一級死亡フラグ建築士の称号
この探索が終わったら結婚しなきゃいけないのかなぁ……
うーむ、姉が嫌というわけじゃない。
一応、今の身体は雄でござる。
と言っても正直性欲的なあれは正直あまり「ない」んだよなぁ……
だからと言って
「アッー!!」
なわけでもない。
姉と子供を沢山作って
『パパー』
「はっははー 遠くへ一人で行くんじゃないぞ、飛竜が出てくるからね」
『はーい』
みたいなマイホームパパンをやってもいいんだけどさぁ……
今の狼生自体は正直嫌ではない。
最初の頃は「狼でその上、雄……だと……(ザワザワ)」とか思ってたよ。
初めてあんな恰好でおしっこをした時の戸惑いとか、初めて野外で(以下省略)
そんな時期もあったなぁと今では懐かしく思えますよ。
最初の内は「もう一回死んだら人間に生まれ変われるかなぁ?」とか、結構真面目に考えていましたよ。ええ。
だけど、転生スキルがあるからと言って安易に死のうとも思わない。
人間、夏野 蜜柑だった頃の記憶も大事だが、狼になってからの記憶も大事なのだ。
大家族の中で苦楽を共にしてきたのだ。愛着が沸かないわけが無い。
吾輩は狼である。名前はまだ無い。
そんなことを考えながら草原を疾走する。
全力ではないが、私の身体は風のごとく草原を駆けていく。
流石に考え事をしながらでは、全力で走れない
周囲を見渡しても特に変わった様子はない。
うーん、地形的にも生態系的にも変化がないのかー
取りあえずは遠くに見える山の麓のあたりまでは調べてみよう。
そう思って今度は全力で走る。
昼夜を問わず走り続ける、時折、森の中で鎧猪を食べ、仮眠を挟んで、また疾走する。
数日走り続けて、私は奇妙な事に気が付いた
「あれれー 全然山が近づいてこないんですけど?」
私は全力疾走していたはずなのに、山の麓にたどり着けない。
あの山、どんだけ大きいんだよ!!
そう愚痴をこぼして周囲を見渡すと、ほんの僅かに生態系に変化が見られた。
生えている植物に見覚えのない品種が混じり始めている。
……となると、そこに住む生き物にも変化があるのでは?
そう思い、歩みを少し遅らせて周囲を観察する。
草竜は相変わらず見かける。飛竜もたまに空を飛んでいる。
結構遠くまで来てるよなぁ……
と言っても帰り道で迷う心配はしていない。
寧ろ、些細ではあっても環境に変化が見られることの方が大事だった。
環境の変化は森の中の方が顕著だった。
見たことのない木々、見たことのない花々。
自分たちの住んでいた地域の生態系とはかなり異なっている。
この地域の渓流に住む魚達は、私が普段見かけるのよりも大きく、その数も多い。
甘そうな匂いがする果物やキノコ、ハチの巣のようなものもあったが、テリトリー外で見知らぬ食べ物をいきなり食べようとは流石に思わない。
そう考えた私は、小腹を満たそうと、ハチの巣の近くに居た小さな熊を1頭、さくっと屠って食べ始めた。
うん、小腹が空いたら熊だよね……というか、この熊、美味しい!!
食べてるものが違うからなのか、普段食べてる熊よりも身が引き締まっていて美味しい気がする。
夢中で熊をばくばくと食べていると、私の脳裏に、すっと警戒信号が流れる。
私は周囲の気配や匂いを探る。
気が付けば、何かが森の中に居るのがわかる。
鎧猪や熊の類ではない。
相手は姿を隠したまま、私の方を観察している。
それは嗅いだ事のない匂いだった。動物にしては臭いが薄い。
それに植物の匂いでカモフラージュされているようだ……
なので、少し気が付くのが遅れてしまった。
数は……結構いる。恐らく10匹。
サイズはあまり大きくなく、小動物位のサイズだろう。
まだ囲まれてはいない、しかし、森の中に上手に隠れている。
そして、じっと動かぬまま木々に紛れて、こちらの様子を観察し続けている。
どうする?
私は考えた。
見知らぬ敵といきなり戦うのは愚策だろうか?
いや、小動物サイズの敵に私が負けるわけがない,と言う思考が首をもたげる。
ただ不気味なのは、たかが小動物サイズの存在が、こちらの存在を観察し続けていることだ。
怯えて隠れているといった様子は未だ見られない。
どちらかと言えば『狩る』為に見ている……そんな意思を感じる。
取りあえず、蹴散らす?
相手の姿も見ずに逃げ出しましたじゃ格好も付かないからね。
そして私は戦闘モードへと移行した。
『人(狼)の食事を邪魔するなんて……殺すよ?(暗黒微笑)』
そんな意思を込めた咆哮を見えない敵に向けて浴びせかける。
にも関わらず、小動物たちは誰も逃げ出さなかった。
『へぇ、上等じゃん』
とりあえず蹴散らしてやるか
こうして、私は森の中の見えない小動物に対して戦いを挑んだわけですが
負けました(テヘペロ




