アジト
レイは少しの間、学校を休むことにした。
「今学校なんて行くわけにいかないよ。君達の飼い主の責任もあるしね」
レイはそう言い、にこっと笑った。
いまレイの家には、レイ、俺、カジナ、ココミ、カツラがいた。
「ほんで、イノシシ助けるらしいがのう。お前さん達、どこにイノシシが行ったかわかっとるんか?」
カツラが口を開く
「分かりません。だけど、助けなきゃダメなんです」
俺はカツラに訴えかける
「そうか。予想通りじゃ。いくら探したくても、場所がわからないんじゃのお」
「で、でも!まだ見つからないと決まった訳じゃ!」
カジナもカツラに訴える
「ん? 誰が見つからないと言ったんじゃ?」
カツラはそう言うと、少し笑みを浮かべ、ポケットから何かを取り出した。
「実はな、お前さんらがそう言うと思ってな。小屋に隠しカメラを付けといたのじゃ。これで見れるぞ」
カツラがポケットから出したのは、小型のホログラム機のようだった。
そしてカツラがボタンを押すと、目の前に画面が映し出された。
画面には男二人が映っている。
「こいつら、したっぱ達だよな」
「ていうか、コレいつの動画だ?」
「わしらが出てったすぐ後じゃ」
そんな話をしていると、麻酔銃を打たれたしたっぱAが起き上がる
画面内ではなにか話しているようだった。
「したっぱA先輩! 良かったです! 怪我はないですか?」
「ああ...。なにがあったんだっけ」
「それより基地に戻らないとヤバいですよ! ちょっと危ないけど亜人の森を通って近道しましょう!」
「あ、ああ。そうだな」
ここでホログラムが終了した。
「どうじゃ? わかったか?」
「なにがだ?」
カジナは分かっていない様子だったが、俺はわかった。
「ほっほっほ。ベストはわかっているようじゃのう」
カツラに名前を呼ばれたのは初めてだったので少し驚いたが、
「やつらのアジトは、レンゲ峠から、亜人の森を通って北東にまっすぐってことか」
「ああそうじゃ。よくわかったのう」
でも亜人の森を俺は知らない
「ねえ、亜人の森ってなんなのよ」
ココミがカツラに問う。
「ほっほっほ。亜人がいる森じゃよ」
「亜人...? なによそれ」
「まあ、見ればわかるじゃろう。明日には出発するぞい」
話し合いの後、俺とカジナは二人で会話をした
「なあ、ちょっと聞いてくれるか?」
「なんだよベスト」
「俺、ちょっと前から思ってたんだけどさ...」
「おう」
「ここって俺達が生きてた世界じゃないのかもしれない」
「...!」
カジナはなにも言わないが驚いている。
「なにを根拠にそんなこと言ってんだよ」
「だって、俺達、個人の記憶は覚えていないが、前の世界の常識くらいは覚えてる。亜人なんか絶対、漫画の世界にしかいなかった」
「確かに、俺もスルーし続けてたが、この世界はなにかおかしい」
俺たちはどうやら、異世界に生まれ変わってしまったようだ。




