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Melt of Border~蒼の戯れ、朱の叡智~  作者: Sigeno@GSX
Lv.1:異世界入門
5/10

妹、染まる

妹側の第三話…

兄と違い、血みどろの殺し合いが続きます。

結論から言えば、転移実験は失敗に近い。

まさか犯罪者の街に飛ばされるとは、彼女自身

夢にも思わなかった。


その失敗をノートへ綴りつつ、表通りを見て回る。

決して廃れた街では無さそうだが、活気に溢れた街とはどうやっても言えない気配。バーからは下卑た視線も感じられ、何を思っているのかを嫌でも脳内へと

送り込んでくる…これが自分じゃない女性なら

どうなっていた事か。


袋に仕込んでいたクロスボウに触れ、射撃できるようにセットした。今の朱奈は恐らくごろつき程度ならば素手でも捩じ伏せることが出来るであろうが、銃…

もっと言えば即死級威力の物を持ち出されると先手

必勝が必要になるだろうと予測しての事。


だが何にせよまずは安全な宿だ。この街にも女性は

住んでいるだろうと…思った所で彼女は立ち止まる。


何者かが、また後ろにいるらしい。


透視を唱えて後ろを見る…が、意外に人通りが多く、

その気配を捉えることが出来ない。


気のせいにしては先程に増し、気配を鋭く感じる。勿論奪い取った暗殺術か何かに反応しているのだと思うが、あくまで見える訳では無いというのが歯痒い。

しかし分かった事もある…これは自分の存在を書き換えられる証拠だ。奪ったスキルによってこれを意図的に変えられるようになれば、この街を脱出するのも

容易になるだろう。


(けど追っ手が多い…何とかして減らさないと)


予定を変更して人の少ない通りへ場所を移す…つもりが、どうやらストリートギャングのシマへ入ってしまったようだ。追っ手の気配が動かなくなるが、これは様子を見ているようにも感じる。


先程までの通りがメじゃない程ここは治安が悪い…いや、逆にチャンスだ。こいつらを利用して身を隠してしまえる。


「ん、姉さん道に迷っちゃった?」


演技は苦手にも程があるが…


「いや、あの」

「まぁまぁそう怖がんなって、お茶でもどうよ?」

「でも…」


建物へ連れていかれるのを見てか、気配の数が目に見えて減る。今なら多くても監視に3人前後か。それにしても、こんな適当な動きと声で騙せるとは。彼女は

引きこまれながら…全員殺す事に決めた。


中に入ると、そこに申し訳程度で手入れされた部屋があった。


「座って座って、茶を入れたからよ。」


微笑んでいるが、そのお茶の香りにはどう考えても薬が混ざっている。飲むかどうか迷うが、口をつけるだけにする。それだけで軽い倦怠感に襲われ、椅子に

崩れる…が、暗殺術のスキルがこんな所で光った。


倦怠感が目に見えて薄くなり、くずれ込んでから数秒で本調子に戻ったのだ。それを知る由もないギャングの1人が彼女を肩がけに背負い、地下へと運び込む。


地下には分娩台のような物、注射器、ペンチ、その他にも手術道具がごろごろと置かれていた。


「家の前で拾った、薬出してこい!」


その一声でバタバタと足音がし始める。分娩台へ座らされ、足と腕をバンドによって固定しようとする。同時にシャツへ手をかけられるが、そこまで待てる程

自分も器用じゃない。人数は足音からして5人、

武術に関しては素人ばかり…


「じゃ、お医者さんごっこ始めま」

「何処を触ってる?」

「!?」


座らされたままで鳩尾へブローをかます。足と腕をバンドから抜き、そのまま奥で銃を手入れしていた仲間に注射器をダーツの要領で投げ刺す。この間0.71秒の出来事…


「おい!何してる止めろ!」


ブローで沈めた男から銃を奪い取って牽制に数発放つが、脳天をその1発が撃ち抜いた。初めて使う銃だが上々の滑り出しになる。


物凄い剣幕でナイフを振り回してくる者もいたが、

振り抜いた所を零距離で両肩を撃ち抜く。


こちらを奥から狙う者もいたが、肩を撃ち抜いた男を盾に突っ込んで頭を1発で吹き飛ばす。


背後から撃たれる気配を感じ、その弾を銃で防ぎ

ながらナイフを心臓へ向けて投合する。


最後の一人は曲者。カポエイラの心得があるらしく、踊るような身のこなしが朱奈を一瞬だけ惑わした。

こんなギャングにも強奪を必要とするスキルを持つ

人間がいるのは好都合であった。


「止まれ女ァ!」

「雑魚の声、聞き飽きた。」


言いながらもその心はスキルの強奪へ注がれる。腕を掴み、鼻下を打って意識を落とし、強奪を開始する。


「運が悪いねー、それ使わなきゃこんな事されることも無かっただろうに。」


先ほどの感覚が抜けている事に含めて手早く済ませたいため、こめかみに指を突き刺して無理やり奪い取る方法を取る。顔は苦悶に歪み、赤い泡を吹き、左右の眼球共に違う方向を向いて死んだ。死ぬ間際にこいつが何を見たか、そんな物に興味なんて微塵もない。


それにしてもさっき使った銃は非常に使い勝手が良い。どうせ空になった家だ、自分の持ち物を回収するついでに色々と貰うことにしよう。


地下の灯りをつけ、ギャングの懐や棚を漁る。金目の物は無かったが、あの銃のマガジンを棚に入れていてくれたのはとても好都合…全て持って行こう。


それ以外には自分の持ち物位だろうか…あと妙に

かっこいいサングラス。


一階の冷蔵庫には紅茶の葉や食べ物があったが、その中に毒の瓶も見つけた…食べ物に手をつけるのは危険だ。しかし瓶はもらう。


外に出ようとした所で止まり、気配をサーチ。

正確に分からないのが面倒な所だが、それでも不利な状況は脱している…無理をすれば今いるのは倒せるかもしれない。


「面倒くさいけど…また裏か。」


裏道へ回りながら、奥の奥へと歩みを進める。それを狙ってか、数人に囲まれた。魔導師が一人いるが…

朱奈の前ではもはや獲物だ。


「…なぜ私を狙う?」

「お前に語る必要は無い」


発せられる言葉に少し体表がぴりつくが、動きを阻害する程ではない。そのまま追跡者へと向き直り、

腰の袋に手をかけた。


「…なら、勝手に貰う。」


ギャングらしき男からカポエイラを奪っていた朱奈。その動きは獲物を狙う蛇の如き身のこなしから蝶の

ような舞に変化を見せ、蜂のような高速移動までもが混ざる異次元的な動きへ昇華していた。


予測できない動き。それを見た黒衣の魔導師が

下がって距離をとろうとした瞬間、朱奈の指がその

頭蓋を捉えた。


「バーカ。」

「…!?」


骨が貫かれる鈍い音と共に、魔導師の膝が折れた。

同時に、魔導師の杖が乾いた音で弾ける。


「怖がらないで、死ぬ時が来ただけ…ね?」


目前の仲間を殺し、その返り血を浴びた表的。

追跡者は、自分達が死神を敵にしたと確信した。

朱奈ステータス変動


【スキル追加】

武術

└カポエイラ…カポエイラを習得

魔導術

├初級…ボール、レジスト、バスターを添加可能に

├中級…ストーム、レイン、ガーデンを添加可能に

└上級…トルネード、メテオを添加可能に


【武器追加】

キャリバー×2(銃/パッシブ:無/装填数:8/8,8/8)

「ウィンチェスターを短くしてマガジンを付けたような片手魔導銃。劣化も無い為、朱奈が2丁ほど無断で

拝借してきた。」


【持ち物追加】

キャリバーのマガジン×20(弾数換算:160)

「ギャングの家にあった魔導銃のマガジン。やはり

これも同じく無断で(ry」


サングラス

「何となく持ってきた。」


毒の瓶

「筋弛緩系の毒が入っている瓶。触れるだけで

効くかは色んな意味で未知数。」

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