神々の泉
翌日、俺たちは大男に言われた通り、聖者の泉に行った。
バイクを20分ほど走らせ、着いた。
はたして、あの大男は何者なんだろうか。
サンクが何かを喋ろうとした途端、背後の泉から大きな水しぶきがあがった。
ザッバーーン!!
激しい水しぶきと共に、男が現れた。
大男は、昨日は2mほどあったが、今日はそれよりも4倍、5倍ほどある。
しかも、容姿が完全に人間じゃない。
怪物かなにかだ。
大男「ハッハッハッ! よくきたな! あっ、この「よくきたな!」は、敵としてじゃないから。いいもんだから俺」
大男はそう言っている。ちょっと変なやつだ。
サンク「お、お前はなんなんだ!」
大男「俺? 俺は海神・ポセイドンだ!」
ベスト「海神? 神!? 神ってなんなんだ?」
ポセイドン「神もしらねーのか、その豚」
ベスト「い、いや知ってるけど!」
ポセイドン「まあ確かに、空白の時代によって俺たちの存在はなかったことになってるからな」
サンク(空白の時代...?)
ポセイドン「まあ、良いことって言うのは、サンクのことについてなんだが、よく考えたら良いことじゃないかもしれない」
サンク「ど、どういうことだ?」
ポセイドン「実はな、お前は記憶が定期的に改変されている」
サンク「...?」
ポセイドン「俺は神だから、その秘密は言っちゃいけないっていうきまりがある。だが、俺はお前らに希望を感じている。だから俺の体をなげうってでも教えてやる」
サンク「き、記憶が改変ってどういうことだ?」
ポセイドン「お前は、獣人なんかじゃない。というか、獣人そもそもが存在しない」
サンク「獣人が存在しない...? 嘘だ。俺の父も、おじさんも俺のことを獣人と言っていた!」
ポセイドン「それはお前の父も、そのおじさんとやらも記憶が改変されているんだ」
サンク「...! じゃ、じゃあ俺は何者なんだ?」
ポセイドン「お前は、「神人」だ」
サンク「神人? なんなんだよそれ...」
ポセイドン「俺は全てを教えられない。なぜなら今まさに、お前に入れ知恵をした罰が下っているからだ。このままだと、俺は死に、お前は記憶をまたなくす。だからその前に俺がお前の記憶を守る」
ポセイドンはそう言い、サンクの周りを浮かび始めた。
青い光を放ち、サンクの脳内に向かってレーザーのようなものも放った。
サンク「うあ...! 頭が痛い...!」
1分ほどそれが続いた。
サンクは顔をしかめ、激痛から耐えていた。
ポセイドン「いつもならもう少し痛みを押さえられるんだがな。今は罰で体調が悪いからすまんな」
ポセイドンはさっきより格段の顔色が悪い。
さっきまで10mほどもあった体は、4mほどに縮んでいた。
ポセイドン「はあ...。はあ...。神々は生き返れるんだ。だが、自分だけじゃ生き返れない。人間の力がなければ。皮肉なものだな。自分より非力な者の力を借りなければ、復活できないなんて...。」
サンク「お、おい。 もう死にそうなのか?」
ポセイドン「ああ...。俺を復活させてくれることを信じてる。最後に、お前らが行くべき場所を教えてやる。ハーグラだ」
サンク「ハーグラ? あの城下町のことか?」
ポセイドン「ああ。 ハーグラに行けば、きっと豚たちは人間に戻れるだろう...。それと、俺ら神についても知れる。だからそこに行くんだ」
サンク「ハーグラだな! わかった。 俺はお前を生き返らせる! ありがとう」
ポセイドンは気付けばサンクより小さくなっていた。
そしてボシュッという音とともにこの世界から消えた。




