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イージスの皿は砕けない! ~龍に勝つ方法? 飯を喰らって食事強化《バフ》ればいい~  作者: タック@コミカライズ2本連載中
二章 同じ皿の飯を食う冒険者ギルド、アルゴナウタイ設立

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第6皿 水浴びを見られると因果応報アタック

『私は観察に集中したいから、後は任せていいか? エリク』


「はい。人でなければ、お任せあれ」


 カリュドーンの猪の行動パターンや、食肉サンプルが欲しかったので、エリクに何匹か倒してもらうことにした。

 エリクの剣術は卓越していて、私の食事によるパワーアップがなくともカリュドーンの猪程度なら普通に倒せるようだ。


 あの蛇巨人の時とまではいかないが、小さな斬撃が空を伝って猪に到達。

 すると実際に刃に切られたかのように、距離を関係なく威力を発揮している。


『最初の一匹は、この“討伐肉化包丁”でトドメを刺してくれ。皮、骨、人間が食べられる肉と内臓──とイメージすれば勝手に解体してくれる』


「わかりました」


 スキルで包丁を出現させて、エリクは刀との二刀流。

 一瞬で猪まで距離を詰め、その硬い頭蓋骨へと深く突き刺す。

 猪は断末魔すら上げられず、その動きを止めた。


「これは良い包丁ですね。これだけ硬く鋭ければ、食用とする部分を無駄に傷付けずに済みそうです」


 一見すると躊躇無い残酷な殺し方だが、猪は自らが死んだという認識すらなく絶命しただろう。

 苦しませることをしない、慈悲ある屠殺である。


『人間相手の時と違って、巨人や動物相手だとまったく戸惑いがないな』


「はは……。古くから続く血筋というやつでしょうか」


 血筋? エリクは由緒ある家系か何かなのだろうか。

 そう考えていると、カリュドーンの猪は“討伐肉化包丁”の効果で一瞬にして解体された。

 眼前に広がるのは、血の詰まった袋を破いたようなあまり良くないビジュアルイメージだが、実際の解体はもっとアレなので省略する。


『それじゃあ、もう数匹倒して、そっちは普通に解体。両者を比べてどこが毒の臓器か、どれくらいで毒が回るか、どう倒せば毒を拡散しないで済むかと確かめていくぞ』


 呼び出せる冷蔵庫も容量が増えたので、そこに詰め込めるくらいは狩っておこう。


* * * * * * * *


『うっへぇ、私もエリクも、血みどろだな……』


「そうですねー。このコックコートとエプロンは、不浄の魔術が付与されているのでホコリなどには強いのですが、さすがに血とかは落ちやすくなる程度です」


 血で真っ赤なシェフ、ちょっとホラーっぽくもある。

 ヴェールが起きていれば水魔術である程度はなんとかなるのだが、あいにくと今は疲労で寝てしまっている。

 安全のため木の上に吊して、みの虫のようになっている姿が滑稽で笑える。


「そういえば、近くに川がありましたね。そこで身体を洗いますか」


『お色気シーンか!』


「はは、僕の裸なんて望んでいる方なんていないでしょう」


 少なくとも私とヴェールは激しく希望しているだろう。

 半覚醒していたっぽいヴェールが、身体をビクッと動かしたのは見なかったことにしておいた。


『よし、それじゃあ水浴びシーンへデッパーツ!』


 私は“メガサラァ!”と自分で叫びたくなるくらいテンションが上がってしまっていた。

 ぐへへ。




 川に到着し、無警戒に服を脱ぐエリク。

 男だからといって、エロい目で見られないと思っているのかコヤツは! 可愛いものだな、うはは!


 彼の若々しい身体。太股は、女性の丸みを帯びたモノとは違い、鍛えられ引き締まっている鹿などの野生動物のソレだ。

 腹筋も程よくシックスパックで割れていて、それでいて主張しすぎない程度のくびれが出来ている。

 胸板は密着していた時から気が付いていたが、こちらも割と男らしい。男性でも盛り上がる筋肉の胸、男のおっぱい……!


 だが、それに反して全体のシルエットは太すぎず、華麗とも言える。あえて華奢さも感じさせる美しい、鎖骨からうなじにかけての少年らしさも残した色っぽいライン。


 その尊いイケメン長身細マッチョを、運動したばかりの汗が煌めいて飾っている。

 これは抱き締められたくなる部類であり、抱き締めたくもあるギリギリで最高のバランス。


『写真に撮って、そのあとギリシャ彫刻(フィギュア)にしよう。うん』


「何を言っているんですか。ほら、ジス君も洗いますよ」


 私は、そのエリクのしなやかで女性より美しい指で無造作に掴まれ、身体をもてあそばれ……ああっ!? そこはぁ!? 透明なのォ──出ちゃうぅ!


「洗剤、もうちょっとお願いします」


『おう、出して出して出しまくってやる!』


 そんな仲良くお風呂タイム。

 暑い季節なので、水風呂と思えば幸せな時間だ。

 私の身体は皿。つまり食器洗いをされているのだが……何かこちらばかりで悪い気がしてきた。

 うん、他に他意は無い。


『なぁ、エリク。今度はお前のことも洗ってやりたいから、憑依させてくれ。洗いっこってやつだ!』


「ふふ、誰かに身体を洗ってもらうなんて、いつぶりでしょうか。幼少期を懐かしく思います」


 オーケーと受け取った!

 おらぁ! 欲望ゼロの憑依ぃぃぃいいい!! エリクの素肌すべすべぇぇぇえ密着ぅぅううううう!!


「おぉ、これが全裸のエリク! フルチンというのも開放感があるな!」


『は、はは……あまり恥ずかしいのでそこは凝視しないでくれませんか』


「いいや! 綺麗にきちんと洗ってやるぞ! うん!」


 今のこの勢いならヤレる! ヤレるぞ!

 泡をタップリ付けた右手で、いや、左手も同時にでもいいだろう!

 それを、股間へ──。


「……ん? 見られている気配が」


 その謎の違和感を辿ると、視線の先には一本の木。

 そこで隠れながら顔半分を出して、眼光を光らせまくっているヴェールの姿が……。

 のぞき見というやつだろうか。


 ふてぇ野郎だな、まったく! 人の水浴びを覗き見なんて!

 私だったら、もうちょっと見つからないように知恵を回すだろう!


「だが……。どれ、少しサービスをしてやろうか」


 私はエリクの身体を使って、隠れているヴェールの方へ向かい、腕を組んで仁王立ち。

 股間を見せつけるように──!


 ヴェールの反応はと言うと、突然の事にショックを受けて噴き出しながらも凝視、ガン見である。顔が真っ赤なのはきっと処女の証だろう、うん。

 数瞬、何か通じ合ったような奇妙な間。

 その後、どこからともなくカリュドーンの猪が走ってきて、ヴェールを跳ね飛ばしていった。


 水面に落下するヴェール……良い奴だったのに。

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