成果
目が覚めると、そこに私はいた。
なぜだ。過去のことが思い出せない。
頭が痛い。
ここはどこだ?
男二人の姿が見える。
なにか呟いている...。
「やったぞ。成功だ!」
「はい!」
なにやら喜んでいる...。
「おお、もう目が覚めたようです」
「いいぞ。大成功だ」
誰かわからない。
ここは一体...。
「ここはどこだ?」
俺は細々とした男にそう訪ねる。
「お前の、生まれた場所だ」
言っている意味がわからない。
「記憶が思い出せないんだ。俺は誰だ?」
再び訪ねる。
「お前の体に記憶なんてない。いまここで生まれからな」
「しかし、知能もバッチリだ。本当にいいやつを作れたよ」
作れた? 記憶なんてない?
さっぱりわからない。
「いいか。お前は人間じゃない。獣人という新種の生き物だ」
「獣人...?」
さっきから戸惑ってばかりだ。
「被験者の知能がそのまま引き継がれているようです。一応、個人的な記憶は消したのですが...。」
細々とした人間が、もう一人の人間に話しかけている。
人間じゃない...?
俺はどうやら人間じゃないらしい。
腕に人間とは思えないほど獣のような毛が生えているし、しっぽもある。
ーここから抜け出したい。
そう思ってすぐだった。
気づけば俺は二人の研究者を殴り倒し、施設から抜け出した。
そこからは必死に走った。
走って走って走って...
気づけばもう足が動かなくなっていた。
平原の真ん中で倒れた。
そこに、あいつが現れた。
レナ。後の俺の妻だ。
レナは俺にとても優しくしてくれた。
俺が悪の組織に勧誘され、勝手に入ってしまったことを知っても、まだ着いてきてくれた。
幸せな暮らしが続いてた。
あの日が訪れるまでは。
レナは打たれてしまった。
俺と息子のサンクを置いて。
俺は泣いた。
サンクも泣いた。
そこから先は地獄だった。
ダメだと分かっていても、俺は悪の道を行った。
サンクも無理やり組織に入れさせた。
サンクも獣人なのだろうか。
俺の心はずたぼろだった。
そんな時、何者かが襲撃してきた。
その者に、サンクは味方をしていた。
亜人の村に襲撃して以来、見ていなかったのはそれが理由だった。
そして俺は倒された。
とでも思っているのだろうか




