小さな冒険(2)
「なんと!これはオーエスキー病だ!」
三匹は、クライアントβに着き、カツラ博士にココミの病気を診察してもらっているところだった。
「オーエスキー病?」
俺とカジナはオーエスキー病について全く知らなかった。
「オーエスキー病は、普通の獣医には治すのは難しく、致死率が高い病気じゃ!恐らくここに来てなかったら死んでいただろう...」
カツラは恐ろしいことを口にする。
「死んでた!じゃあカジナの判断は合ってたんだな!よかった!」
「ふっ。当たり前だろベスト」
カジナは得意気にしている。
「ちょっとまっておれ、抗生物質を打つ」
そう言い、カツラは奥の部屋に言った。
そして5分程度で戻ってきた。
「これで、いいじゃろう。歩くくらいならいいが、過度な運動はよくないぞ」
「っていうか、博士。普通に豚と喋れるんですね」
「あっ、それなんじゃがな。元々人間だった豚とは喋れるみたいじゃ。前からタイガ以外の豚とは話せなかったが、君らとは話せるからな」
「なるほど...。もともと人間だった豚は特定の人間とは話せるのか」
「おい、ベスト! なにやってんだ? 早く帰るぞ!」
「あ、ああ! ありがとう博士!」
「おう!また来なさんな~」
そしてしばらくの間、来た道をたどって帰路についた。
ただ、行きは平日の真っ昼間ということで人に見つかることはなかったが、帰りは人が少し多くなっていた。
「見つからないといいけどな.....」
しかし、見事なフラグ回収。
俺がそう言った瞬間後ろに気配を感じた。
俺はなにかを察したので、後ろを振り返らずに歩いていたが、後ろを見たカジナが「まずい!人間に見つかったぞ!」と叫んだ。
あんなこと言わなきゃ良かったって心のそこから思った。
人間達は俺達を捕まえ、かごに入れようとした。...が。
ガァン!!!!!!
ものすごい衝撃と共に大きな音が鳴った。
「!?!?」
その場にいた誰しもが驚愕した。
そしてそこにいたのは、俺らよりも一回りもデカい、イノシシだった。
(イノシシ......! あいつ、行きで見たやつ!)
そのイノシシは人間を蹴散らし、俺らに「先に行け!!」と言った。
俺は一瞬、イノシシともコミュニケーション取れるんだ...と思ったが、その考えはすぐなくなり、走って家に向かった。
「おいココミ!大丈夫か!」
カジナは自分よりココミのことを心配しているようだった。




