鳥様
大きな鳥を前に、俺たちはただひたすらに困惑した。
なんの種類の鳥だろうか。
豚の俺たちの二倍くらいの大きさがある鳥。
その頭には大きな麦わら帽子を被っている。陽気なイメージだ。
サンクも同じく驚いてはいるが、俺たちほどではない。
サンク「あんたがこの町の長か?」
トリ「ああ、そうや。ベルさんとでも呼んでくれや」
サンク「ベルさん...。まず色々質問したいんだが...」
ベルさん「わかっとお、わかっとお。お主、なんでわいが麦わら帽子被っとんのか気になるんやろ?」
サンク「いや、そうじゃなくて...」
サンクはなぜトリなんだと聞こうとしたのだろう。
その途端、後ろにいた番人のような人が声をあげた。
「この方は人間だあ!!!」
突然のことだった。
ベルさんは一瞬顔をしかめて、そのあと俺らに話しかけてきた。
ベルさん「やっぱ気になっとんのはこっちやったんかな? それならそう言ってくれりゃあよかったんに」
ベルさんは淡々の話始める
ベルさん「わいは昔、世界政府やった。このアトラス大陸のな。しかし、ある日目が覚めたらこの町に飛ばされていた。しかもトリになってな。あいにく、言葉は通じるらしいが、こんなこと話しても信じてくれる人はわずかなんや」
カジナ「じゃ、じゃあベルさんは人間だったってことか?」
ベルさん「ああ、そうや、てか、お主も豚やんか?なんで喋れとう?」
俺「俺らも人間だったんです!違う世界から来ました!」
ベルさん「...! わい以外にもいたんやな...。しかし、別世界やと?」
俺「はい、だから俺たちは、人間になり、もとの世界に帰ろうとしています。なにか手がかりはないでしょうか?」
ベルさん「...。 そうやなぁ。 お前さんたち、鳥獣の王っちゅーのは知っとるか?」
ココミ「鳥獣の王?」
ベルさん「そうや、鳥獣の王。この世界の鳥獣を統べているという噂の輩や。そいつは、人間を獣にしてしまうっちゅー伝説もあるんや」
サンク「聞いたことがある...。なんでいままで思い出せなかったんだ」
ベルさん「それと、別世界のことはどっかで研究しとったきがするわ...」
俺「この町になにか手がかりがありそうな場所はありますか?」
ベルさん「手がかりになるか分からんが、近くに人体実験をしているって噂の施設があるんや。確かここから北に真っ直ぐやな。少し危険かもしれんが、行ってみればどうや?」
ベルさんの意見で、そこに行くことにした。
危険なんて知らん。なにせこっちにはサンクがいるのだから。




