変態教授アウグストゥス
今回は短め
魔法大学の教授たちは奇人変人揃いだが、唯一変態の称号を得ている者がいる。
名は、エドゲン・アウレ・アウグストゥス。
魔法石加工職人の息子で、同期にして同年代のリートン教授とは腐れ縁の関係にあった。
筋金入りの女嫌いな彼と違い、アウグストゥスはかなりの女好き。一日に四人の女学生とデートをしたという目撃情報がある。
成績は優秀で、特に実践魔法学は他の追随を許さない。リートン教授同様に大学院を卒業し、現在は実践魔法学部教授に就いていた。
ここまで見ると、女遊びの激しい人物程度にしか思わないが、彼の称号の由来は未発見の魔法を数多く発見したこと。
彼は、教授に就任した最初の一年間で45個もの魔法を発見したが、それらすべては女性の乳房に関わるようなものだった。更に翌年は69個の、女性の尻に関わる魔法を開発。
教授会議はもちろん、世間的にも厳しく批判されたが、彼は、
「私は自分の好きなことを仕事にしていだけだ、もし私に興味があるなら研究室まで来なさい。君たちの新しい一面を私が見つけてあげるよ?」
と発言し、教授会議は無期限の謹慎を決定。ただ一人リートン教授は反対しが、多勢に無勢。
魔法大学始まって以来の大問題児、魔法使いの恥部など散々に言われた。
しかし謹慎から72日後、彼の評価が一変したのは魔法界全体の常識を崩した、原子魔法の発見だ。
この発見により、彼は世界的な名声を得た。
もちろん、彼は同時に自分の好きなことを続けている。現在、彼には8人の娘と6人の息子、13人の愛人と一人の妻がいる。
エヌマが入った研究室は、その変態の住み家だ。
「お嬢さんは、ワシに新しい発見をしてもらいたい方か?」
四方から聞こえる気色悪い声。エヌマは生理的嫌悪感から叫ぶ。
「気持ち悪いんだよてめぇ! 姿を出しやがれ!」
「良いとも」
後ろから声がした。
「え?」
驚いて振り返る前に、彼女の尻に手が触れた。
揉まれる。
「ほお、肉付きは良いの」
「き、きゃあーーーー!!」
女性らしい悲鳴を上げて、反射的にエヌマは掌打を放った。
手応えあり。
声の人物の顔面に打撃を貰って砂浜へ派手に吹き飛ぶ。
直後。
足元が崩れ落ちるような感覚がエヌマを襲った。
エヌマは覚醒した。
彼女は、リートン教授の研究室と同じような造りの部に突っ立っている。まだ状況が飲み込めず、働かない頭のまま周囲を見渡して、何かを見つける。
「あ?」
人が倒れていた。背が高く、頭髪の薄い、50代ほどの年齢の男だ。着ている物は少しだけ見覚えがあり、しかしハッキリとは思い出せない。
寝ているのか、気を失っているのか反応がない。恐る恐る近づこうとしたところで、部屋の扉が慌ただしく開いた。
「エヌマ! エドゲン!」
「アウグストゥス教授!」
入ってきたのはリートン教授、それとエヌマの見覚えのない女性。
二人は未だ呆けているエヌマと、突っ伏したまま反応のない男を交互に見る。
それから三人はほぼ同じ瞬間に言葉を発した。
「何しに来たてめぇら!」
「何をしているんだお前は!」
「何をしているんですかあなたは!」
最後まで読んでいただきありがとうございます!
次回、どうなることやら~