八:そのスパイ、社会科見学に臨む。
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『一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた~落第剣士の学院無双~』
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全員の自己紹介が終わったところで、ガラン先生はパンと手を打った。
「よし、そんじゃ、みんな校庭に集合! 今日の授業は全部に休講にして、社会科見学だ!」
「「「……は?」」」
その突然すぎる予定変更に、クラスはざわついた。
「だからー、今日は聖剣を作り出す神殿を見学しに行くぞーって言ってんの」
するとクラスメイトを代表して、人の名前を覚える気が全くないリア=ロイドミラーが声をあげた。
「ガリン先生、えらく急だねー!? いきなりどうしたのさ、急に!?」
「はっはっはっ! 『ガラン先生』、な? まぁその話は後でいいか……。えーっとだな、勇者様のことは、勇者様に聞くのが一番! せっかく副担任にフェル先生が来てくれたんだし、こういったイベントもありだろ?」
なるほど……。
今回の神殿見学は、副担任であるフェルと親睦を深めるという意味もあるようだ。
神殿とは勇者の力のもと――聖剣を作り出す神聖な場所だ。
あのポンコツ魔王から聖剣の製造方法を調べるように頼まれている俺からすれば、これは大チャンスなんだが……
「じぃー………」
不運なことに、現在フェルの徹底マークを受けてしまっている。これではこっそり調査することは不可能だ。
残念ながら、みんなと同じように大人しく見学しているほかないだろう。
「それじゃ各々準備をしたら、移動を開始しろー。十分後に校庭の真ん中に集合だ。遅れたやつは置いてくからなー」
そうして俺たち非正規クラスは全員移動を開始した。
■
それから俺たちは公共交通機関を利用して、神殿に到着した。
いくつもの厳重な警備をパスして、ようやく神殿の中に入る。
神殿という名前を付されてはいるものの、内装はどう見ても工場のそれだ。
巨大な機械がグオングオンと常に稼働し、いくつものベルトコンベヤーが絶えず動いている。そしてその上には等間隔で剣が並んでいた。
職員の話ではこれは『聖剣の卵』のようなものらしい。
この卵に国家秘密である特殊な加工を幾重にも施し、聖剣を作るとのことだ。
だいたいこの卵がちゃんとした聖剣になるのは、一千万分の一の確率らしい。
これでも技術力が向上しているために、年々生産量は増加していると自慢げに話していた。
(なるほど……その国家機密とやらを探ればいいというわけか)
……それにしてももったいない。
手を伸ばせば届く距離に聖剣の秘密があるにもかかわらず、何もすることができない。
いつもならば、適当な職員を拉致して催眠系統の魔法を掛ければ、すぐに吐かせられるんだが……。
今回はフェルが俺のことを徹底マークしている。
さすがに彼女の監視をかいくぐって、職員を拉致することは不可能だ。
(……まぁ、もしフェルが副担任にならなければ、今回の社会科見学も無かっただろうし、プラスマイナスゼロってところか)
いや、施設内の地理情報を集められただけ、プラスかもしれないな。
そんなことを考えながら、神殿内で働く職員の話に耳を傾けていると――突然、神殿の天井が吹き飛んだ。
「「「なっ!?」」」
砂煙が巻き上がり、同時に緊急警報が鳴り響く。
「生徒のみんなは私の背後へ!」
フェルの凛とした声は、混乱の最中でもよく通った。
(なんだなんだ、何事だ……?)
ただでさえフェルに睨みを効かされている今、これ以上面倒なことを起こさないでくれ……。
そう思いながら、吹き飛ばされた天井のあたりを睨みつけていると、そこから甲高い笑い声が聞こえてきた。
「あーっはっはっはっ! 神殿の守り、破れたり!」
それは何というか……とても聞き覚えのある声だった。
「奇襲作戦大成功! 聖剣の卵とその秘密は、このあたしがもらっていくわっ!」
大勢の配下を引き連れたポンコツ魔王ラフィ=エーデルワルツの姿がそこにあった。
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