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リートン教授の理由

「エヌマを解雇させろ?」


 リートン教授の女嫌いは魔法大学の人間なら誰でも知っているが、何故そうなったか知る者は友人であるアウグストゥス教授ぐらいだろう。

 だが、女嫌いを紐解くヒントが最近現れた。

 エヌマである。

 彼女は美人ではあるが、誇り高い耳長族で、口も悪く暴力的、現に車椅子のリートン教授に対して遠慮のない発言を繰り返している。


「それが、私と会いたい理由かね?」

「もちろんだ」


 リートン教授の所有する屋敷の応接間。

 向かい合う二人、一方は魔法石加工職人で、教授との付き合いは古い。

 元々職人らしく眉間に皺の寄った彼だが、今日は特に懸念することがあるのか、皺が深かった。


「やってくる魔法大学の教授たちが、君は気が狂ったとか、名物教授も地に墜ちたと言っていた。アウグストゥス教授は大笑いしていたがな。だが、その女中は既に大学内で問題行動をとったそうじゃないか。リートン、その耳長族の女は、今の君の状態では魔法が使えるからといってためにはならんぞ」

「相変わらず決めつけるような言い方をするな」

「事実だからだ。それに友人として放ってはおけない」


 友人の表情は真剣だ。嘘はない。

 リートン教授は友情の心地よさを感じつつも、ならばと、こう返した。


「友情に感謝を。だがそれには及ばない」

「リートン! あのような輩は容赦がない! 寝首をかかれるぞ!」

「そこが良いんだ」

「え?」


 友人は怪訝な顔をした。リートンはそんな彼をあえて見ないで、車椅子に視線を向ける。


「容赦がない、それが良いんだ。彼女は私の足のことなど気にかけない。君が心配してくれるのはありがたいが、しかしその心配は無用なんだ。この足を失う前からも、これからも」

「リートン・・・・・・」

「それにアレは面白い。知っているか? アレは女優になりたいそうだ、しかも王立のな。アレがもしもそこに立つと思うと、笑いが止まらん」


 友人はすっかり閉口してしまった。それ気遣うように、手元の茶を勧めた。


「さ、せっかく来たんだ茶を楽しもう。良い茶葉が手に入ってな」



 さて、そのエヌマはというと。


「おい、てめぇその酒じゃ酔えねぇだろ!」

「わ、私にとっては強いんです!」

「飲み合いなんだから、同じ酒だろ! おらこれ飲めや!」

「火酒なんて正気ですか!?」

「しゃーねーだろ、安いし旨いんだよ!」

 

 顔を真っ赤にする酔っぱらいのエヌマは、泣きそうな顔のアドリアーナ女史と酒飲み比べをしていた。

 先ほどまで一触即発の状態だったが、エヌマが額の装飾の存在を忘れていたので、これからの暴力を察知されて締め上げられた。

 輪っかの装飾を見て気づいたアドリアーナ女史は、何よりも公正と平和的解決を求める彼女の性格ゆえに別の勝負を持ちかけたのだ。

 そこで、エヌマはさかさず酒の飲み比べをしよう、と言い出した。ミルクを注文するほど酒に弱いのでは? と察した彼女の意地の悪さが発揮されたわけである。

 当初は「そんな、お酒なんてっ」と断ろうとした彼女だったが、エヌマが周囲のお客を煽って逃げられない雰囲気を作って、無理矢理可決させた。

 そして、その記念すべき一回目は早くも波乱に満ちている。

 

「ほーん、教授様は正々堂々の勝負が出来ないってことか?」

「ち、違います! お酒の問題です!」

「良いじゃねぇか、おら貸せや!」

「あぁ! 私のお酒!」

「ふぅ、まあまあだな。おら、これに火酒入れろ!」

「も~~!」


 という感じだ。まぁとにかく、暴力沙汰にはならずにすんだわけだ。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

なかなか更新が安定しなくてすみません(汗リアルが忙しいものでして。

少しずつですが物語も先に進んでいる感じなので、楽しいんでいただけると嬉しいです!


ではでは、また次回でお会いできるなら頑張ります!

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