追い込み(2)
ゼクロは危機感を覚えていた。
ゲルフィという強敵を前にして、ゲルフィに手が届かない。
ベストがただただ邪魔だった。
ゼクロ「フフフフフ...。ハデな技使ってんなァ...」
ベスト「無駄なあがきはよせ」
ゼクロ「....俺はもう"覚悟"したぜ...死ぬ覚悟をなァ」
ベスト「この俺に殺される覚悟をか?」
ゼクロ「....いや違う。死ぬ覚悟なんざ数年前からしてた...」
ゲルフィ「ゼクロ...お前はヒーローになりたかった」
ゼクロ「...は?」
ゼクロの額には玉のような汗が流れる
ゲルフィ「お前は...ずっとヒーローになりたかったが、その能力は明らかにヴィラン向きだった」
ゼクロ「......」
ゲルフィ「もう...やめにしないか、死ぬ覚悟ができているやつなんざこの世には存在しない」
ゼクロ「ク........」
ベスト「ゲルフィさん、ダメだ、俺には分かります。こいつは絶対に改心はしない」
ゲルフィ「....難しいことかもしれないが、俺はコイツをずっと見てきた....無理ではないと思う...」
そう言うゲルフィの目は情けなかった
ベスト「ゲルフィさん、"情"で動いちゃダメだ」
ゲルフィ「情じゃない...情けだ」
ベスト「ダメです。今ここで、決着をつけます」
ゼクロ「ハア...ハア...。受けて立とう...こっちだって負けて呑気に生きていくのはごめんなんでなァ...」
ゼクロはふらふらと立ち上がる
ゲルフィ「ベストやめろ!」
ベスト「死の覚悟はできてんだろ...? "爆斬"」
ベストの剣先がゼクロに当たった瞬間爆発する
ゼクロ「グッ!」
ベスト「おっと、今のは神通力のおかげじゃあないぜ...ただ爆薬を塗らせてもらった、カツラさんのな」
ゲルフィ「もうやめろ...充分だ...」
ベスト「そう言いながら止めないあなたもあなたです。あなたは迷ってるんでしょう?」
ゲルフィ「.....」
ゲルフィの目が情けない目から決意した目に変わった
ゲルフィ「....昔から、迷うと情けなくなるんだ....」
ベスト「決意ができましたか?」
ゲルフィ「敵に情けはかけない...」
ベスト「分かりました。いきましょう」




