見栄をきり間違えたホストの末路【後編】
後編だけ長くなり過ぎてしまいました。読んで頂ている皆さん申し訳ありませんっ(>_<)
なんと僕達は次の日もマンガ喫茶のナイトパックで朝までキャッチの時間、マンガを読み続けとうとうオープンまでラスト1日…( ̄□ ̄;)!
きっと俺らみんな絶対夏休みの宿題31日までやらないヤツの集まりだな…と軽くそんな事を考えながら半分以上諦めモードで明日までに寮パックレようかなと1人寮の部屋で考えていると、常に施錠してないドアが開け放たれ、『おはよーございま〜すっ♪今日こそ頑張りますかぁっ♪』と言いながら忍達が入って来た時、『あぁ、俺よりお気楽バカが居て良かった♪』と心底思い元気を貰いました。
*余談ですが、忍達とは同期ですが年が僕が他の3人より3つ上だったのと、入店日が若干早かった為に敬語で接してくれましたっ(#^-^#)
そんな3人を見て少しやる気が出た僕は4人でオープン前、最後のキャッチに乗り出しましたっ!
大きな街なので平日だろうが街ゆく人はウジャウジャいます。
いつもならアレはウザそぅ、こっちはキツそう…などと能書きをタレて動かないおバカ4人組ですが、今日ばかりはやらなきゃ明日我が身がどうなるのかマジで分からないので出だしから皆、軽い身のこなしでぎこちない也に声を掛けます。
キャッチを始めてから2時間…まだ成功はしてはいませんでしたが、声を掛けるという行為が皆に自信を湧き上がらせ必ず成功するような雰囲気が滲み出ていました。
そしてそれから僅か30分後、忍と春樹が声を掛けた2人組の女のコ達と意気投合しオープン日には無理だが違う日に来店してくれる事になったのです。
僕は少し離れた所で細道の方を静かに見つめていました。
その方向には何店舗か風俗店があったので、もしかしたらと思い女性が歩いて来るのを待ちました。
すると細道から白いパンツを履いた女性が歩いて来たので、『コレは逃せないっ!!』と思った瞬間既に僕は動き女性になるべく自然体で話し掛けた。
声を掛けた瞬間はビックリしてましたが話しているうちに盛り上がり、お店のオープン日に来店してくれる事になり、よゐこ浜口バリに『とったどおぉーっ!!』と叫びたい程気分が良かったのと、ホッとしたのを覚えています。この後成果は上がりませんでしたが、僕等は意気揚々と寮に引き上げ祝杯をあげようと歩いていると、駅前の超有名公園を見覚えのある男がウロウロしていました。
カズヤです。『アイツ1人で何やってんだ!?』と訝しがり様子を見ていると、女性がカズヤの近くを通るとアタフタしながら女性に近づこうとし、女性が歩いて行ってしまうとガクッとうなだれ、また女性が通るとアタフタ…そしてうなだれを繰り返していました。
『アレ!?アイツ、客いる筈なのになんでキャッチしてんだ!?』少しの間考え、忍達を見やりました。
『ひょっとしたらカズヤさん、あんなに自慢してたけど客なんていないんじゃないですかぁ〜っ♪』
忍の悪意のこもった一言に一同にんまりとエロい顔をし、『ザマァミロだなっ♪』
『アホっすねっ♪』
言いたい放題カズヤの文句が吹き出ました。
散々客と食事だデートだグッチのスーツ買ってもらうだ自慢してたのが全部フカシだと分かり、最初は可笑しかったのが段々怒りがこみ上げ出し、軽くぶっ飛ばしたくなりました。
嘘の自慢話を聞かされた時間を返せと!!…
僕等はカズヤの死角からそっと近づき『よぉっ何してんの!?』と、わざとらしく声を掛けました。
カズヤは本気でビックリした様子で、軽くオゥっと言ったっきりだんまりでした。
僕は笑いを堪えながら、『どしたの!?落とし物でもしたの!?』と尋ね、カズヤの出方を待ちました。
『んっ!?いや、ここで客の女と待ち合わせしてんだけどちょっと遅れるみたいで待ってんだよねっ』
それを聞いた僕はこめかみがピクピクし、一瞬阿修羅面怒りになりそうなのをググッと堪え、もう少しだけこの茶番に付き合ってやろうと
『へぇ〜っそぅなんだっいいねぇ〜っ♪』
と合わせてやると、客なんていないのバレバレなのに、この期に及んでまたもや嘘自慢が始まったのです…( ̄○ ̄;)
『今日どうしても会いたいっていうからわざわざ待ってやってんのに自分が遅れるってどうよ!?何か買わせねぇとワリ合わねぇよぉ〜っ』
へぇ〜と聞きながら何か頭にきすぎて軽く意識が飛びそうでしたが、忍達の過剰なヨイショで我を取り戻し、もう少しだけ付き合ってやるよっ!!と笑顔で聞いていると、
『明日は何のボトル入れさせようかなぁっ♪レミーでも入れてもらおっかなぁ〜っ♪』
も〜うぉダメッ!!我慢の限界を一瞬で超えた僕はいきなりカズヤに向かってメンチを切り、軽く複式呼吸でキレました。
『お前さぁっ俺ら隠れて公園でお前の行動ちょっくら見てたけどよ。ずっとキャッチしてたべ!?客と待ち合わせしてるヤツが何でキャッチしてんだよっ!!あぁっっ嘘ばっか言ってんじゃねぇぞテメェッ!!!』
いきなり確信を突かれたのとキレられたのでカズヤは後ろにのけぞり、つぶらな目を目一杯広げて固まりました。
そんな姿を見ても僕の怒りは収まる筈もなく続け様に怒りをぶつけまくります。
『大体テメェ、客にいろんなモン買って貰うっつってけど一度も言ってた物持って帰ってねぇじゃねぇかよぉっ!!』
そして更に、
『客いるなら俺におごってもらわなくても飯代やらタバコ代位どうにでもなんじゃねぇの!?違うかぁっ』
ちょっぴりヒートアップしてしまい公園内が微妙な空気になってしまいましたが、ここまで言われてもカズヤは『相手の都合が合わなくて…』やら『貰ったりするけど、いつもじゃないから…』とのたまうので襟首を掴み上げ
『テメェ、明日客来なかったら覚えとけよ…』
と凄むと、カズヤはいきなり態度を180度変え、ただひたすら謝り続けたのです。(注:僕は普段本当に殆どキレません。ただこの時のカズヤにはいきなりキレさせるだけのモノが有り余るくらいありましたm(u_u)m)
この一件以来カズヤの立場はオオカミ少年のようになり、後輩にもナメられ、当然客も呼べなければヘルプも出来ず、挙げ句の果てに寮の仲間の荷物を持ち逃げしたのです。
当然僕等はカズヤの居場所を突き止め、新宿まで行きマックに上手い事言って呼び出し、持ち逃げされたヤツとカズヤのやり取りを斜め後ろの席からバリューセットを食べつつ見させて頂きましたっ♪
この後、カズヤには何度も僕等の復讐が待ち受けている訳ですが、ここではちょっと…なので書くのは控えますm(u_u)m
ホストの世界では、こういう見栄の切り方は百害はあっても得になる事は全く無いので新人ホストの皆さんは気をつけて下さいねっ♪