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伝説の勇者(レベル:マイナス39)  作者: mysh
勇者の蜂起編
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勇者(反乱者)、城門を撃破する

     ◇ ルニーナ


 関所せきしょをぬけてから一時間あまりで、ダンジョンから地上へ出ました。


 ここからケストハーロまではそう遠くないそうです。入口近くで見張りをしていた魔導士が、遠くに見える山のほうへ逃げていくのが見えました。


 心持ち身をかがめながら、道ぞいの林をのぼって行きます。あまり意味がないように思えましたが、みなさんがやっているので私もそれにならいました。


 やがて立派りっぱ城門じょうもんと、それにつらなる城壁が見えてきました。


「あれがケストハーロですか」


「そうです」


 ケストハーロの市街は山の中腹ちゅうふくにあって、全体が城壁に囲まれているそうです。山のふもとにも町や田畑たはたが広がっているのが見えました。


 城壁の上には見張りの姿が複数あります。間隔かんかくを置いているので、それほど数は多くありません。十数人くらいでしょうか。


「城壁はアルト城のものより低いですね」


「ダンツォくんはあれを飛び越えられますか?」


「さすがに飛び越えるのは無理ですけど、簡単によじのぼれますよ。まあ、それは上に誰もいない場合ですけど」


 普通は無理ですよね。やっぱり、彼が異常なだけですか。よじのぼれるだけでもスゴいですけど。


「コツがあるんですけど、勢いをつけて連続でジャンプするんです。あれぐらいの高さなら三回ぐらいでいけますね。ただ、足をかけられる場所が少なそうなので、かなり難しい部類ぶるいだと思います」


 とても実践じっせんできそうにないので、そういう話は必要ないです――ていうか、私もやらされたりしないですよね!?


「あれだけ敵が待ちかまえていると、さすがのウヌオさんでも苦戦しそうですね」


「そうですよね。あそこにいて、ただ見おろしているだけなんてことはないですよね」


 その彼は先頭でバターロさんと打ち合わせをしています。


出入でいりできるのはあの門だけか?」


「北側にもあるが、山の反対側までまわらなければならない」


 彼が城門のほうへ目をこらします。頑丈がんじょうそうな巨大な門です。ただ、鉄板てっぱんでふちを補強ほきょうされていますが木製もくせいです。


「城内を見ているやつが多いな」


 彼が言いました。言われてみると、こちらを警戒している人より、内側を見おろしている人が多いです。


「もう人狼族との戦闘が始まってるのかもしれないな」


「そうだな。急ごう」


 彼がこちらを振り向きました。


「俺が上にいる連中を片づけてから、中に入って門を開ける」


 彼らしい大胆だいたん無謀むぼうな作戦です。でも、関所での戦いぶりを見ると、簡単にやってのけてしまいそうな気がします。


「あれだけ数がいても大丈夫か?」


「大丈夫さ。下で敵の注意をひきつけていてくれ」


「……わかった」


 みなさん、もの分かりが良すぎじゃないですか? なんかもう、親鳥おやどりについて行くヒナのようになっています。


「ウヌオさん、気をつけてください」


 ダンツォくんが声をかけます。


「ああ。お前は門が開くまでここで待ってろ」


 しばらくタイミングを見計みはからった後、彼が城壁に向かって走りだしました。


「ウヌオに遅れるな! 俺たちも続け!」


 それと同時に、みなさんもいっせいに飛びだし、左右に散らばっていきます。ダンツォくんが私の手を取って言いました。


「俺たちももう少し近づきましょう」


 私たちも林から出ない程度に前へ進みます。


 〈火炎〉や〈電撃〉の魔法など、敵の攻撃が飛びかいます。無差別むさべつに放たれているので、こちらへもバンバン飛んできます。あせものですが、今度こそは彼を見失わないようにします。


 城壁までは開けた場所であることに加え、彼ひとりだけ前に飛びだしているので、居場所はひと目でわかります。


 彼が軽快けいかいな動きで魔法をかわしていきます。ある程度城壁に近づいたところで大ジャンプを見せて、直接その上におり立ちました。


「ひとっ飛びでいけるんですか……」


 ダンツォくんは意表いひょうをつかれ、開いた口がふさがらない様子です。


 動揺どうようしているのは他のみなさんも同じです。ぼう然と城壁の上を見上げたり、キョロキョロと彼の姿をさがしている方もいます。


 その時、閃光せんこうが走りました。例の波動が重低音じゅうていおんを立てながら、城壁の上を走っていきます。


 それによって、十数メートル離れた場所にいた魔導士すらバタバタと倒れていきます。さらに、彼は疾風しっぷうのようにかけぬけて行き、敵を残らず倒してしまいました。


 敵の攻撃がピタリとやみました。城壁の上に立つのは、もう彼しかいません。一連いちれんの動きを見てなかった方は、不思議そうに城壁を見上げています。


 そんな方たちを尻目しりめに、彼は下におりるというジェスチャーをした後、城壁の上からいなくなりました。


「もう安全みたいですから、自分たちも行きましょうか」


「そうですね……」


 バターロさんのもとへ人が集まりだしていたので、私たちもそちらへ向かいました。


「何がどうなったんだ?」


「ウヌオが上の敵をすべて倒したんだ」


「……もう倒したの?」


「それで今はどこに……?」


 まだ状況を把握はあくできていない方が多数たすういらっしゃるようです。


「開けるぞ! 下がってろ!」


 城門のほうから、彼のくぐもった大声が聞こえてきたかと思うと、爆発音がひびき、木片もくへんが勢いよく飛び散りました。


 城門を見ると、向かって右の扉の下部に、人が通れるぐらいの大穴があいています。ほどなく、彼がそこから身を乗りだしてきました。


「急げ! 人狼たちはもう戦っているぞ!」


「お、おう……」


 破天荒はてんこうすぎます。みなさんリアクションに困っています。


 あと、これだけはツッコませてください。城門を破壊するなら、わざわざ城壁を越える必要なかったですよね。

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