通信
「そっか。君たち、人間だったんだ」
レイはそれだけ言い、変わらぬ表情でこちらを見つめた。
「驚かないのか?」
「ああ、この町にも昔、人間だった人がある朝目覚めたら豚になっていたっていう都市伝説もあるしね」
「! その都市伝説って本当か?」
「わからないよ。都市伝説だもん」
その都市伝説の情報は
タイガという男が病に苦しんでいて、ある日病が悪化する。
男は薬を求めるが、当時この町にそんな薬はない。なので仕方なく我慢して眠りにつくと、その男は昏睡してしまい、隣に見知らぬ豚がいた。 という伝説らしい。
その都市伝説は、いつ起きた話かはわからないらしい。
「なるほどな。でも俺らは起きたら豚小屋にいたが、その男は自分の死体の横にいたんだよな」
「でも待って、男は昏睡状態なんだよな。死んでないってことだろ?」
俺とカジナが話し合ってると、ココミが入ってきた。
「ねえ、一つ話してなかったことがあるの。」
ココミはそう言い、次のことを口にした。
「私、起きたときは豚小屋にいなかったの」
「!!」
俺とカジナは息を飲む
「朝起きたら、道路に寝っころがっていたの。その時私は混乱して、とりあえず真っ直ぐ道を走ったの。どれくらい走ったかは覚えてないけど、走ってる途中何者かに拐われて、気がついたら豚小屋にいたの」
ココミの急な告白に俺は困惑したが、カジナは冷静に判断する。
「お前って、トラックに引かれたんだったよな。じゃあもし都市伝説が本当なら、目が覚めたとき、隣に自分の体があったってことか?」
「そういうことになるわね...」
「でもずっとここで考察するわけにもいかない。レイ、逃げさせてくれ」
「いいけど、君たち豚三匹でどうするんだい?」
「確かに。俺らが人間になるには、とりあえず人間の手が必要だな」
そうカジナが言うと、レイはにやりとした
「ふふ、手伝ってあげようか?」
こうして、レイと三匹の同居生活が始まった。