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異世界番長  作者: まきーだ
記憶を求めて
1/1

ハジマリノデアイ

「お前は強いこの世界の誰よりも強い……だから皆を助け皆を守る王ではない番長となるのだ!」


俺に残っている昔の記憶はこの言葉を誰かから聞いたことだけだった。


物心ついた時から俺は日本国最大の刑務所に監禁されていた。ここには国も動きかねない大事件の犯人や国家危険人物など下手をすると国の安全を脅かす人たちが監禁されているが、自分はなぜここにいるのかはわからない。だが俺だけは特別扱いだった。

牢屋は他の罪人とは違い必要以上に強固にできており机、洗面所、ウォーターサーバーという物もあった。

毎日食事はきちんと食べることができたし、刑務所の教育施設に通う権利があったためそこで文字や言葉、社会についての知識や歴史などを学ぶといった監禁されていたにもかかわらず一般的な人々と同じ生活を過ごすことができる毎日であった。

しかしそんなある日の朝、自分の人生の第一分岐点が訪れようとしていたーー


「今日もこんなもんか」


と言い残し刑務所の食堂で他人の三倍の量の白飯をペロリとたいらげ、その日もまたまわりの人々の注目の的となった。


「あいつまたこんなに食ってさ、あいつの胃袋はバケモンレベルかよ」


「さすが超重罪人ってことかな……そんなもんだろ」


食堂で俺の隣に座ったやつは毎回似たようなことをヒソヒソと言っていた。

俺は周りの連中からは超重罪人として知られているという状況にあるのだが、教育施設の先生からも別にそんなことは一切聞いたことがない。


そんな周りの噂なりヒソヒソ話やらをチラホラ耳を傾け聞きながら、いつも通り俺に残っている昔の記憶のことを考えながら部屋に戻ろうとただ普段通りに自分の部屋までの道を歩いていた。


——助けてくれ……助けてくれ……助けでぐれぇぇぇぇ!!——


脳内の中に誰かの悲鳴が体に電気がはしったかのように聞こえてきた。

しかし、周りの人々は誰も反応しない。確かに誰かが悲鳴をあげた直後の反応とは言いにくいような、誰もがそんなことはまるで起こっていない。って感じの反応だった。周りの人々は聞こえていないのかもしれないが、確実に俺には聞こえていた。明らかに誰かに助けを求めている声が……


「俺に助けを求めているやつは誰だ!返事をしろぉぉぉぉ!」


何処にいるかわからなかったので刑務所全体に響くような馬鹿でかい声で俺は叫んだ。

俺はそいつを助けたかった。ただ助けたいというわけでもなく、初めて自分を頼ろうとしたやつがどんなやつなのか、この時の俺は興味があった。


「おっ、聞こえたようだな……よかった……おまえの部屋にいる……早く来てくれ。詳しい話はその後だ」


先程とまた同じ声が聞こえてきた。さっきと同じで周りの反応は一切ない、どうやらこの声が聞こえているのは俺しかいないんだと、この瞬間俺は、はっきりと理解し声の主の言う通りに自分の部屋にダッシュで向かった。このスピードも周りの人々とは比較にならない程の速さだった。廊下を歩いていた人々は見ようとしても俺が早すぎて見る暇さえなかったらしい。どんな時でも他の人とは何かが違う。そんな俺は常に刑務所中の人々から注目の視線を浴びていた。


そしてしばらくし自分の部屋についた。俺は急いでドアを開けた。なによりもなにが、どうなったかをまずは冷静になって判断する必要があったからだ。


「おう……来てくれたんだな……感謝するぜ……」


そこで俺が目にしたのは俺たちのような人間よりもずっと体が小さいが、火の色のように真っ赤の色をし、体の大きさに比例するほどの大きさで体と同じ色の翼と尻尾、そして鋭く尖った爪が生えているトカゲのような腕。小さいわりに一本角が偉大に見えてしまう見たこともない生物だった。


「おいおい!あんた大丈夫か?」


もはや見た限りでは死にかけの状態だった。俺はすぐさま助けようとした。自分にはどうすることもできないかも知れない。でもほっとけなかった。自分の中にあるちょっとした正義感のようなものがでできたような感じでとっさに体が動いていた。


「おまえが来てくれたから少しは平気さ……」


奴は本当に最後の力の振り絞って話している感じだった。直接俺の脳内に。


「俺がなんとか元気にしてやるからまだ死ぬなよ!」


俺はとにかくここの医療施設に見たこともない生物である奴をお姫様抱っこをするかのように持ち上げ自分の部屋を後にした。


「ここから無駄に遠いんだよぉぉぉぉ!医療施設ぅぅぅぅ!」


もうとにかく必死に走り医療施設に向かった。自分の部屋から医療室はかなりの距離があったため本当に全速力で走らないと間に合わないと俺が判断したからだ。すると走っている途中に奴とは明らかに違う声が脳内に走り出した。


——オマエソレデマンゾクカ?——


その謎の言葉を聞き終えたとともに急に目の前が急に真っ暗になった。

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