おじさん
奥からやってきたのは、古ぼけたじいさんだった。
しかし、その老人は、すこし嬉しそうに笑みを浮かべていた。
老人「フォッフォッフォ、この男とはなんだ。サンクよ」
俺「さ、サンク? 知り合いなのか?」
サンク「いや、知り合いもなにも...叔父だ」
叔父!?
その老人はサンクの叔父であった。
しかし、サンクの父親は50代前後に見えたが、この老人は80歳くらいに見える。
ほんとに叔父さんなのだろうか
叔父「まさか、サンクが来るとはな。しかも、豚を連れて」
サンク「ああ。それで少し事情があって...」
叔父「まあ、まあ、焦らんでいい。その子らに事情を教えてやれ」
サンク「あ、ああ。そうだったな。ベスト、カジナ、ココミ、この人は俺のおじさんだ」
俺「叔父って、サンクのお父さんと年が離れすぎてないか?」
サンク「いや、そういう意味での叔父じゃない。この人...ああ、名前を言ってなかったな。カリアリさんだ。カリアリさんは父に失望して家出したとき、匿ってくれたんだ。結局見つかって、カリアリさんはボコボコにされちゃったんだけどね」
カリアリ「フォッフォッフォ、恥ずかしいことをいうな。サンク、5、6年ぶりくらいか?大きくなったな」
サンク「ああ。ありがとう。それで、豚たちの事なんだけど」
カリアリ「わかっとる。その豚たち、人間なんだろ?」
カジナ「な、なんでわかったんだ?」
カリアリ「わしはキメラの他に神転生学というのも学んでおるからな」
神転生学?
なにやら新しいことが分かりそうだ。
ココミ「神転生学ってなに?」
カリアリ「いやぁ、なにって聞かれてものう...。簡単に言えば、他の世界から転生するという概念について研究しておる。わしは昔はこっちをメインでやっていたのだが、その研究にはキメラ学も必要でな」
難しい言葉を並べられて、カジナはなにがなんだがわからないといった様子だった。
サンク「じゃあ、こいつらを元の世界に戻して、体も再生することはできるのか?」
カリアリ「なるほど...。話を聞くかぎり、君らは体を豚に変えられ、さらにこの世界へ転生されたのか。珍しいケースだな。少し難しいかもしれん...。とりあえず、携帯持ってるか?」
俺「あ、ああ、持ってます」
そんな感じで携帯にカリアリの連絡先が追加された。
そのまま、俺らは研究所を出た。




