ゼロ
ベスト達の前に、謎の人物が突っ立っていた。
その男は、紫の洋服に身をまとい、マントのようなものをしている。
そして、マントにはフードがついており、そのフードを深く被っていた。
カジナ「あ、あんた誰?」
ココミ「まさか、ギーシャの幹部!?」
ココミのその一言で、俺たちは身構えた。
???「い、いや違うよ! 失礼だなあ」
その男の想像よりも優しい声で、俺たちの警戒心は緩んだ。
ベスト「じゃあ誰なんだ?」
???「僕はゼロ。君たちな味方さ」
カジナ「ば、バカ言え! そんなの信じれるか!」
ゼロ「僕は世界政府から派遣されたんだ。ギーシャの対策としてね」
ベスト「なんか証拠はあるのか?」
ゼロ「うーん。あ、世界政府に認定された賞があるよ」
カジナ「本当か? 見せてみろ」
ゼロはカジナの言葉を予想していたように、すぐカバン(マントの中)に手を突っ込んだ。
ゼロ「これだ! ほら、これで納得しただろ?」
ゼロが見せてきた紙は、とても華々しい...という程でも無かったが、なんかすごかった。
カジナ「いいだろう、一緒に行こうか」
カジナはもちろんその紙を今初めて見たので、ゼロが出してきた紙が本物かどうか判断できるわけはないのだが、ちょっとめんどくさくなったので許可した。
ゼロ「君たちはこの町で何をするんだい?」
ベスト「まずは王様に会いに行くんだ」
ゼロ「そうなのか...。それからは?」
ベスト「やっぱり人間に戻る薬を探したいな」
ゼロ「人間に戻る薬?」
ベスト「ここに大きな研究所があるんだ。知り合いから紹介されて」
ベストが言っている研究所は、クライアントΩの事だろう、とゼロは理解した。
ゼロ「でも、人間に戻るのは難しいんじゃない?」
ベスト「まあ、確率は低いだろうけど、俺ら別にやることないし」
ゼロ「そうか、でも君たちは前の記憶はないのかい? 動物になる前の記憶」
ベスト「それが...。多分動物になってすぐは覚えていたんだが、どうも思い出せないんだ」
ココミ「ただ、私たちが生まれたのはこの世界じゃないって言うことが覚えているのよ」
ゼロ「どういうことだ?」
カジナ「俺たち、違う世界にいたんだ」
ベスト「まあもう雑談はいいだろ。行こう」
カジナ「そうだな。行こうか」




