英雄
目をつぶっていると鈍い音がした。
しかし、不思議なことに痛みはなかった。
おそらく俺は死んだのであろう。
サンクとして歩んだ人生は、悪いものではなかった。
前の人生に比べてはー。
サンクは意識が薄れていることに気がついた。
抵抗する術もなく。サンクは目を閉じた。
だが、サンクは少し経った後、目を覚ました。
「あ、起きた」
目を開けると見慣れたキングの顔が見えた。
どうやら俺はキングに救われたらしい。
キング「サンク! お前あんな魔法使えるようになってたんだな!」
サンク「お前もすげぇよ。まさか俺の親父にとどめを指すなんて。お前がいなきゃ俺は確実に死んでいた」
キングはサンクに誉められてにやにやしている。
カツラ「さあ! 技術機関室に行くぞい!」
ちょっと歩いたところに、技術機関室はあった。
しかし、ここにもイノシシの姿は見えなかった。
ココミ「あのイノシシ、どこにいるのかしら」
カジナ「ん? でもここ、血がついていないか?」
カジナかなにかを見つけたようだ。
カジナが指を指したところに、血が付いている。
サンク「これ、多分豚とかイノシシの類いの血だと思うぞ。豚特有の獣臭がする」
俺「イノシシの血ってことか? じゃあやっぱり...」
俺がイノシシが死んでしまった。と言いかけたとき、後ろで音がした。
「グガガガゴガ....シュー...」
後ろを振り返ると、二足歩行の、イノシシのようなものが立っていた。
カツラ「あ、あれはもしかしてもしかすると...イノシシか...?」
カツラもこれ以上ないくらいに驚いている。
カジナ「まずい! 襲ってくるぞ!」
イノシシのようなものは、こちらに向かってくる。
体格は少なくとも2mはあるようだった。
そいつは、殴りかかってくる。
一発殴ってくるが、キングが受け止める。
キング「ガバッ! まずいぞコイツ! 想像より遥かに力が強い!」
サンク「みんな下がってろ!」
カツラ、レイ達は少し離れる。
サンクはイノシシの注意を引き、囮になってくれてるようだった。
サンクが避けているうちに、イノシシは力が尽きてきたようだった。
「ガアアアア!!! コッ、ゴハッ!」
イノシシは血反吐を吐く。
そして、イノシシは倒れた。
レイ「なんだったんだ今の...!」
俺「なあ、あそこになんかないか?」
俺が見つめる方向には、紙...設計図のようなものと、薬品のようなものがあった。
紙と薬品には、「SK-I」と書いてあった。
レイ「人間に戻るクスリ? どういうことだ?」
カツラ「よくわからんが、持ってったらどうじゃ?」
俺「そうしよう。でも俺らは持てねえな...」
カツラ「...。そうじゃ、これをやろう」
カツラはそう言い、小さなポーチをくれた。




