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見栄をきり間違えたホストの末路【前編】

見栄をきる…水商売の世界では時には必要な行為ですが、見栄の切り方を間違えると自分のクビを絞める事になります。

新人ホストにはありがちな事なんですが、仲間内で他のヤツより優位な立場にいたいと思い見栄を張ってしまう…

これは前回書いた話に登場したカズヤの例です。

僕とは違いカズヤは僕達と会う前からホストをしていました。

ホスト未経験の僕達は店がオープンするまでの間に、なんとか1からお客を見つけなければならない為に昼間から夕方の間、私服で店の仲間達とナンパを装って女のコ達に声を掛けていました。

ナンパに成功して仲良くなったはいいがホストだとは言えずに『またねっ♪』とメアドだけ聞いてサヨナラしていました。

当時はまだテレビでホストの事を報じたりはしていなかった為、イメージも今より悪く言いにくいったらありませんでした(-.-;)

そんな事を毎日やっていたのですが、カズヤはというと仲間と行動は共にするのですが、ナンパには参加せず後ろの方で僕等の行動を半笑いで傍観しているだけでナンパには加わりませんでした。

『あぁ〜っ今日も声掛けたコ達とカラオケには行ったけど、結局ホストだって言えなかったなぁ…』

日に日にホストクラブのオープンが迫る中、僕等の中でお客になってくれるコを獲得したヤツはゼロでした…(〒_〒)

そんな時、少し後ろを歩いているカズヤは自慢気に、『俺は前の店のお客が居るから平気だけどねっ♪』と僕等全員に向けて語り始めるので、羨ましい気持ち半分ムカつき半分でとりあえず知り合って間もないから聞いていました。

カズヤの自慢話はオープンが迫るにつれ、どんどんエスカレートしていき外でも寮の部屋に居る時も事あるごとに始まるようになり、そうとうウザい存在になっていました…(-"-;)

ただウザいながらもカズヤは僕が店に入店して最初に知り合ったヤツでこの後、寮に居た他の仲間達が消えてゆく中寮で2人きりになる事も多く、邪険には出来なかったので、自慢話をされては『ヘェ〜いいなぁっ』などと言って持ち上げてやっていました。

オープンまで一週間、この頃になると夜オープン予定の店舗にホスト達が集められ連日色々なミーティングが経営者兼店長のもと行われ始め、コールやボトルの栓抜きの練習から接客のイロハを勉強していき、オープン3日前…もうすぐオープンという中でみんなのテンションもかなり上がっていました。

そしてその日のミーティングも終わりに近づきオーナーと店長から締めの言葉を頂いて解散という時に、オーナーが店長に何やら耳元で囁いています。

オーナーの話を店長が聞き終わった後、店長が僕等に向かって話し始めました。

『今、オーナーから知りたいんだけどと言われたんだが、この中でオープン当日にお客が来てくれる事が決定しているヤツは手を上げてくれるか。』

その瞬間その場の空気は重たくなり皆、ホスト同士お互いの顔を見やりました。

少しの沈黙の後、手を上げたのは2、3人だったと思います。

『ホストってもっと客持ってるでしょ!?』と思われるでしょうが、僕がその時入店した店は現在では殆どありませんが本当に未経験のホストばかりで経験者だというヤツは40人中5人だけでした。

そして客が来てくれるヤツは2、3人…

それを聞いた店長やオーナーは暫く無言の後でオーナーがポツリと、『駄目だなこりゃあ…』

その場に張り詰めた空気が立ちこめ、皆無言のまま固まっていると…

『ガシャアアァ〜ンッッ!!!』

突然の轟音にビックリして音のした方を見やると、店長が無言で腕組みをしながらセッティングがしてあった目の前のテーブルを蹴り倒した姿だったので、『ヤベェ…普段温厚で優しい店長がマジでキレてる…』と思いこの後どうなるのか気が気ではありませんでした。

【後編へ続く。】

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