お水な底辺の極限状態
水商売は格差社会…ブランド物に身を固め、大金を手にする者もいれば毎日食うにも困る極貧生活をしている者もいます。
かく言う僕自身も、ホストになりたての頃、そんな経験を周りの同僚と共にしたのを思い出します。
勤める店がまだオープンする日が未定で寮には入ったはいいが、オープンするまで暮らしていく金が無い…(泣)
『ちょっとも金無いの!?』と思われるかもしれませんが、水商売で面接してすぐ寮に入るような輩に金に余裕があるヤツなんて殆ど居ません。
持っていても雀の涙程度のもんです。
僕の場合、寮に入る前に勤めていたキャバクラで貰った給料を殆ど使い果たしギリギリの状況でした。
幸いに僕が在籍した店の店長が、キャバクラを2店舗経営していたのでそのキャバクラの客引きをすれば日払いをしてくれるという事でホッとしました。
日当は5千円位だったと思いますが、無いよりマシですし僕の場合はキャバクラで働いていた時には毎日客引きに路上に出ていたので抵抗無く引き受けました。
可哀相だったのは客引き経験の無い同僚達でした。
今まで一度も男性客に声も掛けた事も無いヤツがいきなり上手い誘い文句を言える筈もありません。
しかもホストが目的で来たのにキャバクラの客引きなんて、やる気が出る訳も無く1日客引きして連れていけた客ゼロなんて当たり前でした。
僕もアドバイスはしましたが結局の所、客引きは本人のやる気次第なので引けないヤツはやっぱり引けないのです。
そのキャバクラでは客を連れて来れなくても日払いをさせてくれました。
僕の場合は客引きする以上、最低5組以上は連れていく気持ちでやっていましたし事実そうしてました。
けれどキャバクラの経験も客引きの経験も無い他の同僚は『連れて来れなくてもしょうがないよなっ♪』位の感じで日払いしてもらってたんです。
僕は内心コイツ等すげぇ神経してるなっと思い、また同じ日当貰っててこっちは夕方過ぎから深夜まで必死に客引きしてるのにお前等は、どこで何してんの!?という気持ちでした。
まぁ自分は自分と気持ちを切り替えてやればいいやと客引きしてましたが、やがて同僚達も客引き出来ないのに日払いだけ貰いに行って、その店の店長に渋い顔をされる事が気不味くなり、段々と1人減り2人減りしていき最後には僕1人だけになってしまいました。
寮に居るヤツで客引きしているのは僕とオーナーのキャバクラの方で客引きしていたカズヤという同僚の2人だけになり寮も寂しくなりました。
そのカズヤの方の店は客引きゼロだと日当が無しなので顔を見ればゼロかどうか分かりました。同僚という事と同じ部屋で暮らす者同士として、金が無い時は松屋の牛丼やタバコをおごったりしてましたが、あんまり甘えられるとこっちも頭に来るので、『お前毎日俺に頼るけど、やる気出して客引きしてんの!?確かに俺も客引き出来ない日もあったけど1日あったかどうかだよっ!!気合い入れてやればそんなに毎日ゼロなんて無い筈だろっ!!』日頃溜まっていた思いがおごって貰えるのが当たり前みたいなカズヤの態度で爆発してしまいました。
僕は普段はめったにキレません。よほどナメた態度や理不尽な事が無い限り…そんな僕がいきなりキレたので、カズヤはびっくりしてその日から暫くは僕に頼らず客引き出来ない日は僕が寮に戻る前に布団にくるまり寝ていました。
暫くして流石に可哀相に思い、客引きが終わった後松屋に連れて行ったりしましたが、ホストクラブのオープンする10日前から客引きで働けなくなってしまったのです。
理由は今でも分かりませんが、僕がキャバクラでマネージャーをしていた経験から店の営業方針に客引きさせてもらってる店の店長に意見していたのがいけなかったのかもしれません。
相手にしたらオーナーの命令で客引きさせてやってるのに、営業方針にまで口出すなと思われても仕方ない事ですから…
僕は日払いした金をマンガ喫茶に行ったり喫茶店に行ったり買い物などで殆ど使っていたので『さて、どうしよう…タバコすら買えないよ…』という状態にすぐになってしまいました。
カズヤも期待出来る訳もなく僕達はマジで困り果てました。
とりあえずした事は街に出て道端に落ちているシケモクを拾う事。汚いと思われるでしょうが、僕は飯は2日位食わなくても我慢出来ましたがタバコは無理ですっ!
タバコとコーヒー無しでは生きていけません(笑)
カズヤも同意見で僕達はシケモクを求め、なるべく人とすれ違わない場所中心に拾い集め、それを寮に持ち帰りフィルターの部分をハサミで3分の2近く切って吸っていました。
その他にも寮の冷蔵庫にあったいつからあったのか分からない怪しい冷凍イカを、これまたいつからあったか分からない調味料で味付けし『とりあえず火を通せば死にはしねぇだろっ♪』と半ば強制的にポジティブに考え2人で食べたりしました。
他にもオープンまでの数日を乗り切る為に色々しましたが、ここで書くのはちょっと…なので書くのは控えさせて頂きますm(u_u)m
そんな経験からか僕は食事にこだわりはありません。
好きな物があればそれにこした事はありませんが、無ければ別に小麦粉と少しの調味料だけで全然平気です。
僕はコレを【小麦粉ときとき】と呼んでよく金が無い時食べてましたが、一緒に暮らしていた彼女には不評でした(笑)
まぁこんな経験は普通はないですし、する必要無いので皆さんにはピンと来ないかもしれませんが、人間、極限状態を経験すると多少の事は平気になるので今苦しんでいる人がもしもコレを見ていたら、それはアナタをタフにしてくれる経験なので頑張って下さいっ(*^_^*)