来ちゃいました異世界!
すみません!
投稿遅れました!
*訂正済みです。
「よく来たな、異世界の勇者達よ!」
開人と白音は素早く状況を確認する。
まず、目につくのは巨大な王座だ。
玉座にはやけに派手な服を着た壮年の男が座っており、その横には美女達が侍っている。
さらには甲冑に身を包んだ兵士らしき者やローブを着た魔法使いらしき者までいる。
明らかに日本にはいないだろうな~というようなシチュエーションだ。
そこから開人は素早く周りの気配を探る。幸いというべきかそこまで強い気配は感じない。
とりあえず脱出できそうな大扉と窓を確認した後でようやく一息つく。。
ちなみに、ここまで2人が男に話しかけられてから5秒ほどしか経っていない。
「よく来たな、異界の勇者達よ!我が名はキングスマン18世。このヒューマノイド王国の王である。早速だがお主らには憎き魔族を討ち滅ぼしてもらいたいのだが…………お主ら2人だけか?」
2人を代表して開人が答える。
「ええ、そうですよ」
すると、思いっきり顔を顰める自称・王。
「そうか…………これはどういう事だ、マリアーナ?」
ローブを着た一団の中でも特に派手な女に話しかける。
「ど、どういうことでしょう?儀式は完璧だったはずなのですが…………」
どうやら、あちら問題が起きてるらしいが俺たちにはさっぱりだ。
「あの、何か起こってるらしいですが、とりあえず説明をいただいても?」
「おお、それもそうだな。では、説明させよう。まあ、どうせ隷属の首輪を使うから説明なんかいらんのだが…………」
ん、なんか今不穏なことが聞こえたが…………まあ、どうにでもなるだろう。
「では、わたくしが説明させていただきます。わたくしは宮廷魔法師のマリアーナ=リンソンと申します。以後お見知りおきを」
「はぁ」「へぇ」
「あなた達はわたくしたちが王家に伝わる転移魔法により召喚いたしました。それでは、ステータスオープンと唱えてみてください」
何もしないわけにもいかないので、試しに唱えてみる。
「……ステータスオープン」
すると、目の前に半透明なA4ほどの板が現れた。
同じように試していた白音を見るが板は見えない。
どうやら本人にしか見えないようになっているようだ。
俺のステータスはこんな感じだった。
《名前》
黒星開人
《レベル》
Lv.1
《スキル》
なし
※隠しステータス
《異能》
【災厄の黒帝は骨と踊る】
【黒き帝の誓い 対象:赤羽根白音】
【異世界転移便利セット】new!
とりあえず白音と念話を行う。
『どうだった?』
『こんな感じだった。視界共有するね』
そういうのと同時に視界が切り替わり、白音のものとなる。
と、同時に俺の視界を白音が共有する。
《名前》
赤羽根白音
《レベル》
Lv.1
《スキル》
なし
※隠しステータス
《異能》
【鮮血の女王は月夜に嗤う】
【赤き女王は誓う 対象:黒星開人】
【異世界転移便利セット】new!
『とりあえず把握した。まあ、スキルはおいといてレベルについてなんだけど、俺たちは今Lv.1だ。なんか弱ったような感触はあるか?』
『いや、全然。いつもと同じいやいつも以上に調子いいよ。カイトは?』
『俺もだ。多分だけど今の実力をLv.1に固定しているみたいだな。とりあえず戦力面は安心だな』
確認する振りをしながら白音と念話を行う。
「確認できたでしょうか。それがあなた達のステータス、つまり能力です。それでは今の状況について説明いたします」
なんか長いからまとめると、
・俺と白音は魔法あり、モンスターあり、スキルありのファンタジー世界に来てしまった。
・通常、転移のショックに耐えるため女神様(?)より俺らにいくつかの特殊能力が与えられる。
・そのうち3つは全員共通で得るもので、『異言語理解』『鑑定』『超成長』というスキルらしい。
・それらとは別に各自に固有のチートスキルとステータスがついているらしい。
・で、なぜそんなことを知っているかというと、かつて魔族に王国を滅ぼされかけた時に異世界召喚を行なったことがあったからだという。
・今回も魔族の侵攻が始まるという女神様(?)からのお告げにより、俺らが呼び出されたと。
・ということで早速魔族を倒してこい。
なるほど。
だがなぜだろう。俺らにはスキルが1つもない。
もちろん『異言語理解』などというスキルもないのだが普通に言葉の理解ができている。
まっ、いっか。
「以上で説明は終わりです。で、ここからが問題なのですが王家に伝わっている歴史書によると必ず異世界より召喚される勇者は4人であるという記載があります。何か思い当たる節はありますか?」
俺と白音は顔を合わせる。
4人、俺らはその数にものすごい既視感を覚える。
「ああ…………心当たりはないこともないのですが…………」
まさか本当にあるとは思ってなかったのか聞いといて驚いている。
「えっ、それはどういうことですか!?」
「実はですね…………」
ここまでの経緯を話す。
「そ、そうなのですか!?で、ではスキルはどうですか?もしかしたら人数が減っただけであなた達が勇者であるという可能性も……代々の勇者達には《魔断の威光》というスキルがあるはず……」
「あ、ボクスキル?ないんで。開人は?」
「あ、俺もないな。残念」
ちっとも残念そうでないが。
「は、はへえぇぇぇぇぇぇ!?」
おい、いっぱしの乙女がこんな声を出てしまっていいのか?とか思う2人であった。
「ふむ、つまりお主らは本物の勇者達を押しのけこちらの世界にやって来たと。更にはスキルもなく戦力にもならないと」
「いや、戦力うんぬんに関しては…………」
「ええい、黙れ!元々勇者達には隷属の首輪を付けて従属させるつもりだったがお前らは極刑だ!者共やってしまえ!」
えー、展開早すぎて追いつけないんですが。王様短気過ぎじゃないですか?
というか隷属の首輪?だったか、明らかにヤバそうなアイテムじゃん。
そんなん使ってなにするつもりだったのよ。
王の命に従い兵士と、ローブの集団が迫ってくる。
そんなこんなで冒頭の場面へと移るのだ。