夢と現実…
気がつくともう10月…時が過ぎるのは、あっという間ですね。
お水裏街道を書き始めて早1年が経とうとしています。
こんな前置きをすると終わりそうな雰囲気ですが、まだまだマッタリと書き続けていくのでこのサイトの書き物としては、ちょっぴり!?変わっていますが読んでくれている方々これからも不定期更新ですが、どうぞ宜しくお付き合い下さいませ。
某占い師の方がTVなどで、
「仕事に楽しみや夢を求めるのが、そもそも間違いなのっ仕事は生きる為にお金を稼ぐもの。苦しくて当たり前なのっ」と語っておられました。
まだ若い人は、こんな事を言われたり聞いたりしたら、
「仕事に夢求めたっていいじゃんっ楽しい方が長く続くしっ」と反論したくなる人もかなぁりいると思います。
夢を追う事は僕は否定しません。
むしろ夢を持って生きている人の方が輝いていてエネルギーを感じます。
僕自身は、まだ十代の時に仕事とは別に小さい頃からの夢であった絵描きになろうと焦って失敗しましたが、既に夢が本当に夢と消えた自分には夢追い人を見ると羨ましくもあり、寂しい気持ちにもなってしまいます…
まだキャバクラで働き始めて半年くらいの時期に、最初1日の売り上げが15万くらいしかいかない店を、1日平均80万まで上げた事がありました。
もちろん自分1人の力ではなく、部長以外全てのスタッフや女のコ達が一丸となって半年でその界隈では人気店の仲間入りを果たしたのです。
本当にその頃は毎日が必死で水商売人生の中で完全燃焼したのはこの店だけでした。
なんとか店をもっともっと良くして街一番とはいかないまでも、自分達の界隈で一番の店にしようと必死に考え、よく部長と他店を見に行ったり、お店の女のコ1人1人と話し合い一番そのコに合った仕事が出来るように日夜取り組み客引きも、今でもあの頃の自分を超える客引きはいないと自負する程一層力を入れて頑張りました…
そう、僕は自分の店を『誰にでも誇れる店にしたい!』と新たに夢を抱いたのです。
暫くの間は順調でした。
そして部長と話し合い、もっと店内のインテリアをセンス良くして女のコのスカウトにも力を入れてなどと熱く語って数日後、部長が珍しく営業時間に遅れて来たのです…
軽くアルコールも入っていて何だかおかしいな?…と思いながら仕事をしていました。
店が終わって女のコ達の送りに向かい、後は一番遠い女のコ1人を送り届けるだけになった頃、携帯に部長から着信が入り出ると、
「〇〇君、もう送り終わった?」
「後は〇〇さんを送って終わりですっ」
と切り返すと、少し間が空いてから、
「ちょっと送りが終わったら悪いんだけど、店の方に戻って来てくれるかな。」
内心、『何かあったな…』と思いながら、
「分かりましたっ送り終わり次第店に戻ります。」と返答し電話を切りました。
通常、送りが終わったらそのまま直帰なので、店に戻って来てという事は何かがない限り有りません…
しかも声の感じからして飲みに行こうという雰囲気でもありませんでした…
店に戻ってみると1番奥のテーブルで部長が1人、ビールを飲んで僕を待っていました。
「お疲れ様ですっ部長。」
と声を掛け向かいのソファーに腰を下ろすと、部長が僕にもビールを勧めてきたので戴いて飲み始めました。
最初は、たわいもない話ばかりしていたので、自分の思い過ごしかなと考え直し、2本目のビールを飲み終わった辺りで少し間を置いた後、部長が話を切り出し始めたのです…
「〇〇君っこの店はもうダメだねっ!これ以上良くならないよっ」
唐突にそう切り出されたので一瞬固まり、我に帰って理由を聞くと…
「店を良くしようと〇〇君と話し合ったプランを社長に相談したらさぁっ、そんな事しなくていいっ!!なるべく金掛けないで今以上に売上上げろ!だって。
言ってる事おかしくない!?
良くする為の投資もしないで売上だけ上がる訳ないじゃんねっ」
…それを聞いて僕は一瞬自分の中で冷たい風が吹き抜けていくのを感じました。
はっきり言って、その時点で店はかなり儲かっていました。
そう、社長の高級車も店の女のコを口説いて囲う金も店の売上から捻出されているのは聞かなくても明白でした。
そんな金の使い方をしておいて、一方で数十万の投資をケチる…僕も部長も何だかやる気が抜けてしまいました…
その後少しして、社長から僕にもその話関連で釘を刺され一層やる気が失せたのは言うまでもありません…
僕は、その数ヶ月後に店を辞めましたが、店の方はといえば半年後には潰れていました。
僕の夢はまたしても夢で終わってしまいましたが、夢を持って生きている皆さんには頑張って実現させてもらいたいと思う今日この頃ですっ