レイはどこ?
ニセレイが家を出て数分後、カツラがレイの家を訪れてきた。
「なあ!レイはどこじゃ?」
いつもと違って、慌てた様子だった。
「昨日から連絡がつかないんじゃ!学校にいる時間以外でレイが電話に出なかったことはないのに!」
「実は、僕たちも行方がわからないんです。」
俺らはそう答えた。
「なに!?いつから行方がわからないんじゃ?」
昨日の夜からレイの様子がおかしかったこと。今さっき偽者が家を出てったこと。一から十まで全て話した。
「それは、まずいのう...。実は昔似たような事件があったんじゃがな」
「似たような事件?」
「あれは、レイがまだ小学生の頃...。確か10年くらい前じゃったな。あの日は大雨で、両親がいないレイはクライアントβに住んでたんじゃが、その日は様子がおかしくてのう...。いや待て、今する話ではないのう!今は本物のレイを探すのが先じゃ!」
カツラは、中途半端なところで話をやめ、家の外に出てってしまった。
「ったく、なんだよあのジイサン。中途半端なとこで話やめやがって、逆に気になるじゃねーか。それともあれか? もったいぶってんのか?」
カジナは不満をこぼす。
「まあいいじゃん。いまはニセレイについて捜査するのが先だ!」
俺はカジナにそう言い、カツラに着いていった。
「そうよカジナ、今はレイが大事なのよ」
ココミも俺の意見に同意し、着いてきた。
カジナもその後を不満げに着いてくる。
「てか、ジイサン。どこ向かってるんだ?」
カジナが問う。
確かに、レイについての情報がなにもない今、どこに向かってうか。
「当たり前じゃろ、クライアントβじゃ」
「なんでクライアントβに行くんだ?」
「いや、いざという時のために、レイはいつも小型GPSを持っているのじゃ。勿論わしはレイの生活を監視したいわけじゃないから、普段は起動してないが.....」
「まあ、危機的状況であれば、レイは起動するじゃろう。そして、そのレイの位置情報を確認する機械がクライアントβにあるのじゃ」
カツラは淡々と話す。
レイはいつもそんなものを持ち歩いていたのか。
そんなことを思っていると
「豚のお前さん達には、歩くのも辛いじゃろう。携帯式バイクを持ってきているぞ」
「携帯式のバイク?」
「ああ、そうじゃ。まあ試作品じゃがな」
(この人、思ったよりすごいのかもしれない......)
三匹はカツラが持ってきたバイクに乗り、クライアントβに向かった。
「ほら、着いたぞ。どうじゃ?早いじゃろ?流石に普通のバイクとまではいかんが、割とスピードは出るようになっとるんじゃ」
歩いて一時間くらいかかった道のりが、10分程度で着いてしまった。
そして、カツラは施設内に入り、位置情報を確認する機械の方に言った。
「これで、恐らくレイの位置情報がわかるぞ」
カツラはその機械を起動し、「あ、ほらほらやっぱ起動しとる」と言った。
「それで、レイは今どこにいるんだ?」
「焦るな若造。...ふむふむ。レンゲ峠の小屋みたいじゃな」
「レンゲ峠?」
三匹は聞いたこともない土地名を疑問に思う
「ああ、ここから20kmくらい離れたとこじゃ」
「レンゲ峠だな! そうと分かったら早く行こうぜ!」
さすがに2日連続の冒険は、骨が折れる!




