見栄をきり間違えたホストの末路【中編】
店長は膝に手をつき、少し前のめりになりながら、『テメェ等ホスト舐めてんのかぁっ!!このままじゃあ店がオープンしたってすぐ潰れるよ!!ここでホストやりてぇなら死ぬ気でやれや!!!出来ねぇなら今すぐ辞めろっ!!!』
僕等は事の重大さにオープン直前になってやっと気付き、互いの顔も見れないまま凍りついていると、『どうすんだよ!!やるのかやらねーのかはっきり言えやっ!!!』
店長のその言葉で一同全員が『やります!!やらせて下さいっ!!』と腹から声を出し答え皆、立って店長やオーナーに頭を下げて頼みました。
今更ながら思った事は、きっと店長はキレたら人を殺しそうなオーナーがキレる前に自分がキレる事である意味僕等の事を守ってくれたんじゃないかと店長に色々と面倒を見てもらった自分は勝手にそう思っています。
『お前等今日から3日間、寝ないで客掴まえろ!!掴まえられるまでミーティングには出なくていいっ分かったなぁっ!!分かったら今からキャッチ行ってこい!!』
僕等は店長に言われるままに夜の街へと蝙蝠のように散りました。
大体仲のいいホスト数人づつに分かれ、お客争奪戦が始まったのです。
僕は、忍と春樹と冬夜という最近寮に入って仲良くなったヤツらと連んでキャッチを始めようとしたのですが、なかなか最初の一発目が掛けられない…
スーツ姿でのキャッチがホストですょって言って歩いているみたいで嫌だったのと4人共に未経験者だったので自ずとリーダーシップをとってくれるヤツが居らず何だかんだとブラブラしながら闇雲に時間だけが過ぎていきました…(T_T)
そうこうしてる間に他店のホスト達もキャッチに出て来て益々ヤバい状況に陥り出し、『マズいっっ…』と思った僕は思わずみんなに、『居酒屋行かない!?』と半笑いで言ってしまいました。
半分現実逃避です(笑)キャバクラ時代にスカウトが上手くいかない時の癖がとっさに出てしまい、『まずっ!!さっき店で店長にキレられて死ぬ気でやるって言った後じゃん。みんなふざけてる場合じゃねーだろっ!!ってキレるよな…』
そう言った事を後悔し、そっとみんなの顔を見やると『行っちゃいますかっ♪』と3人共少しエロおやじのような顔で答え、『あっなんかコイツ等と末永く上手くやっていけそうっ♪』と同じ匂いを感じその日は結局朝まで居酒屋でクダ撒いてましたっ(-o-;)