃない」
「は?」
「なんでそんな詳しいの?」
「俺は、見たヤツの模倣が出来るっつったろ? あれはただ見た者の真似をするんじゃなくて、そいつがどんな努力をしてきたかその軌跡を見ることが出来るっていう力なんだ。……過去を知れるわけじゃないけど」
「……つまり、どんな武人が出てきても、そいつがどういう使い手か分かる?」
「ん? ああ」
「その上で、こうして予想もできる?」
「実力差が読み取れるかはまた難しいけどなー。ある程度は?」
「ほーん……」
そっと、唇を撫でるパスタ。
その仕草がライラックに似ていてとても嫌だな、と思うフウタであった。
「あんた、それでも"華"があるか分かんないんだ」
「悪いかよ。武人なんてみんな一緒だよ。けっ」
「あんたも随分と悪態をみせるようになったわね」
「こんなとこライラック様とコローナに見せる訳にいかねえだろ」
「へえ……ふぅん。……今度、チクろうかしら」
「お前如きの密告が信じられるとでも?」
「うっざ。あんたの入場でスペクタクラが静まり返ればいいのに」
「ねえわざわざ一番心に来ること言う?」
しかし、とパスタはマグカップを傾けて思う。
"華"のあるなしが分からないということは、だ。今の話が、他の武人相手にも出来るということだ。この男は。
「……コロッセオとスペクタクラの大きな違いは、前情報だってあたし言ったわよね」
「ああ。すげえ闘剣士が居るかどうか、みたいな」
「違うわよ。応援したいヤツが居るかどうかよ」
「そう、ともいう」
「なに必死に食い下がろうとしてんの? あんたのじゃせいぜい40点よ」
「もう少しあるだろ」
「100点じゃないこと認めたわね」
ぐ、と歯噛みするフウタに、パスタは「ふふ」と小さく笑って。
「もう帰っていいわ」
「お前横暴すぎるだろ」
「誉め言葉ね」
「はあ……」
諦めたようにため息を吐いたフウタは、ちらりとパスタを見やる。
なるほど確かに。帰れ、と言うだけあって表情から険は取れていた。
よく、分からないが。
最初のように詰まっている様子もない。なら、良いだろう。
「……ま、いいや。ちょうどレモネードも無くなったし、寝よ寝よ。俺はパスタと違って、身体が資本なもんでな」
「あんたから言われるのはムカつくわね」
「いやぁ。でも、幾ら成長諦めたからって夜更かしはほどほどにな」
「死ね☆」
星が飛び出しそうな勢いの笑顔と共に、彼女は首を掻き切るポーズでフウタを見送った。
「……あの魔導術さえ使えれば、或いは」
光明が見えた気がして、いそいそとパスタは筆を進める。
その速度は、フウタが訪れる前の比ではなかった。
静かに、今日も夜は更けていく。
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