タカセレイ奪還計画
レンゲ峠には30分ほどで着いた。
「ここがレンゲ峠か......。そのレイがいるっていう小屋はどこだ?」
「恐らくあそこじゃろう」
そう言いカツラは西の方向を指さした。
そこには、少し古びた小屋があった。
「あそこにレイがいるのね! はやく行きましょう!」
ココミが声を大きくして言う。
「ああ、はやく行くぞ」
カジナも戦闘体制(笑)に入っている。
俺たちは、バイクを降り、小屋に近くに行った。
小屋に窓はなく、質素な作りだった。
「よし、入るぞ」
カツラはそう言いながらポケットから拳銃のようなものを出した。
「おいジイサン、その物騒なものはなんだ?」
カジナが問う。
「ふっ、お前さんなら聞くと思ったぞい。これはポケットガン エレキモデルじゃ。かっこいいだろい?」
「それってなんのために持ってきたんだ?」
「いや、レイがGPSをオンにしたんだぞい?ということは、危機的状況ってことなんじゃ。つまり、敵がいるという確率は大いにある。誘拐犯ってことじゃな。その誘拐犯が武器もなにも持っていないの思うんか?」
その話を聞いて、俺は確かに。と思った。
人間と戦うのか?
正直、そんな覚悟はしていなかった。
だが!やるしかない。
俺らは意を決して入った。
だが、小屋のなかには誰もいなかった。
「ジイサン、これはどういうことだ?」
「おかしいのう。GPSが壊れるはずないんじゃが......」
「ここにいないのか?」
「いや、いるはずじゃ...GPSがそう示しているんじゃから...。...ハッ!! 分かったぞい!! 恐らく、レイは地下にいる!」
カツラは急にそんなことを言い出す。
「地下ってどういうことだ? この建物の地下ってことか?」
カジナが率直な疑問をカツラに問う。
「ああ、そうじゃ。昔、この小屋の下はシェルターじゃったんだ。だが、使うことがなくなり、シェルターは埋められ、その上にちょっとした小屋が作られたんじゃ」
「でも、シェルターが埋められたんじゃ、地下はないんじゃないの?」
ココミも話し合いに参加する。
「いや、ここのシェルターは近くのレンゲ村に管理されていたんじゃ、でもレンゲ村はあまり資金がないから、コンクリート板一枚で見せかけだけ埋めただけじゃったんじゃ。きっとどこかに地下に繋がる階段があるはずじゃ」
その話をカジナは「ふん...馬鹿馬鹿しい...」と言わんばかりの表情で聞いていた。
ココミの前でカッコつけたいのかはわからないが、さっきから小屋の壁によっかかって澄まし顔をしているのがイラつく。
そして、カジナが澄まし顔のままポーズを変えたその時だった。
カジナが寄っ掛かっていた壁が急にへこみ、小屋全体が揺れ始めた。
ゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!
低い音とともに床が開く。
そして見えたのは、地下室であった。




